褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 モンパルナスの灯(1958) 悲劇の天才画家モディリアーニ

2023年08月03日 | 映画(ま行)
 35歳の若さで夭折した悲劇の天才画家であるアメディオ・モディリアーニ。今では彼の名前は有名だし、作品は日本でも観れるが、生前はまるで売れなくて著しく評価が低かった。さて、西洋絵画が好きな俺の彼の作品のイメージだが、その多くは女性をモデルにしており、現実離れした細長い面持ちで、目の描き方がまるでアーモンドみたいで個性的。誰の絵画の作品か知らされてなくても、これはモディリアーニの作品だと見た瞬間にわかる。正直なところ俺から見ればデッサン力があるとは思えず、大してデッサン力がない画家達が取り上げられる印象派と呼ばれる連中よりも劣るような気がする。しかし、絵の評価なんていうのは上手い下手で決まるわけではない。時々絵画展を観に行くことがある俺だが、実際に絵画を観ると絵画集のような本で観るのと大違い。生で観るとやはり画家のパッションのような物を絵画に見出すことができる。

 さて、この悲劇の天才画家の壮絶な生き様とはどのような物だったのか、ストーリーの紹介を。
 モディリアーニ(ジェラール・フィリップ)は、パリのカフェで似顔絵を描きながら小金を稼ごうとしていたが、その殆どは大して喜ばれず、せっかくの似顔絵を返され、その似顔絵の代金だけを払われる屈辱な日々を送っていた。そんな苦悩を彼は酒と女で紛らわすのだが、酒量が増えるだけで女性との付き合いも長く続かない。
 ある日のこと、美術学校に通うジャンヌ(アヌーク・エーメ)に一目惚れ、ジャンヌの方もモディリアーニの事を前から知っており、すでにその時から彼に好意を持っていたのだ。モディリアーニは付き合っていたベアトリス(リリー・パルマー)とサッサと別れ、ジャンヌと付き合おうとする。しかし、初めての待ち合わせのデート時にジャンヌはやって来ない。アル中の体が更に彼を蝕み、ついには医者から暖かいフランスの南部で療養することを求められる。
 療養しながらも制作活動を開始していたモディリアーニは何時もパリのジャンヌに手紙を書き送っていたが、一向に返事が来ない。しかし、突然ジャンヌが現れる。2人の間にやっと幸せな時が訪れるかと思われたが、モディリアーニの個展は客が入らないうえに、絵画の内容が猥褻だと警察から踏み込まれる始末。止められないアルコールは増えるばかり。しかも、彼のプライドが邪魔してアメリカ人の画商からの美味しい要求も断ってしまう。
 しかしながら、モディリアーニの絵画を昔から評価していた画商モレル(リノ・ヴァンチュラ)は彼の動向を常にチェックしており、あるタイミングを見計らって一気に彼の作品を買い漁ろうとしていたのだが・・・

 アル中にして、女性を殴り、しかもカネが無い。それなのに何でこんなに女性にモテるのかがよく理解できないのだが、売れてないにしても画家というのは女性を惹きつける何かがあるらしい。もしかしたら女性モデル達は、真剣な画家の眼差しに弱いのか?と考えたりした。
 死んでから作品が評価される画家というのは多いが、まさにモディリアーニもその1人である。彼がゴッホの事を語りながら芸術家の苦悩を語るシーンがある。ゴッホも今でこそ最も知られている画家の1人であるが生前はモディリアーニと同様に評価されず、その生き様は衝撃的。ゴッホは行動に苛立ちや苦悩を表に出すことができたが、本作のモディリアーニはジャンヌという女性と暮らしているためか、愛する彼女の手前、怒りや苦悩を表に出すことが出来ず、ひたすら酒に逃げる毎日。ゴッホに比べて、どこか暗さを感じさせる。
 さて、本作が逸品な点としてエンディングが挙げられるだろう。画商モレルがモディリアーニの作品を買い漁ろうとする時の、ジャンヌの笑顔。本作の後日談になるがモディリアーニが死んだ翌日にジャンヌが自殺したことを知って観ると、エンディングが更に際立っていることが分かるだろう。
 ちなみに本作のモディリアーニを演じたジェラール・フィリップは当時のフランスの大スター。しかしながら彼も36歳という若さで夭折をしている。そのことも知っておくと更に本作を興味深く観れるし、天才であることの脆さを改めて知ることができるだろう。
 フランス映画を観たいと思っている人、モディリアーニに興味がある人、余韻が残る映画を観たい人・・・等などに今回はモンパルナスの灯をお勧め映画に挙げておこう

 監督はジャック・ベッケル。ヌーヴェルバーグ到来前のフランスを代表する監督。肉体の冠、フレンチギャング映画の傑現金に手を出すな、脱獄映画の傑作等がお勧め







 

 







 


 

 

 
 
 

 

 
コメント (4)
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