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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ナタモンアシブトクチバ

2016年01月08日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 枯葉より寂しい?

 秋、枯れ葉の季節は倭国での話。沖縄で数少ない落葉樹が葉を落とすのは晩秋から。記録的残暑が12月まで続いた2015年は、畑の周りにある落葉樹、モモタマナとサクラの葉が落葉し始めたのは12月中旬だった。記録的残暑、何しろ12月下旬になっても那覇の最高気温はずっと20度超え、時には27度超えもあった。「冬、来るかなぁ、葉っぱ落としてもいいのかなぁ」と沖縄の落葉樹たちは迷ったに違いない。
 さて、地球温暖化も気になるが、ここは蛾の紹介。

 朽葉は広辞苑に「朽ちた落葉」とあり、枯葉は同じく「枯れた草木の葉」とある。朽ちると枯れるどう違うか解りにくいので、ならばこう表現しよう、「朽ちた人」と「枯れた人」。これなら想像しやすいと思う。「朽ちた人」は「死んだようになった人」で、「枯れた人」は「欲望が消えた人」と想像できる。ということで、「枯れた人」はまだ話ができるが、「朽ちた人」はもはや話しかけることもできない。とても寂しい人に感じる。

 クチバと名のつくガの種類はいくつもある。その由来は、正確なところは判らないが、おそらく朽葉の意で、体色がそのような色をしているからだと思われる。図鑑の写真を見て私が感じた限りで言えば、確かにどれも地味な色をしている。
 地味なのでモテない、モテないのでクリスマスも独りぼっちなのだろうか?いやいや、それは私のことだ。ガたちはきっと、恋人がいて子孫を残している。

 ナタモンアシブトクチバ(鉈紋足太朽葉):鱗翅目の昆虫
 ヤガ科 琉球列島、台湾、インド~オーストラリアに分布 方言名:ハベル
 名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の鉈紋脚太朽葉は全て私の想像。鉈紋、脚太、朽葉の内、鉈紋については『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は・・・黒褐色帯の内側は強く湾曲し、外側は2ヶ所で後方へ突出する」とあるその黒褐色帯の形が鉈の形に見える。脚太については、文献の写真も私の写真も足が見えないが、たぶん太いのであろう。朽葉は、クチバと名のつく蛾は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に載っているだけでもヤガ科に17種ある。そのどれも翅色が赤褐色とか黒褐色とか灰褐色とある。~褐色というその色が朽葉に喩えられているのではないかと想像する。枯葉でもいいのではと思うが。
 食草が琉球列島以南に分布する植物ということで、本種の分布も琉球列島から南。沖縄では「山麓や平地の林で採れる普通種」とのこと。
 前翅長23~25ミリ。成虫の出現は3~11月。食草はオオシマコバンノキ。
 
 成虫

 記:ガジ丸 2015.12.28 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


仲良し隣人

2016年01月01日 | 通信-社会・生活

 大学の5年間(1年留年)を私は4つのアパートで暮らしている。最寄り駅名でいうと最初は吉祥寺、次は武蔵境、3番目は東小金井、最後は恋ヶ窪。恋ヶ窪は住み心地が良く幸せな1年余であった。東小金井は姉と同居で苦痛の1年。1つ飛ばして吉祥寺は、住み心地としては良くなかったが、上の部屋に同級生がいて、他の同級生もたびたび集まって賑やかな日々であった。大家とも親しくさせてもらい、幸せな1年余であった。
 1つ飛ばした武蔵境、そのアパートは小さな部屋で、もちろん風呂などついていない。でも、隣の部屋に新婚さんが住んでいて、その若妻が美人で、しかも、「こんなの作ってみたけれど食べてみて」とたまに手料理を持ってきてくれる優しい人であった。その美貌と優しさに私の下半身は疼いたのだが、「耐えろ俺、こんな善い人を襲ったりしたら地獄に落ちるぞ」と叱り、何とか耐えて良い関係を保つことができた。姉とその恋人が押しかけ、強引に住み着くまでの1年弱、武蔵境は大学の5年間で最も幸せであった。
          
