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僕の大好きな映画にシドニー・ルメット監督のアメリカ法廷映画の12人の怒れる男がある
まさに古き良きアメリカの正義と民主主義が描かれた素晴らしい映画ほとんど密室内での状況を描きあのラストシーンの開放感は観ていて、息苦しさから解放された気分になったものだ民主主義国家でないと製作されなかった映画であるが、しかしこの映画のリメイクをまさかロシアが製作すると聞いた時は驚いた
ロシア版12人の怒れる男の監督はソ連(現ロシア)時代からアンドレイ・タルコフスキーと並び称される監督であるニキータ・ミハルコフ
彼も数々の名作を撮っているが、残念ながら今まで彼の映画は機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲という長ったらしいタイトルの映画しか観たことがない
この映画が群集劇でブルジョワ批判を取り入れた非常にコメディータッチな映画で面白かった彼の映画で他にもみたい映画がいっぱいあるね例えば、『黒い瞳』『ウルガ』『太陽に灼かれて』などVHSレンタルの時にはあったのにDVDになったら観る機会を逃してしまったようだ。あ~あ!もったいない
それにしても、僕はリメイクされた映画は嫌いなのだがこの映画はアメリカを現代のロシアに置き換えた点で非常に深みのある映画になっている
大体のストーリーはアメリカの『12人の怒れる男』と同じだが、ロシア版になると現代のロシアが抱える問題が、この映画に深刻なテーマとして盛り込まれている
まさにアメリカ版が民主主義の宣伝映画とするならば、ロシア版はロシアという国家が抱える問題を世界に訴えた宣伝映画の違いがある
それではチェチェン紛争を取り入れたロシア版12人の怒れる男を紹介しよう
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チェチェンの青年が叔父を殺したと思われる裁判が行われている証拠品及び証言から青年が叔父を殺したことは明らかのように思われる
12人の陪審員たちは裁判所の隣にある学校の体育館で審議をすることになる12人の陪審員達は携帯電話を取上げられ、しかも体育館から出られない状況で審議が行われる
青年が有罪と判断するには12人の陪審員たち全員が有罪に賛同しなければならないしかし、1人でも無罪を主張する人物がいればとにかく全員一致で決まるまで無罪か有罪かの議論が永遠と続くのであるしかし、審議は簡単に全員一致で有罪で終わると思われたのだが・・・
しかし、1人の人物が自信はもっていなかったが青年を無罪だと主張したその人物が言うには1人の青年が何の議論もされずに簡単に有罪にして一生刑務所暮らしにしても良いのか(ロシアには死刑制度がない)と訴えるのである
最初は無罪を訴えていた人物が1人だけだったのが、やがてこの12人の陪審員たちは自分の過去を振り返りながら、朝まで時間が掛かり結局はこの青年は全員一致で無罪になり、さらにこの青年の叔父を殺した人物像まで追求してしまうのである
長い審議の結果、青年は無罪になるがロシアの諸問題はこの青年を刑務所から出所させるだけでは済まないのであるが・・・続きは映画を観てください
この12人の陪審員は非常に個性的であり、ロシアの問題を抱える人物が揃っている例えばユダヤ人に対して偏見を持っており外国人嫌いの人物、過去に自分の人生に絶望しながらも今は会社を立ち上げ、ロシア国内だけでなくグローバルに展開する会社の社長、そして闇社会に詳しい人物、現在のロシアの体制に疑問を持つ人物など様々な視点からロシアの抱える諸問題が浮かびあがってくる
そして叔父殺しの裁判をかけられている青年も、チェチェン紛争によって孤児となり、ロシア軍の叔父に助けてもらうシーンなど、その青年の背景も映画の中で台詞ではなく、映像で説明されているのが、オリジナルのアメリカ版『十二人の怒れる男』と最も異なるシーンだろうそして、アメリカ版は狭い密室でのやり取りに息苦しさを感じるが、ロシア版は広い体育館で議論が行われ、12人の役者たちがダイナミックに演じていて、その演技はオーバーに感じるぐらいだ
そしてアメリカ版では少年の無罪の結果が出れば全て解決という雰囲気だったが、ロシア版になると青年の無罪が決まっても、そこからが大きな問題をロシアという国は抱えていることを観ていてわかる事になる
アメリカ版の『十二人の怒れる男』の単なるリメイク映画かと思って観ると良い意味で裏切られる事になる
映画好きの人には僕もだけれどリメイク映画が嫌いな人が多いけれど、この映画は単なるリメイクでは済まされない迫力、社会問題を取り入れた紛れもないロシア映画です
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