撫子の咲く野の宿といふだけで 佐久間和子
阿蘇の草原には、淡紅色の可憐な撫子が咲いている。今まで、園芸用の品種改良した撫子しか知らなかった私には、何だか不思議な花を見る思いがしたものだ。しかし、和子さんは当然ご存知だったのだ。「撫子の咲く野の宿」という形容が、とても優しい。市内の喧騒から離れて、ひと時のくつろぎを撫子に求める思いがしみじみと伝わってくる。さらに、「というだけで」の省略の効いた表現に余韻が感じられた。「阿蘇」11月号巻頭作品。(Midori)
阿蘇の草原には、淡紅色の可憐な撫子が咲いている。今まで、園芸用の品種改良した撫子しか知らなかった私には、何だか不思議な花を見る思いがしたものだ。しかし、和子さんは当然ご存知だったのだ。「撫子の咲く野の宿」という形容が、とても優しい。市内の喧騒から離れて、ひと時のくつろぎを撫子に求める思いがしみじみと伝わってくる。さらに、「というだけで」の省略の効いた表現に余韻が感じられた。「阿蘇」11月号巻頭作品。(Midori)