褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 フロスト×ニクソン(2008) 世紀の対決です?

2019年01月05日 | 映画(は行)
 歴史に残る世紀の戦いと聞いて、パッと頭に浮かんだのがアントニオ猪木VSモハメッド・アリの異種格闘技戦。凡戦だったと評価されることが多い戦いだったが、現在に至る格闘技戦の方向を示した歴史的な戦いだったことに異議はないだろう。さて、今回紹介する映画フロスト×ニクソンも世紀の対決と呼ぶに相応しいバトルを見せてくれる。ちなみにニクソンとはアメリカの歴代の大統領のひとりとして有名だが、フロストとは一体誰なのか?
 とりあえずリチャード・ニクソンのことを全く知らない人のために少々説明をしておくとウォーターゲート事件によって、アメリカ史で唯一任期途中で失職した大統領。
 そして、もう一つ有名なのが現在においても最も人気のある元アメリカ大統領ジョン・F・ケネディと繰り広げた大統領選挙戦。彼らの討論会の様子をラジオで聴いていた人は明らかにニクソンの勝利を確信していたようだが、一方でテレビを観ていた人には、ニクソンのテレビ映りの悪さに愕然とさせられ、結局そのことが原因で僅差でニクソンはケネディの後塵を拝することになってしまう。
 そんなわけで何かと負のイメージが強く、歴代の中でも最も不人気な大統領として有名。しかし、泥沼にはまってしまったベトナム戦争からの完全撤退、ソ連や中国といった共産主義国家との外交、変動為替相場制を取り入れる等、非常に歴史的意義の高い政策を実行した大統領として評価されている面もある。そのような知識を予め得ておければ、本作はより一層面白く観ることができる。
 一方、フロスト(デービット・フロスト)って誰?と思う人が殆どだと思うが、イギリスやオーストラリアで主にバラエティ番組の司会をしていたイギリス人タレント。そんな彼がアメリカ進出の野望を叶えるため、ニクソン元大統領から失言を引き出そうと果敢にテレビ番組用のインタビューを行ったストーリー。前半はチャラいだけのテレビタレントが思い付き同然でニクソン元大統領に戦いを臨むのだが、これが身の程知らずも良いところで無謀という二文字が直ぐに俺の頭の中をよぎった。フロストVSニクソンを世紀の対決と煽ってしまった自分が恥ずかしい。
 
 元アメリカ大統領とテレビタレントが対決する歴史的インタビューの様子を描いたストーリーの紹介を。
 1974年、リチャード・ニクソン(フランク・ランジェラ)はウォーターゲート事件において、法廷に立つことも無く疑惑を国民に残したままでアメリカ大統領を辞職する。その時、イギリスのテレビ番組の司会者であるデービット・フロスト(マイケル・シーン)は、これはチャンスとばかりにニクソン元大統領へインタビューを試みようとする。ニクソン元大統領をテレビ番組でインタビューして、アメリカ国民にニクソン大統領の嘘っぱちを見せつけて、フロスト自身はアメリカ進出への野望を果たそうとしていたのだ。
 一方、ニクソンも政界復帰への意欲を失っておらず、このインタビュー番組をチャンスと捉えてフロストの申し込みに応える。ハッキリ言って百戦錬磨のニクソンにとってはフロストなんかはショボすぎる相手。実際にインタビューの第一ラウンドではニクソンはフロストをいとも簡単に軽くあしらい、フロストも目の前の相手がとんでもない大物だということに気付くのだが・・・

 本作は実話。1977年のテレビ番組でインタビュー番組が放映されている。フロストがニクソン元大統領にインタビューして、それをアメリカの三大ネットワークに売り込もうとするのだが、アメリカ人にとって全く誰だかわからないようなイギリス人司会者の番組にカネを出そうとする奴なんかいるわけがない。本作の中でもニクソンの情報を探しながら、資金集めに奔走する場面が描かれているが、結局は自腹を切ってニクソン陣営にギャラを払い、自主制作番組になってしまう。
 しかし、本作を観ていても大統領として君臨した男の凄さを感じることができる。彼にすれば、どこの馬の骨かわからないような人物からのインタビューを利用した論戦に対し、堂々と受けて立つあたりは政治家としてのプライドを感じさせる。俺の知っている政治家の中には議論から逃げてばかりで、しかも反論できないとわかれば何故かキレてしまう政治家としてのプライドが全くない奴がいる。どれだけギャラを積まれたからと言っても、この映画のニクソンからは政治家としてのあるべき姿を見せてくれる。
 しかし、ニクソンに訪れる運命は今回もメディアによって負けてしまうという皮肉な結果。相手をフラフラになるまで追い込んだのに最後の最後に、しくじって負けてしまうあたりは、まるでケネディとの大統領選挙の再現を思わせ、ニクソン大統領も普通の人間だということを感じられる。インタビューを舞台にした論戦ではあるが、そこそこ緊迫感のある戦いを観ることができるし、戦いの後に訪れる爽やかな感動が非常に心地良い。
 ニクソン大統領に全く興味がないという人以外に今回はフロスト×ニクソンをお勧め映画として挙げておこう

フロスト×ニクソン [DVD]
マイケル・シーン,フランク・ランジェラ,ケビン・ベーコン
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は最近はトム・ハンクスを主演にしたダヴィンチ・コード等のロバート・ラングドン教授が活躍するシリーズでヒットを飛ばしているロン・ハワード。彼のお勧め映画としてトム・ハンクスがまだコメディ路線を突っ走っていた頃のスプラッシュを挙げておこう。

 

 

 
 
 
 
 
 

 

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (アスカパパ)
2010-03-15 17:57:00
私も、この映画を観ました。
トラックバックを2回、試みたのですが、私のミステイクからか?反映しませんので、この旨、ご了承ください。

舞台劇の映画化は、ディークインパクトさんが仰って居られるように、「十二人の怒れる男」は、その代表的作品ですね。
ほかにも、「熱いトタン屋根の猫」などが浮かんできます。この映画は、舞台が殆どビッグ・ダディと呼ばれる長老クーパー(パール・アイヴス)の家のみでした。
舞台劇の映画化は、確かに、何か映画でしか表現出来ない特徴のようなものを出さないと、いい作品になりませんよね。
その点において、「欲望という名の電車」は、冒頭のニュー・オーリンズの電車風景等、舞台劇では表現出来ぬ映画の利点を発揮していたなぁ、とちょっと思い浮かべました。

日本の現状の政治やドャーナリストに対するディープインパクトさんのご意見には、全面的に賛同します。
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すみません、↑字句の訂正です。 (アスカパパ)
2010-03-15 19:05:53
先のコメントの最終行で、ドャーナリストとなっていました。
ジャーナリストの間違いです。
失礼しました。
返信する
コメントありがとうございます (ディープインパクト)
2010-03-16 09:10:12
 『熱いトタン屋根の猫』、『欲望という名の電車』の両作品とも観ていません。両方とも有名な作品なのに観ていないとは、僕も文化意識の低さを認識しています。早速観ないといけないですね。
 しかし、色々な映画を観て、自分以外の人の映画の感想を聞くと自分に無いものを感じる事があったりして参考になります。これからもよろしくお願いします

 
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