褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 影の軍隊(1969) レジスタンス闘士のストーリーです

2015年04月30日 | 映画(か行)
 対ナチス・ドイツを描いたレジスタンス映画なんかは今でも描かれているようにワンサカある。その殆んどはレジスタンスの闘士たちが祖国のためにナチス・ドイツと戦っているシーンが多く描かれているのだが、今回紹介する映画影の軍隊は、観終わった後に『アレレ~、こいつ等殺す相手間違ってんじゃん』と思わせるような暗い気分になる映画であり、ナチス・ドイツ相手に戦っているようなシーンなんかほとんど無い。この映画で描かれているのはレジスタンス達がコソコソ逃げ回ったり、捕まって拷問を受けたり、脱獄を手伝ったり等のエピソードの積み重ね。
 そして更に衝撃的なのがレジスタンス内における鉄の規律。組織内の裏切り者を粛清していく様子は、なんだか日本においても幕末の志士達を震え上らせた新選組の内部事情を見ているような気分になる。レジスタンスの中には優しい人間も出てくるのだが、演出は非常に冷徹で感情が入り込む余地が無いのが本作の特徴だ。

 さて、実話をベースにしているらしい対ナチス・ドイツのレジスタン達の運命を描いたストーリーとはいかなるものか。
 1942年のナチス・ドイツ占領下のフランスが舞台。密告を受けてドイツ軍に捕えられたシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)は隙を見つけて脱走。その後レジスタンス仲間と合流して、密告した裏切り者を粛清する。
 シェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)は新任務のためにレジスタンス組織のボスであるジャルディ(ポール・ムリス)とロンドンへ向かう。しかし、ロンドンでの任務中にフランスでは仲間のフェリックス(ポール・クローシェ)がナチスに捕まってしまうとの報告を受け、彼の救出のためにシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)はフランスに戻り、女レジスタンスであるマチルダ(シモーヌ・シニョレ)の協力を得て、フェリックス(ポール・クローシェ)を救出しようとするが失敗に終わる。しかも、ナチス・ドイツの魔の手は再びシェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)に向かってくる・・・

 多くのナチス・ドイツに対抗するレジスタンスを描いた映画といえば、レジスタンス側を善として描いていることが多いが、本作においては悪の部分が描かれている。まあ、考えてみれば戦争において勝った方が必ずしも正義で、負けた方が悪者なんて考え方が非常に狭い見方。レジスタンス側にも非の部分があったはずだ。本作を観れば非常にそのことがよく理解できる。
 しかし、この映画は冒頭から、『悪しき思い出も、また懐かしきけり』との言葉が紹介され、続けてフランスの象徴である凱旋門をドイツ軍が行進するというような自虐的なシーンから始るあたりから、もう他のレジスタンス映画とは一線を画している。
 そしてその後に続く展開がとても重く、渋くて、派手さなんてまるでない。そして画面からしてなんだか暗い。そして極めつけがラストシーン。やっぱり戦争って勝っても負けても悲惨だよな~と思わせるのに充分過ぎるほどの衝撃を観ている者に与えてくれる。
 ドハデな撃ち合いを期待している人には向かないが、大人が観賞するには非常に見応えのある映画。それなりの緊迫感があるし、なんだか意味深なシーンも多く出てくるだけに深読みすることが好きな人は、けっこうはまるかもしれない。あんまりフランス映画を観たことが無い人にもお勧めだし、監督がジャン=ピエール・メルヴィルと聞いて、『オ~、カッコエエ~』なんて思った人にはお勧めだ

影の軍隊 [DVD]
リノ・ヴァンチュラ,シモーヌ・シニョレ,ジャン=ピエール・カッセル,ポール・ムーリス
ジェネオン・ユニバーサル

 
 監督は前述したようにフランス人のジャン=ピエール・メルヴィル。渋くて、格好良い映画を撮る監督さん。この人のお勧めは犯罪映画の仁義、アラン・ドロンがクールで格好良い殺し屋を演じるサムライがお勧め。

 主演のシェルビエを演じるのがリノ・ヴァンチュラ。多くのフランス映画の名作に出演している名優。この人のお勧めはジャン・ギャバン主演の現金に手を出すな、ジェラール・フィリップが不運の画家モディリアーニを演じたモンパルナスの灯、アラン・ドロンと競演した冒険者たちがお勧めです。

 女レジスタンスであるマチルダを演じるのがシモーヌ・シニョレ。この人のお勧めはマルセル・カルネ監督の嘆きのテレーズ悪魔のような女の2作品ともサスペンス映画として上手くできておりお勧めです。

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