褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 街の野獣(1950) 最低の主人公ですが・・・

2022年11月15日 | 映画(ま行)
 本作は1992年にロバート・デ・ニーロが主役で『ナイト・アンド・ザ・シティ』でリメイクされているほどの名作。ロバート・デ・ニーロが好きな俺は『ナイト・アンド・ザ・シティ』を観ていないのだが、確かに今回紹介する映画街の野獣は面白いし、リメイクしたくなるのも理解できる。特に本作で印象に残るのが主役のリチャード・ウィドマークの強烈なダメっぷり。貴方の周りにも居るだろう、一発当てて大儲けしようとしてドンドン深みに入って借金で首が回らなくなっている人を。俺の周りにも酒が飲みたくてもカネが無いために、飲み代をピンハネしてタダ同然で飲んでいる奴を見かけるが、本当に格好が悪いし、せこ過ぎる。
 しかし、本作では泥沼から這い上がるために一発逆転を狙って人生を賭けた勝負にでる登場人物が出てくる。やばい投資話や献金を迫る奴がこの世の中には多いが、本作を見ればそんなインチキに引っかかることを避けることができるだろう。

 それでは欲望渦巻くロンドンを舞台に一発逆転を夢見る人間模様を描いたストーリーを紹介しよう。
 インチキで酒場の客引きをしているハリー(リチャード・ウィドマーク)だが、騙した相手から常に追いかけられている。しかし、彼には酒場で踊り子をしている恋人メアリー(ジーン・ティアーニ)がおり、彼女はハリーに堅気になってもらいたいと思いながらも、ついついお金を貸してしまう。
 ある時、ハリーはプロレス興行の客引きをしていると、試合内容に大いに憤慨しているかつての名レスラーであるグレゴリウス(スタニスラウス・ズビシュコ)を見かける。ハリーは上手くグレゴリウスに取り入り、彼の知名度を生かしてプロレスの興行で一旗立てようとし、酒場の店主であるフィル(フランシス・L・サリヴァン)に投資話を持ち掛けるのだが、一笑に付される。しかし、それに食いついたのがフィルの妻ヘレン(グーギー・ウィザース)。彼女はフィルと別れたがっていて、自分の店を持ちたいという企みがあったのだ。運はハリーに味方するかと思われたのだが・・・

 この映画を観ていて一番不思議だったのが、なぜジーン・ティアニーみたいな美人で心も綺麗な女性が、究極のダメ男を好きになってしまうのか!ということ。しかし、こういう不憫な女性が登場するから映画の方も面白くなり、少しばかり悲しい気分を味わえる。
 俺なんかは金持ちになりたくないし、まあ明日を生きることができるカネさえあれば充分に幸せを感じる男なのだが、ハリーが俺とは真逆の人間。一攫千金という言葉は響きは良いが、命を懸けまで一気に成り上がろうとしてはダメだということが本作を見ればよくわかる。こういう人間は周りの人間まで不幸にしてしまうから、ロクでもない。自分で汗をかいて稼いだカネでビールを呑むのが、美味しいし幸せを感じる。
 ちなみに本作は当時のプロレスシーンを見れるし、ロンドンの裏社会の厳しさを知ることが出来る。仕事をすることの有難さがわかり、とことんダメになる人間の姿を知ることが出来るし、インチキな宗教に騙されないための教訓にもなる映画として今回は街の野獣を紹介しておこう 

 監督はハリウッドで活躍しながらも赤狩りにあってしまってアメリカ国外で映画を撮らざるをえなくなってしまったジュールズ・ダッシン。ハリウッドよりもアメリカ国外で映画を撮るようになって、更に名声を広めた。多くの映画に影響を与えた泥棒映画トプカピ。当時撮影所を飛び出してオールロケを敢行した裸の町、バート・ランカスター主演の刑務所脱獄を凄い迫力を持って描いた真昼の暴動がお勧めです。

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