褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 フライト(2012) 優れた脚本による人間ドラマ

2013年10月03日 | 映画(は行)
 他人から俺は聖人君子のような人間だと思われている?みたいだが、実際は叩けば叩くほどホコリが出てくる人間。本当に四六時中、善人を演じるのは気は抜けないし、疲れるというのが実感だ。しかし、特に先生と呼ばれる立場の人がいるが、決してその人達も完璧な人間であるはずも無く、何かしら欠点を抱えて生きているはず。毎日を他人に対して、己の弱点を決して見せまいと精進している人間にとっては今回紹介する映画フライトは抜群に癒しの効果を発揮する作品だ。

 いきなりスッポンポンのオネエチャンが登場する衝撃的シーンから始まるが、なかなかのストーリー展開を見せる。前半は飛行機を舞台にしたパニックムービーとしてスリルが味わえるし、中盤は法律のせめぎあいをめぐってのサスペンス映画の趣きを見せ、そして後半は人間としての良心を問いかけるヒューマンドラマとして、上手くまとめている。
 スリル感は飛行機パニックのは前半のみ。ロバート・ゼメキス監督の特撮技術によるド迫力映像を楽しめると思って、本作を観るとガッカリする映画。むしろ、アル中、ヤク中、自己中なボロボロの人間の成り行きを見ながら『決してこんな人間には、なりたくない』と思いながら観るのが、正しい観賞の仕方だ。

 飛行機墜落という事故によって、多くの人命を助けて英雄として奉られながらも、同時に今までの自分の信念及び嘘で重ねられた今までの人生を見つめ直さざるを得なくなってしまうストーリーとはいかなるものか。
 今日も徹夜で恋人のCAであるトリーナ(ナディーン・ベラスケス)と飲みまくり、眠気はコカインでぶっ飛ばさせるパイロットのウィップ(デンゼル・ワシントン)。そんなことをいつも繰り返しながらも、今日も大勢のお客様を乗せて操縦席に乗り込み、誰よりも安全運転を実行する彼だが、その日に限って機体には欠陥があった。
 ヤッカイな乱気流を何とか突破するが、その後に飛行機は急降下。ウィップ(ワシントン)はパイロットとしての尊厳と、神業レベルの操縦テクニックによって墜落するものの多くの人命を助ける。彼が病院のベットの上で意識を取り戻すと、多くの人命を救った英雄として奉られるが、一方ではアルコール中毒、薬物中毒の常習犯であることがバレてしまうのだが・・・

 なかなか本作は珍しいパターンの映画。だいたい差別を受けたり、別の理由で落ちぶれている黒人が自らの力で這い上がったり、心優しい黒人が白人に手を差しのべるパターンは多いが、本作はボロボロになっている黒人の主人公ウィップ(デンゼル・ワシントン)に対して白人が助けの手を差しのべるシーンが多い。墜落事故から救出作業に乗り出す宗教団体、ガン患者、副機長、労働組合の幹部、そして新たなる恋人。アル中、ヤク中でボロボロになっているウィップを何らかの形で救い出そうとしたり、希望を見出させようとするのは殆んど白人。黒人を助けようとする白人の映画というのは実は珍しいパターン。
 このような映画を、現職が黒人のアメリカ大統領である大統領選挙の直前に公開するとは、非常に思わせぶりであり、色々と政治的な深読みをしたくなる作品だ。

 結局、そんな心優しい白人の思いやりも、本作のダメダメな黒人の主人公には通じない。しかし、己の信念を曲げて『神よ、力を与えてくれ~』なんて台詞を吐き出してから急に態度が変わってしまうのは、ちょっといきなり過ぎて驚いたが、今考えると非常になるほどと感心している。
 俺なんか『神さま~、仏さま~、俺の願いを叶えてくださ~い』と心の中で叫びながら結局は寝て朗報を待っているのだが、それでは俺の願いを叶えてくれないわけだ。祈った後はすぐに行動でしめす。そんな祈りが通じたかのような、ほんの少しだが希望の光を感じさせるラストシーンは観終わった後に、心が晴れ晴れとした気分になる。そして、一瞬でも気の抜けない人生を送っている人は、冒頭でも述べたように癒される。フライトは、あらゆる煩悩に苦しんでいる人にとっては解放への道が開けるお勧めの映画です

フライト [DVD]
デンゼル・ワシントン,ドン・チードル,メリッサ・レオ,ジョン・グッドマン,ケリー・ライリー
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 監督はバック・トゥー・ザ・フューチャーフォレスト・ガンプ/一期一会で有名なロバート・ゼメキス。メリル・ストリープ、ゴールディン・ホーン、ブルース・ウィリス競演のブラック・コメディ永遠に美しく…、トム・ハンクス主演のバレー・ボールと友達になれるキャスト・アウェイ、宗教と科学という哲学的なテーマに挑んだジョディ・フォスター主演のコンタクトがお勧め。

 主演は今さら説明不要の黒人の名優であるデンゼル・ワイントン。多くの名作、ヒット作に出演していますが、今回は恐らく今観ても斬新なアクション映画デジャヴを挙げておきます。
 
 実はこの映画は脇役が豪華。
 黒人の敏腕弁護士にこれまた名優のドン・チードルオーシャンズシリーズなど、ヒット作、名作に多数出演する大物俳優。ポール・トーマス・アンダーソン監督のポルノ業界の内幕を描いたブギー・ナイツ、ルワンダの紛争を描いたホテル・ルワンダ、スティーヴン・ソダーバーグ監督の麻薬戦争を描いたトラフィックがお勧めです、

 ドラッグの売人でデンゼル・ワシントンの友達役でジョン・グッドマン。その巨体の風貌が目立つ名優。コーエン兄弟作品にかつては多く出演していましたが、その中でもビッグ・リボウスキがお勧め。最近ではアーティストでも印象的でした。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
yukarinさんへ (ディープインパクト)
2013-10-07 13:19:47
 僕ももっとサスペンスフルの映画と思っていましたが、サスペンスの要素が殆んど無かったですね。僕は逆に良い意味で期待を裏切られたのが良かったです。
返信する
こんにちは♪ (yukarin)
2013-10-07 13:00:07
予告編で思ってた内容と違ってたこともあって
あれれ~て思いながら観てました。

>黒人を助けようとする白人の映画
確かにめずらしいですね。
返信する
タケヤさんへ (ディープインパクト)
2013-10-07 08:01:12
 本当に最後はボロボロの中に希望の光が少しだけ見えて、良かったです。
返信する
僕も (タケヤ)
2013-10-06 20:35:00
この作品好きですね。

ろくでなしオトコの生き様、
良かったです。最後は特に良かった。
「救われたな~」って感じですよね。
返信する
かなでちゃんへ (ディープインパクト)
2013-10-04 07:53:49
 出雲大社に行ってたんだ。良かったよ、ちょっと楽しんでるみたいで。実は俺の方が色々とピンチ。また遊ぼうね
返信する
Unknown (かなで)
2013-10-04 03:36:11
メッセージ書いてくれてたッッッッ(ノ´∀`*)

ちゃんと、読ましていただきましたよ♪
ありがとー♪
心配かけちゃったね(・・;)
返信する

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