十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

白日傘

2018-08-31 | Weblog
白日傘くるりと孤独なる宇宙
月光の射し込む樹間女郎蜘蛛
水影は白衣観音白菖蒲
昼顔の蔓の伸びゆく水平線


*「阿蘇」9月号、岩岡中正選

【選評】これは天空から宇宙へと舞う「白」日傘でなければならない。何より己の内面を自由闊達に、「孤独なる宇宙」へと飛翔させたところが良い。「くるりと」がバネになったのである。(探勝会主宰句評より)

「白日傘」という季語は、女性と男性では、使う側と見る側とで視線が違うかと思う。女性ならではの句を詠めると殊の外嬉しい。(Midori)

猿酒

2018-08-28 | Weblog
猿酒不死とは言はず不老ほど     有馬朗人

「猿酒」に、「不死」、「不老」とはいかにも仙人の境地。不老長寿の妙薬に猿酒はぴったり!「不死とは言はず」と、控え目ながら、「不老ほど」とは、なかなか大胆。2016年版『俳句年鑑』より抄出。(Midori)

秋風

2018-08-26 | Weblog
秋風や胸の中にも沖はあり     野見山朱鳥

「胸」は、人体の部位というより、「こころ」や「思い」など抽象的な意味合いで使われていると思われる。「胸の中にも沖はあり」とは、朱鳥独特の感覚であるが、「胸の中にも渚あり」ではどうだろうか?「沖」の方が、遥かに達観した寂しさが感じられるのではないだろうか。勿論、「秋風」が置かれていれば尚更だ。句集『朱』より抄出。(Midori)

新豆腐

2018-08-23 | Weblog
昨日の南関句会の兼題は、「新豆腐」。歳時記によると、新大豆でつくった豆腐であり、甘味があって滋養がある。中国から仏教と共に伝わり、京都など仏教文化が盛んな水の豊かな地が有名とある。しかし現在では、大豆といっても輸入が大半。歳時記にある新豆腐はいかにも美味しそうだが、そんな新豆腐にめぐり合うことはなさそうだ。(Midori)

    うぶすなの水やはらかし新豆腐 
    *指導者特選

なんぢやもんぢやの花

2018-08-21 | Weblog
風捉へなんぢやもんぢやの花騒ぐ     今村征一

「風捉へ」と、一瞬を切り取り、「花騒ぐ」と聴覚への展開。その擬人法的な言葉の選び方によって、「なんぢやもんぢや」という木に躍動と生命力を与えている。大いなるアニミズムの世界に、類のない詩情を覚えた。「阿蘇」8月号より抄出。(Midori)

底紅

2018-08-19 | Weblog
木槿が遠くからでも目を惹く季節となった。木槿は何気ない日常の生活を詠むのに適した季語だが、千葉皓史氏の「底紅や黙ってあがる母の家」によって、底紅は、母を詠む季語として定着した感すらある。
8月24日は、私の母の23回目の忌日。(Midori)

    底紅やパーマネントの母若し    *8月土曜例会、岩岡中正特選

終戦の日

2018-08-15 | Weblog
平成最後の終戦の日。終戦から73年間続いて来た平和が、これからもずっと続くと信じたいが、戦争を知る人々がだんだん居なくなると思うと、ちょっと不安。次の世も戦争のない平和が続きますように、合掌。(Midori)

   耐へがたきを耐へ玉音を聴く残暑

万緑

2018-08-10 | Weblog
万緑をすこし削りて仮設村     西 美愛子

仮設という言葉は、東北大震災から広く使われ始めたと記憶しているが、地球環境の変化からか、最近ではいつどこで何が起こるかわからない時代となった。さて、そんな現実を俯瞰したような掲句。「万緑」という自然と、「仮設村」という非日常を、「すこし削りて」という中七によって、やんわりと繋ぎとめ、どこか童話めく作品となっている。「阿蘇」8月号より抄出。(Midori)

遠雷

2018-08-08 | Weblog
遠雷に耳をすましてゐる微熱     永村典

「遠雷に耳をすましてゐる」、静かな時間。「微熱」のアンニュイな感覚に、聴覚だけが冴えわたる。省略の効いた一句に、作者の小さな不安感が感じられる一句。例会で主宰の選評を聴いて知った佳句の一つ。「阿蘇」8月号より抄出。(Midori)

新樹

2018-08-05 | Weblog
魚となり雨の新樹をさまよへる    つのだともこ

「魚となり」の比喩によって、「雨の新樹」との一体感が生まれ、何とも心地よい一句。例会では、「魚となり雨の新樹を回遊す」によって主宰の特選となった句である。「魚となり」に、「回遊す」が上手く呼応していると思われたが、作者の更なる推敲に学びたい。「阿蘇」8月号より抄出。(Midori)

卯浪

2018-08-03 | Weblog
追悼は後悔に似て卯浪立つ      茶円りゅい

二つの原爆忌につづき終戦忌・・・。8月は、まさしく追悼の月である。「追悼は後悔に似て」の措辞に、そんな事を思ったが、作者が掲句を詠んだのは、「卯浪立つ」頃。小さな後悔が、卯浪ように胸に湧き立ってきたのだろうか。季語の取合せの上手い一句。「阿蘇」8月号より抄出。(Midori)

朝顔

2018-08-01 | Weblog


誌友に頂いた虚子庵の朝顔の種が、発芽して、
40日ほどで先日開花しました。可憐な水色です。
陰暦七夕の頃に咲くため、牽牛花とも言われるのですね~☆(Midori)

   朝顔や子規の遺せし空のいろ