十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

火恋し

2011-07-20 | Weblog
火戀しく放火しけりと調書かな   高橋睦郎

放火の動機は、ただ「火が恋しかったから」
そのように書かれた調書が、かつてあったのだ。
「戀」の旧字体が、過去の調書だということを物語る。
本当の動機は、屈折した心の奥底にあるのかもしれないが、
案外、火が恋しかっただけだったかもしれない。
ふと、三島由紀夫の『金閣寺』を思い出した。
俳句なのか、サスペンスなのか、異色な作品。
「俳句」7月号「特別作品50句」より抄出。(Midori)

6 コメント

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おはようございます。 (博子)
2011-07-21 06:36:48
 「戀」の旧字は、もつれた糸電話みたいだね。字も「語る」のね。調書の聴き取りにもかかってくるようなで巧みだなと思った。
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おはよう~☆ (みどり)
2011-07-21 07:04:18
「火戀しく放火しけり}
やっぱり情念だね。
本当の理由は言いたくなかったのかも?
50句は、何かしら迫力を感じました。
変わった作品だけど気になりました
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放火 (今村征一)
2011-07-21 08:58:41
「火恋し」の季題が調書と結びつけた意外性。
物騒な世になつたと同時に世の廃れを感じた。
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火戀し (みどり)
2011-07-21 19:49:02
「火」というと、太初の火を感じました。
人間は火を恐れまた神聖なものとして、
祭ってきましたよね?
この句に何となく惹かれたのは、
私も火を恋しているからかしら?
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貝の鈴 (今村征一)
2011-07-21 20:52:48
火恋し胸もとに鳴る貝の鈴   みどり
を思い出した。
この句は大好きな句だ。
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まあ! (みどり)
2011-07-21 21:13:48
うれしいな♪
この句も、原初の火を
感じて詠んだ句なんです。
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