ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

セイタカシギ

2016年01月21日 | 動物:鳥

 水辺のバレリーナ

 沖縄では盆(旧暦)正月(新暦)に親戚回りをする。近い親戚や本家筋でトートーメー(位牌)のある家に伺い、仏壇に供えものを捧げ、線香を点て、手を合わせる。盆正月に父が回っていた家は4家あり、父の死後、私も同じ4家を回ることにしている。
 ところが、私の実家にもトートーメーがあり、いくつかの親戚がやってくる。私は独り者である。私が親戚回りをすると、その間、家にやってくる親戚たちを中に入れ、お茶やお菓子を出し、話の相手をする人がいない。去年の旧盆に私が親戚回りをしている間に訪ねてきた親戚がいて、失礼をしてしまった。で、今年の正月からはトートーメーへの年賀(倭国のお歳暮にあたる)を郵送し、私はずっと実家にいることにした。こんな時は、女房の必要を感じる。「結婚しておきゃ良かったなぁ」と思う数少ない時だ。

  元日の午後、従妹一家が来た。夫、高校生の長女、まだ保育園の長男の4人。
 長女Hとは彼女が小さい頃から会っていてよく知っているが、会うたびに「ほう」と思うことがある。従姉と夫は普通の体型だが、彼女はその遺伝から離れ、突然変異しているかのようである。まるで黒人女性のモデルのようにお尻の位置が高いのだ。お尻の位置が高いので脚が長い、「ほう」と思うくらい長い。体型も痩せ形なので、もう少し身長が高ければトップモデルになれるに違いない。「H、君のそのお尻から脚の写真を撮りたいのだが」と去年頼んだのだが、「嫌なこった」と断られた。

 昨年9月の与那国八重山オジサン二人旅で、脚のながーい鳥に出会った。写真を撮って図鑑で調べる。「脚のながーい」という特徴からセイタカシギという種であることがすぐに判明した。正月、久々にHに会って、そのながーい脚を見て、「ほい、ほい、そう言えばHに似た鳥を見たな、石垣島で」と思い出し、今年初のガジ丸は、その紹介。

 
 セイタカシギ(背高鷸)
 チドリ目セイタカシギ科の冬鳥 世界に広く分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確なところは不明だが、脚が非常に長い、つまり背が高いので背高、シギに近い仲間なので鷸、ということで間違いないと思う。
 名の通り脚は長い、長くて細い。『沖縄の野鳥』に「ピンクの細長い足が鮮やかで、水辺で軽やかに餌をとる姿から”水辺のバレリーナ”の愛称がある」とあった。「スラリとしたファッションモデルみたいな鳥」と私は思ったが、”水辺のバレリーナ”にも十分納得できる。くちばしは黒く、まっすぐで、これも細長い。
 生息場所は水田や干潟など、鳴き声は「ピューイッ、ピューイッ」とのこと。沖縄で見られる時期は8月から5月。頭部の黒い個体、白い個体がいるらしく、私が与那国島で撮った写真にも黒いの白いのがいるが、雄雌の違いでは無く、個体差とのこと。

 記:2012.1.2 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


アオバズク

2016年01月21日 | 動物:鳥

 ほぅほぅの主

 4月11日の深夜、「ほぅほぅ、ほぅほぅ、ほぅほぅ」と鳴く声が聞こえた。窓を開けて外を覗いたが、暗闇には何も見えなかった。声は断続的に続いていた。アパートからすぐ近くにある小学校の方から聞こえる。しだいに遠ざかっているようで、声はだんだん小さくなっていき、声に気付いてから10分も経つと、聞こえなくなった。
 「ほぅほぅ、ほぅほぅ」という鳴き声を生で聞いた記憶が私には無い。聞いた経験は無いけれど、テレビで観たり、話で聞いたり、本で読んだりした経験から、それはおそらくフクロウの類であろうと想像はできた。しかしながら「こんな所にフクロウ?」と不思議に思った。何故なら、「森のフクロウ」というくらいだから、フクロウは森の住人だと認識していたから。けれど、「ほぅほぅ、ほぅほぅ」は確かに聞こえた。

  『沖縄の野鳥』を調べると、「ほぅほぅ、ほぅほぅ」と鳴くフクロウの類が1種だけあった。アオバズクという。私が聞いた声の主はきっとこいつに違いない。「沖縄では留鳥で年中見られる」、「ホウホウ、ホウホウと低い声で鳴く」、「平地や山地の森林に生息する」といった説明が、私の聞いた「ほぅほぅ、ほぅほぅ」の条件に合う。すぐ近くにある小学校の庭は森林とは言えないが、徒歩30分圏内に弁が岳公園、末吉公園といった十分に森林と呼べる場所がある。いずれかに住んでいる1羽のアオバズクが、4月11日の深夜、「ちょいといつもと違う所を散策してみっか」と思ったに違いない。
 「ほぅほぅ、ほぅほぅ」はそれから数日後の未明にも聞こえた。図鑑のアオバズクはまん丸目玉のひょうきんな顔をしている。「ほぅほぅ、ほぅほぅ」を聞きながら「会いたいなぁ」と思ったが、夜の弁が岳公園、または末吉公園に行く気はしない。必ず奴が出る。暗い中では危険察知能力も劣る。私はきっと嚙まれるに違いない。ハブに。
     
