300坪の畑地を借りて、農業で少なくとも自給自足、できれば年収36万円を目指している私は、他人がどう見るかは不明だが、少なくとも私なりの努力はしている。
努力は、機械を使わず我が身一つで畑地を耕し、種を播き、収穫するという努力、機械を使わないのは耕す作業だけで無く、除草の際も鎌などを使っての手作業だ。もう一つ、無農薬、無施肥で作物が育ち、それなりの収穫ができるための努力もある。そのための試行錯誤、カッコ良く言えば実験もいくつかやっている。
「機械を使わず我が身一つで畑地を耕し」については、最初に耕した時は土がとても硬くて「こりゃあ無理だぜ、耕運機を買おう」と挫けかけたのだが、1度耕して作物を育てた畝の土は最初に比べずっと軟らかくなっていて、「これならできるかも」となり、耕運機を買わずに済んでいる。手作業の除草はコツコツとほぼ毎日続けている。
ほぼ毎日少しずつコツコツやっている除草作業であるが、全然間に合っていない。春になると畑は雑草天国となり、暖かくなるにつれてその成長はどんどん速くなる。雨の多い梅雨時から夏場にかけては先週除草した箇所も今週にはもう草が生え始め、3週間後には元通りになる。秋になっても秋の雑草が蔓延り、冬になれば冬の雑草が蔓延る。除草はいつ果てるとも無い農夫の仕事であると思い知らされている。
雑草はまだいい。腰をかがめての作業で腰は痛くなるが、何とかかんとかやり続けて、取りあえずは、「ここは原野では無く畑です」といった見た目を保持している。雑草よりずっと厄介なのが害虫。見習い農夫はこれに酷く痛めつけられている。
一昨年(2014年)のダイコンとカブは虫に葉が食われ、ほとんど成長しないまま枯れてしまった。近所の先輩農家から助言をもらい、2015年のダイコンはトンネル栽培で防虫ネットを張った。それでも2000円ほどの売り上げしかなかった。
2014年、レタスを1畝分約60株ほど植えた。しかし、虫喰いでほとんど売れなかった。2015年は自家消費用の少量栽培とし、今年は1株も植えていない。
2014年のエダマメは生育が悪かった。それでも「酒の肴だ、豆腐の材料だ」と優遇して、去年は4畝分(約250株)も播いた。しかし、その内収穫できたのは10株もなかった。原因は不明だが、花が咲いて莢も着けたのに、莢の中の実が成長しなかった。
エダマメの実が成長しなかった原因は害虫かもしれないが病気かもしれない。いずれにせよ、原因究明しないと今年(2016年)もまた同じ失敗を繰り返すことになる。これは何度試行錯誤を繰り返しても究明できないであろう・・・と思い一念発起。
約250粒の種を播いたエダマメが大失敗と判断した去年夏頃から、図書館から本を借りて読んでいる。本だけではなくDVDも借りて観ている。もちろん農業に関する本やDVDである。特に本は自然農法に関するものを選んで読んでいる。今のところ、気になる個所を選んでの飛ばし読みだが、いずれはきちんと読んで勉強しようと思っている。
農業で生活費を稼ぐというのは難しい。結婚して子供をもうけ、家を建て、なんてのは夢のまた夢の話だが、一人生活だけでも難しい。試行錯誤では時間が足りない。私も若くは無いのだ。先人の知恵を借りて時間短借を図らなければならないのだ。
記:2016.1.8 島乃ガジ丸
枯葉より寂しい?
秋、枯れ葉の季節は倭国での話。沖縄で数少ない落葉樹が葉を落とすのは晩秋から。記録的残暑が12月まで続いた2015年は、畑の周りにある落葉樹、モモタマナとサクラの葉が落葉し始めたのは12月中旬だった。記録的残暑、何しろ12月下旬になっても那覇の最高気温はずっと20度超え、時には27度超えもあった。「冬、来るかなぁ、葉っぱ落としてもいいのかなぁ」と沖縄の落葉樹たちは迷ったに違いない。
さて、地球温暖化も気になるが、ここは蛾の紹介。
朽葉は広辞苑に「朽ちた落葉」とあり、枯葉は同じく「枯れた草木の葉」とある。朽ちると枯れるどう違うか解りにくいので、ならばこう表現しよう、「朽ちた人」と「枯れた人」。これなら想像しやすいと思う。「朽ちた人」は「死んだようになった人」で、「枯れた人」は「欲望が消えた人」と想像できる。ということで、「枯れた人」はまだ話ができるが、「朽ちた人」はもはや話しかけることもできない。とても寂しい人に感じる。
クチバと名のつくガの種類はいくつもある。その由来は、正確なところは判らないが、おそらく朽葉の意で、体色がそのような色をしているからだと思われる。図鑑の写真を見て私が感じた限りで言えば、確かにどれも地味な色をしている。
地味なのでモテない、モテないのでクリスマスも独りぼっちなのだろうか?いやいや、それは私のことだ。ガたちはきっと、恋人がいて子孫を残している。
ナタモンアシブトクチバ(鉈紋足太朽葉):鱗翅目の昆虫
ヤガ科 琉球列島、台湾、インド~オーストラリアに分布 方言名:ハベル
名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の鉈紋脚太朽葉は全て私の想像。鉈紋、脚太、朽葉の内、鉈紋については『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は・・・黒褐色帯の内側は強く湾曲し、外側は2ヶ所で後方へ突出する」とあるその黒褐色帯の形が鉈の形に見える。脚太については、文献の写真も私の写真も足が見えないが、たぶん太いのであろう。朽葉は、クチバと名のつく蛾は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に載っているだけでもヤガ科に17種ある。そのどれも翅色が赤褐色とか黒褐色とか灰褐色とある。~褐色というその色が朽葉に喩えられているのではないかと想像する。枯葉でもいいのではと思うが。
食草が琉球列島以南に分布する植物ということで、本種の分布も琉球列島から南。沖縄では「山麓や平地の林で採れる普通種」とのこと。
前翅長23~25ミリ。成虫の出現は3~11月。食草はオオシマコバンノキ。
成虫
記:ガジ丸 2015.12.28 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行