明るく楽しい日々を願って。

毎日の平凡な出来事を、日記のように綴ります。趣味の切手も時々アップします。
どうぞ宜しく・・・。

読書始め

2018年01月10日 | 古典を読む

今日は、昨日とは打って変って

良いお天気でした。

朝日カルチャーセンターの今年はじめての講座、

津島知明先生の『じっくり味わう枕草子』がありました。

 

今日は、「枕草子」 八十段のご講義を拝聴しました。

先ず、八十段の最初の部分を変体仮名で読みました。

     

(返る年の二月二十余日 宮の職へ出でさせたまひし

御供にまゐらで 梅壺に残りゐたりしまたのの日…)と

読みます。

2017年4月から10回目になるこの回を受講して

変体仮名にもだいぶ馴れてきました。

 

実は、この八十段は意味深な段なのでした。

私は、他のグループの方々と

「枕草子」を読んでいますが、

この段は、表面的にすらっと読んだのみでした。

「枕草子」の各参考書も、表面的な解釈で

終っています。

 

津島先生にかかると、

この段は、長徳二年(西暦996年)の大事件が

あった年だということです。

これまで権勢を誇っていた中宮定子の父・道隆が

亡くなって、権力は道長側に移ってしまいました。

そして中宮定子の兄・伊周と弟・隆家花山院を射た

件により逮捕され、定子も自身で髪を切って落飾

したという事件が起きました。

 

第八十段は、道長側の斉信(なりのぶ)の

外見の美しさだけを描写し、斉信とは相入れない

(道長側にはつかない)清少納言の態度を示す段

だったのです。

 

私の「枕の草子」の読み方が、如何に浅薄だったか

解りました。

 

今日の「読書始め」は、私にとって意義のあるものに

なりました。充実した「読書始め」でした。

清少納言に賛辞を捧げたい。

 


李白の詩

2017年11月15日 | 古典を読む

今日は、良いお天気になりました。

室内に取り込んでいたドラセナを外に出して、

水やりをしたり、洗濯物を外に干したり忙しい日でした。

 

私は、月に一度、《歩む会》というグループで

李白を読んでいます。

     

こちらは、1983年に中国から発行された李白の切手です。

 

李白の詩の中で、日本の留学生・阿倍仲麻呂を詠んだ詩があります。

その詩の書き下し文を紹介します。

(漢字が多いですが、しばらく我慢してお読みください。)

 

   晁卿衡(ちょうけいこう)を哭(こく)

 日本の晁卿 帝都を辞し

 征帆(せいはん) 一片 蓬壺(ほうこ)を繞(めぐ)

 明月 帰らず 碧海に沈み

 白雲 愁色 蒼梧(そうご)に満つ

   訳文 (日の本の晁卿殿は 長安に別れを告げて

       お国に帰られた。 

       けれども 遠くに旅立った船は 蓬莱の島の

       近くで 波にのまれた。

       明月のようなお方は 青海原の藻屑と消えて

       国に帰ることは かなわなかった。

       白い雲が 哀しみをたたえて 蒼梧の空を

       覆っているよ。)

 

阿倍仲麻呂は、遣唐留学生として、養老元年(717年)唐に行き

 玄宗皇帝に仕え晁衡(ちょうこう)と呼ばれました。

 優秀な学生で、唐の国家試験に合格して高官に登りました。

 李白をはじめとする詩人たちと交わりがありました。

 日本へ帰ろうとして帰国船に乗ったところ、その船が難破して

 亡くなったとの知らせが届き、李白は阿倍仲麻呂を悼む詩を

 作りました。

阿倍仲麻呂の船は、ベトナムに流れ着き 一年半をかけて

長安に帰りました。そして、ついに日本へ帰ることはできま

せんでした。

 

     

これは、1975年に発行された遣唐使船の切手です。

     

こちらは、11月3,4,5日に開催されたJAPEX’2017の記念カードです。

 

遣唐使船は、無事航行に成功するのは8割だったそう。

この切手に描かれているような船であったら、

荒い波にすぐ呑まれそうですね。

 

阿倍仲麻呂が、日本への望郷の思いを詠ったうたが、

百人一首に採られています。

尾形光琳の描く《光琳歌留多》をアップします。

     

     天のはら ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも

 

李白の詩は、日本でも広く膾炙されています。

最近、漢文がすたれて、横文字が隆盛ですが、

どうしてどうして、漢文は日本語の中にすっかり

溶け込んでいます。

 

源氏物語、枕草子など漢文の知識がないと

読み解けないものもあります。

《歩む会》の岡本先生が仰いますには、

明治政府の正式文章は漢文だったと

いうことです。

 

私たちフツーの主婦たちが、漢文を読んでいるのは、

珍しいかも…。