十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

火恋し

2011-07-20 | Weblog
火戀しく放火しけりと調書かな   高橋睦郎

放火の動機は、ただ「火が恋しかったから」
そのように書かれた調書が、かつてあったのだ。
「戀」の旧字体が、過去の調書だということを物語る。
本当の動機は、屈折した心の奥底にあるのかもしれないが、
案外、火が恋しかっただけだったかもしれない。
ふと、三島由紀夫の『金閣寺』を思い出した。
俳句なのか、サスペンスなのか、異色な作品。
「俳句」7月号「特別作品50句」より抄出。(Midori)