 東小金井のアパートと恋ヶ窪のアパートでは隣人との付き合いは無かった。沖縄に帰って、首里石嶺の4世帯だけの小さな安アパートで暮らしていた時は、アパートの他の住人たちと声を交わす機会は多かった。私の部屋は2階の奥にあり、越してきた当初の真下の部屋には30前後の夫婦が住んでいて、隣にはもっと若い夫婦が住んでいた。若夫婦はすぐに越していって、その後にバツイチらしきお母さんと娘2人が住むようになり、下の部屋は30前後の夫婦が出て行ったあと、マリリンモンローのようなグラマラスな体をした若い女性が住み、その人が出て行ったあとはバツイチらしき若い女性が住んだ。それらの人たちとは多少の付き合いがあった。特に、バツイチらしき若い女性は可愛い女性で、この人とはよくユンタク(おしゃべり)した。今は誰一人その名を思い出せないが、日記を見ればその名も判明するはず。名前を認識して会話するほどの付き合いであった。

 付き合いはアパートの住人だけではない。アパートとは別棟だが、すぐ隣に住んでいた大家さんとはもっと親しく、その名もNさんと記憶に刻まれている。向かいのAおばさんも名前と共によく覚えている。名前は思い出せないが隣の一軒家に住むおばさん、新聞配達のおばさんなどともよくユンタクし、親しくさせてもらった。
 親しくさせてもらった人たちはみな「いちゃりばチョーデー(出会えば兄弟という意の沖縄語)」といったウチナーンチュらしい雰囲気を持っていて、私も話しやすかった。今住んでいるアパートは20世帯ある。その内ユンタクする人は一人もいない。挨拶を交わす人も社会人らしき数人だけ、住んでいるのは若い人(近所に琉大があり、その学生)が多く、彼らはすれ違っても、目を合わせようともしない。倭国には「他人を見たら泥棒と思え」なんていう言い回しもある。沖縄の「いちゃりばチョーデー」とは真逆だ。アパートの若い人たちは私のことを泥棒と思っているのかもしれない。
          
 年末、「韓国と和解・・・」なんて嬉しいニュースがあった。和解して仲良くなったらもっと嬉しい。隣人が仲良しであったなら、こんな幸せなことは無い。ただ、その和解が両首脳の手柄にするためのもの、ではないことを願う。傷を受けた当事者たちのための和解であって欲しいと願う。ついでに、2016年が良い年になることも願おう。

 記:2016.1.1 島乃ガジ丸


オオタカ

2016年01月01日 | 動物:鳥

 白い眉毛の精悍

 私のHP及びブログは毎週金曜日にアップしている。2016年正月が金曜日になることは12月の中頃には気付いていたが、特に気にもせず、日々、記事書きにいそしんでいた。「クリスマスだろうが正月だろうが、独りぼっちの後期オジサンには関係無ぇ」という気分だ。その日の記事の一つは今週月曜日(28日)には既に書き終えていた。記事は沖縄の動物の紹介、動物の中の昆虫、先々週先週に続いて昆虫の中の蛾。

 「正月早々蛾はいかがなものか、見た目きれいじゃないよな、名前もクチバ(朽葉)だし、目出度くもないよな」とその記事を書き終えて思った。正月には少しでもそれにふさわしいものにしようと、パソコンの、動物写真をストックしてあるフォルダを見る。ふさわしいものはあった。「一富士二鷹三茄子」の鷹、しかも大が付いてより目出度い。

 2016年最初に紹介するのは動物、動物の中の鳥、鳥の中の鷹、私の畑なっぴばるにも、毎年冬になるとやってくる白い眉毛をしたカッコいい奴。

 
 オオタカ(大鷹):タカ目の鳥類
 タカ目タカ科の旅鳥及び冬鳥 日本各地、北半球に分布 方言名:タカ
 名前の由来、タカは『動物名の由来』に「猛き鳥なので、タケとよんだものが転じてタカになったという説」とある。その他いくつかの説があり、定説はないようだ。オオについては不明。大きさはサシバと同じくらいでハヤブサやツミに比べると大きいが、カンムリワシやノスリに比べると小さい。ハヤブサやツミと比べたのかもしれない。
 日本国内で繁殖するが、沖縄には冬鳥として渡ってくる。沖縄へ来るのは幼鳥が多いとのこと。雄雌に見た目の違いは多少あるようだが、共に白いくっきりした眉斑があることが本種の特徴であるようだ。白い眉斑は幼鳥にもある。
 冬になると私の畑でもよく見かけるようになる。農耕地添いの林になどを住処としているようで、私の畑(農耕地)の向かいの森の樹木の枝にしばしばとまっている。
 沖縄で見られる時期は12月から3月。鳴き声はキィー、キィー。小鳥、ノネズミなどの小動物を捕食する。

 記:2015.12.29 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行