水筒のついの一口いわし雲 中井由美子
最後まで残して置いた水筒の「一口」なのだろう。その「ついの一口」を飲む時は、きっと目的の場所にたどり着いた時だと思われる。空にはいわし雲がいっぱいに広がって、心身ともに開放感につつまれる瞬間。「ついの一口」という措辞によってもたらされる時間の経過に、作者だけが知る大きな達成感が感じられる一句ではないだろうか。「滝」11月号〈滝集〉より抄出。(Midori)
最後まで残して置いた水筒の「一口」なのだろう。その「ついの一口」を飲む時は、きっと目的の場所にたどり着いた時だと思われる。空にはいわし雲がいっぱいに広がって、心身ともに開放感につつまれる瞬間。「ついの一口」という措辞によってもたらされる時間の経過に、作者だけが知る大きな達成感が感じられる一句ではないだろうか。「滝」11月号〈滝集〉より抄出。(Midori)