今に始まったことではないが、なかなか人の顔と名前が覚えられない。最近の映画ならば登場人物が多くても知っている人が殆どから、ある程度は大丈夫。しかし、俺が生まれる以前の映画で登場人物が多くなると、いくら俺が生まれる以前の当時は大スターだったと言われても、現在において知らないと、これは観ていて辛いものがある。そんな訳で今回紹介する映画地獄に堕ちた勇者どもだが、最初から気合を入れまくって観ないと、前半でストーリーから脱落してしまって何のこっちゃわからん、なんてなりかねない映画。最初の方で富豪一家がテーブルに座っているシーンがあるが、その時までにここに座っている登場人物の顔、名前、人間関係を徹底的に頭に入れておくつもりで観た方が良いだろう。
しかしながら幸いなことにストーリーは至ってシンプル。第二次世界大戦前のドイツで隆盛を誇る鉄鋼所の跡目を狙っての権力争い。そこにあの大悪党のナチスがチャチャを入れてきて、非情な骨肉の争いが繰り広げられる。そして、なぜナチスがドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ全体に暗雲をもたらすほどの圧倒的なパワーを持つことになったのかを少しわかった気分になれる歴史映画の面もある。
ストーリーは単純でも多くの登場人物、それぞれの思惑が複雑に絡み合う内容をできるだけ簡単に紹介しよう。
1933年のドイツにおいて。ドイツで鉄鋼産業を中心に隆盛を誇っていたエッフェンベルグ家。ナチスが政権を担うことになってエッフェンベルグ家の当主であるヨアヒム男爵(アルブレヒト・シェーンハルス)は自らの誕生日の祝いの席で、これからはナチス寄りの立場を鮮明にし、自分の側近である副社長にナチスの突撃隊員でもあるコンスタンティン(ラインハルト・コルデホフ)を任命する。その数時間前に国会議事堂が爆破(ドイツ国会議事堂放火事件)され、反ナチス体制側だったヨアヒムの娘婿のヘルベルト(ウンベルト・オルシーニ)を一族から追い出すことになり、しかも彼は国会議事堂放火の罪で国外へ逃亡することになる。そんな時にヨアヒムが何者かにヘルベルトの拳銃によって射殺される事件が発生してしまい・・・
ヨアヒム男爵を長とするエッフェンベルグ家の壮大な内輪揉めが発生。身内や会社の重役、そしてナチス親衛隊の偉いさんを交えての裏切り、騙し合い、殺し合いが繰り広げられる。そんなエッフェンベルグ家の中でも、特に変わり者なのがヨアヒムの孫に当たり、父親は先の大戦で死亡したマルティン(ヘルムート・バーガー)。最も政治、会社のことに興味がない人物なのだが、マルティンはヨアヒム家の直系であるために、何かと権力争いに利用される立場になってしまう。しかも、笑えるのが彼のキャラクター設定。女装好き、ロリコン、ゲイ、そして母親のゾフィー(イングリッド・チューリン)を強姦してしまうような変態野郎。弱みを握られてアッチやコッチから脅され、コロコロと立ち位置を変えるいい加減な人間として描かれているのだが、こんな奴が居るか~?なんて思えるぐらいの個性的過ぎる設定なのだが、これが観終わった後に考えると、実は何かと考えさせられる暗喩的な人間だと気づかされる。
ナチスの中でも親衛隊と突撃隊があり、親衛隊による突撃隊を粛清する『長いナイフの夜』も描かれているが、この馬鹿騒ぎシーンは強烈なインパクト。現実はこの事件によってヒットラーによる独裁政治の行方は決定したのだが、この場面はナチズム批判を感じさせる名演出シーンだと言えるだろう。
ドイツの退廃的ムードが気持ち悪く感じたりもするが、ナチスの狂気、それに抗うことが出来ない地獄の世の中を感じさせ、鉄鋼所から猛烈な勢いで湧き出る火炎が人間の欲望を象徴する。映画にひたすら楽しさを追求する人には向かないのは確かだが、ナチスの怖さを知りたい人、知らない人も多いと思うのだが第二次世界大戦前におけるナチスドイツを知りたい人、とことん人間の闇の部分を追求したい人、ドロドロの人間関係の映画が好きな人、そしてルキノ・ヴィスコンティ監督作品と聞いて心が躍る人に今回は地獄に堕ちた勇者どもをお勧め映画に挙げておこう。繰り返すが、最初から登場人物の顔と名前と人間関係を必死で頭に叩き込んで観るつもりでご鑑賞を
監督は前述したルキノ・ヴィスコンティ。イタリア映画のみならず世界に名を遺した大映像作家。デビュー作品から最後まで名作を撮り続けた偉大なる巨匠。本作も含めて彼の作品は好き嫌いが分かれると思うが、個人的に俺が彼の作品で最も好きなのはアラン・ドロン主演の若者たちのすべて、他に遺作となったイノセント、イタリアの時代の変遷を老教授の心に染みこませた家族の肖像、女の情念を描いた夏の嵐はビスコンティ監督は敷居が高いと思っている人でも比較的観れると思います。他にサスペンス映画としてフィルムノワールの代表作品としてジェームズ・M・ケインの小説の映画化郵便配達は二度ベルを鳴らすは初期のヴィスコンティ監督作品としてお勧めです。