 追記:2018.12.24
 畑仕事を辞め、時間に余裕ができて、物置作りなどしながら知人のH爺様に頼まれている薬草表作りを延々と続けていたら、10月終わり頃、使っていたパソコンが壊れるという事件があり、別に使っていた代わりのパソコンの中身の整理を始めた。
 パソコンの中身にはいろいろなデータが入っていて、もうすっかり記憶から消えていた画像なども出てきた。2010年8月に本部博物館で撮ったヤンバルの生き物たち、2012年6月に大宜見の山と水の博物館で撮ったヤンバルの生き物たちの写真がザクザク出てきた。記憶が蘇る。「自分で撮れない写真はこれらが使えるな」と喜んじゃないか。そう喜んだこともすっかり忘れて、もう6年も過ぎてしまった。やっと陽の目を見る。
 
 アオバズク(青葉木菟・青葉梟):フクロウ目の留鳥
 フクロウ目フクロウ科の野鳥 中国、朝鮮、日本などに分布 方言名:タカヂクク
 名前の由来は広辞苑にあった。「青葉の頃鳴き始めるからいう」とのこと。では、ズクとは何ぞや?となって調べてみたが、資料が無く不明。梟と漢字が充てられているのでフクロウの別称ということなのかもしれない。
 方言名はチクク、タカヂククとあり、共にフクロウ類の総称とのこと。同じフクロウ類でもミミズクの類(耳のように見える長い羽毛を持つもの)はマヤーヂククという。猫のようなフクロウということだが、であれば、タカヂククは鷹のようなフクロウということであろう。本種は、顔はフクロウの顔だが、体は鷹のように見える。
 全長は29センチ。耳羽は無く、体の下面は淡色に太い黒褐色の縦縞が目立つ。目は黄色。平地や山地の森林に生息。日本では夏鳥と広辞苑にあったが、沖縄には亜種のリュウキュウアオバズクが留鳥として生息し、年中見られるとのこと。夏にやってくるアオバズクとよく似ていて両者の識別は困難とのこと。
 山地や平地の森林の他、人家近くの林にも生息し、夜間、昆虫などを捕食する。鳴き声はいかにもフクロウらしいホウホウ、ホウホウで、活動している夜間に鳴く。
 ちなみに学名は、
 アオバズク Ninox scutulata
 リュウキュウアオバズク Ninox scutulata totogo

 訂正加筆:2018.12.24

 記:2011.5.1 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


シロチドリ

2016年01月21日 | 動物:鳥

 千鳥足

 海岸を歩く、若い頃は頻繁にあった。若い頃は海水浴に行き、ビーチパーティーをし、キャンプにも行き、デートで女性と海を眺め、浜辺でイチャイチャもしていた。オジサンとなってからは海岸のデートなんてほとんど無い。イチャイチャなんて皆無。
 海岸を歩く、オジサンと呼ばれる歳になってからは随分と減っていた。それがこのHPを始めるようになってから散歩が趣味となって、海岸端を歩くことも増えた。特に脱サラ農夫の友人Tが吉の浦に店を構えてからは、吉の浦海岸を年に数回歩いている。
 海岸を散歩していると、しばしば海鳥に出会う。海鳥って、いたんだ。そういえば、若い頃はちっとも気付かなかった。ヤンバル(沖縄島中北部の通称)でキャンプをしていれば、きっと多くの海鳥に出会っているはずだが、興味が無いものには気付かないということであろう。ヤンバルに多いカラスには気付いている。奴らは煩いから。

 去年(09年)、吉の浦海岸の散歩で何度も海鳥に出会い、その内、いくつかは写真が撮れた。後日調べると、チドリの類が2種、シギの類が2種であることが判明した。
 チドリ、という名前は若い頃から知っていたが、「そうか、君がチドリか」と、その姿を認識したのはこれが初めて。なので、チドリというとその姿よりも千鳥足とい言葉が先に思い浮かぶ。オジサンの私は、深酒すると決まって千鳥足になる。「ウソッ!」と思うくらい千鳥足になる。若い頃はそんなこと、全然無かった。
 ちなみに、千鳥足とは、「左右の足の踏みどころを違えて歩く千鳥のような足つき。特に、酒に酔った人の足つき。」(広辞苑)のこと。

 
 シロチドリ(白千鳥)
 チドリ目チドリ科の留鳥 全国に分布 方言名:チヅイ(チドリの総称)
 チドリ(千鳥)が広辞苑にある。名前の由来として「数多く群をなして飛ぶからか、また、鳴き声からか」とあって、正確なところは不明のようである。私としては、鳴き声からというより、群れで飛ぶからの方が風情があって好き。
 チドリは「チドリ目チドリ科の鳥の総称」(広辞苑)で、本種は胸や腹など白い部分が多い。参考文献に名前の由来は無いが、よって、シロ(白)なのだと思われる。
 『沖縄の野鳥』に「県内で繁殖する唯一のチドリ類」とある。同書には10種類のチドリ科が紹介されているが、他はみな旅鳥とのこと。シロチドリの項にはもう一つ面白い記述があった。「巣やヒナに人や犬などが近付くと、親鳥はケガをしたようにふるまい(擬態行動)、自分に注意を引きつけてヒナを守る」とのこと。親の鏡だ。
 『沖縄の野鳥』によると「海岸、埋立地の砂地などに営巣する」とのことで、生息場所も砂浜や干潟となる。私もそのようなところでしか見ていない。鳴き声は「ピュル、ピュル」、警戒時には「ピュイとかポイッ」とのこと。私は聞いたことが無い。
 全長17.5センチ。本土では夏鳥とのことだが、沖縄では留鳥となっている。

 記:ガジ丸 2010.1.4 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行