(中国新聞 2020年4月12日)
おとつい(2020年4月10日)、映画作家の大林宣彦(おおばやし のぶひこ)さんがお亡くなりになりました。
2016年に肺がんと診断され、以来、闘病中でした。
82歳。
ご冥福をお祈りいたします。
(映画『さびしんぼう』パンフレット表紙)
数ある大林監督作品の中でも、イチオシは『さびしんぼう』(1985年)。
この映画を観た年の夏、わしは生れて初めて尾道を訪れた。
このころは、今のようにスマートフォンはおろか、インターネットすらなかった。
手にしていたのは、雑誌の切り抜きと、市販の尾道の地図。
JR(当時はまだ「国鉄」じゃった!)尾道駅から、商店街を抜けて、渡船乗り場へ。
映画のシーンを脳内再生しながら、
福引きをした商店街はこんなところか、
学生たちが乗り込む渡船はこんな感じで利用されているのか、
などと見てまわった。
このあと、山の手に向かって、大林監督の実家を探しているうち、道に迷うてしもうた。
そんなわしを見かけたあるご婦人が、監督の実家まで案内してくださった。
しかも、わしが問いかけもせんのに、子どものころの監督のことを、いろいろと話をしてくださる。
わしの勝手な想像じゃが…。
当時、監督の『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』(俗にいう「尾道三部作」)を観て、これらの作品に惚れ込んだ若者たちがいた。
彼らは、ロケ地巡りで尾道へやってきていたという。
ロケ地だけでは飽き足らず、監督の実家も探したはず。
…わしもその中のひとりじゃったんじゃがの。
このご婦人も、この若者たちの何人か、何十人かを案内されたんじゃろう。
その道すがら、監督についていろいろ聞かれて、知っていることを話されてきたんじゃと思う。
今から30年くらい前じゃったか…。
広島市中区にあるNTTクレドホールで映画『さびしんぼう』の上映会があった。
そこに大林監督が来られて、映画の上映前に話をされた。
テレビや雑誌で拝見したとおりの、ニコニコしながら、やさしく語りかけるように話をされる大林監督。
その話を聞いただけで涙が止まらなくなったことを、今でも覚えとる。
尾道では、尾道映画祭が行われている。
今年(2020年)の3月1日には、尾道三部作『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』が上映されることになっていた。
「尾道三部作」がまとめて観れる! ということで観に行くつもりじゃった。
が、例の新型コロナウイルスのため、残念ながら中止になってしもうたんじゃの。
↓尾道映画祭については、こちら↓
尾道映画祭
闘病中の大林監督が撮られた新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、新型コロナウイルスのため上映延期になったまま。
遺作となったこの作品の封切り予定日が、奇(く)しくも、監督の亡くなられた4月10日。
(映画『海辺の映画館―キネマの玉手箱』チラシ裏面)
残念なことに、監督にお会いすることも、新作を楽しみに待つこともできんようになってしもうた。
ほいじゃが、監督が手がけられた愛すべき作品たちは、これからも楽しむことができる。
広島市映像文化ライブラリーか、サロンシネマあたりで上映してくれるんじゃないかと期待しとります。
やっぱり、映画は映画館で観るもんじゃけぇの!
↓『海辺の映画館―キネマの玉手箱』については、こちら↓
映画「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」公式サイト
↓大林宣彦監督についての関連記事は、こちら↓
尾道三部作を上映~広島市映像文化ライブラリー
今日は、4月10日に亡くなられた、大林宣彦監督について話をさせてもらいました。
ほいじゃあ、またの。