しかしながら幸いなことにストーリーは至ってシンプル。第二次世界大戦前のドイツで隆盛を誇る鉄鋼所の跡目を狙っての権力争い。そこにあの大悪党のナチスがチャチャを入れてきて、非情な骨肉の争いが繰り広げられる。そして、なぜナチスがドイツ国内だけでなく、ヨーロッパ全体に暗雲をもたらすほどの圧倒的なパワーを持つことになったのかを少しわかった気分になれる歴史映画の面もある。
ストーリーは単純でも多くの登場人物、それぞれの思惑が複雑に絡み合う内容をできるだけ簡単に紹介しよう。
1933年のドイツにおいて。ドイツで鉄鋼産業を中心に隆盛を誇っていたエッフェンベルグ家。ナチスが政権を担うことになってエッフェンベルグ家の当主であるヨアヒム男爵(アルブレヒト・シェーンハルス)は自らの誕生日の祝いの席で、これからはナチス寄りの立場を鮮明にし、自分の側近である副社長にナチスの突撃隊員でもあるコンスタンティン(ラインハルト・コルデホフ)を任命する。その数時間前に国会議事堂が爆破(ドイツ国会議事堂放火事件)され、反ナチス体制側だったヨアヒムの娘婿のヘルベルト(ウンベルト・オルシーニ)を一族から追い出すことになり、しかも彼は国会議事堂放火の罪で国外へ逃亡することになる。そんな時にヨアヒムが何者かにヘルベルトの拳銃によって射殺される事件が発生してしまい・・・
ヨアヒム男爵を長とするエッフェンベルグ家の壮大な内輪揉めが発生。身内や会社の重役、そしてナチス親衛隊の偉いさんを交えての裏切り、騙し合い、殺し合いが繰り広げられる。そんなエッフェンベルグ家の中でも、特に変わり者なのがヨアヒムの孫に当たり、父親は先の大戦で死亡したマルティン(ヘルムート・バーガー)。最も政治、会社のことに興味がない人物なのだが、マルティンはヨアヒム家の直系であるために、何かと権力争いに利用される立場になってしまう。しかも、笑えるのが彼のキャラクター設定。女装好き、ロリコン、ゲイ、そして母親のゾフィー(イングリッド・チューリン)を強姦してしまうような変態野郎。弱みを握られてアッチやコッチから脅され、コロコロと立ち位置を変えるいい加減な人間として描かれているのだが、こんな奴が居るか~?なんて思えるぐらいの個性的過ぎる設定なのだが、これが観終わった後に考えると、実は何かと考えさせられる暗喩的な人間だと気づかされる。
ナチスの中でも親衛隊と突撃隊があり、親衛隊による突撃隊を粛清する『長いナイフの夜』も描かれているが、この馬鹿騒ぎシーンは強烈なインパクト。現実はこの事件によってヒットラーによる独裁政治の行方は決定したのだが、この場面はナチズム批判を感じさせる名演出シーンだと言えるだろう。
ドイツの退廃的ムードが気持ち悪く感じたりもするが、ナチスの狂気、それに抗うことが出来ない地獄の世の中を感じさせ、鉄鋼所から猛烈な勢いで湧き出る火炎が人間の欲望を象徴する。映画にひたすら楽しさを追求する人には向かないのは確かだが、ナチスの怖さを知りたい人、知らない人も多いと思うのだが第二次世界大戦前におけるナチスドイツを知りたい人、とことん人間の闇の部分を追求したい人、ドロドロの人間関係の映画が好きな人、そしてルキノ・ヴィスコンティ監督作品と聞いて心が躍る人に今回は地獄に堕ちた勇者どもをお勧め映画に挙げておこう。繰り返すが、最初から登場人物の顔と名前と人間関係を必死で頭に叩き込んで観るつもりでご鑑賞を
監督は前述したルキノ・ヴィスコンティ。イタリア映画のみならず世界に名を遺した大映像作家。デビュー作品から最後まで名作を撮り続けた偉大なる巨匠。本作も含めて彼の作品は好き嫌いが分かれると思うが、個人的に俺が彼の作品で最も好きなのはアラン・ドロン主演の若者たちのすべて、他に遺作となったイノセント、イタリアの時代の変遷を老教授の心に染みこませた家族の肖像、女の情念を描いた夏の嵐はビスコンティ監督は敷居が高いと思っている人でも比較的観れると思います。他にサスペンス映画としてフィルムノワールの代表作品としてジェームズ・M・ケインの小説の映画化郵便配達は二度ベルを鳴らすは初期のヴィスコンティ監督作品としてお勧めです。
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