レストランの経堂経営者でバーテンダーの男は、昔老女とある約束をした。彼女の娘は酷い殺され方をした。犯人が刑務所から出てきたら、自分に代わって殺して欲しい。そのために金を払うと。男はやくざに追われていたので、金を受け取り、他人の戸籍を買い、顔を整形して別人と生きることになった。結婚し、子供もできて幸せに暮らしていたら、手紙がやって来た。「あの男たちが刑務所から出てきます」 自分に娘の仇をうってくれと頼んだあの女性はもう死んだはずだ。無視していると、あの男たちを殺さないのならお前の家族に危害を加えるという…
ピンチに立たされた男。普通じゃない設定なのに、妙にリアル。ドキドキしながら読んだ。
ラストは、ある程度予想していた方向からのひねりだった。その分減点はあるものの、全体としては楽しませてもらった。
今日の一曲
誓約と言えば、約束。渡辺徹で「約束」
では、また。
少年Aの事件を、後に知って彼の事を崇拝し始める少女。被害者の遺族。小説家志望の女性。少年Aの独白。を絡め合わせた連作短編集。
少年Aと言えば「絶歌」が話題になった。私の住む街では堂々と平台に山積みにする書店があれば、ビニールに包んで中が読めなくしてある書店もある。ざっと立ち読みした限りでは、出版差し止めにするほどの内容ではないという印象だった。
前半は、なぜ事件を起こしたのか、後半は医療少年院(であってたっけ?)の日々と、社会に戻ってからの苦労が書いてあった。
前半、なぜこんなことをしてしまったのか、表層的なことだけでないことを書いてくれれば、犯罪を研究する学者やジャーナリスト、医療関係者にプラスになると思う。でもそれほどの内容ではない。読むと誰が得するか分からない本だと思う(儲かる出版社や著者は存在するだろうけれど) と同時に、こんな本は出してはいけないと叫ぶほどの内容ではないとも思う。
さて、本作。
少年Aを連想させるキーワードがあちこちの出てくる。となるとドキュメントとして読めばいいのかと思うけれど、参考図書を見る限り、そうでもないよう。では、フィクションの多いエンターテイメントとして楽しめるかと言えば、そうでもない。正直、誰が何のために読む本か分からない。
言葉に出来ないことを、無理して言葉にするとこういう小説になってしまうのかも知れない。
今日の一曲
タイトルになっているのはニルヴァーナ。Nirvanaで"Come As You Are"
では、また。
温泉地の硫化水素の事故が別々の所で発生し、二人が死んだ。大学の研究者が調査するが、二人が死んだ場所で硫化水素が自然に発生する可能性は極めて低い。被害者の一人は映画プロデューサー。若い妻が金目当てに殺したのだろうか。調べていくと、被害者は両方ともある映画監督と関係がある。その監督の妻と娘は硫化水素で死に、息子は一命をとりとめた。その息子を救った医師の娘が、助かったその息子を探している。特殊能力を持ったその娘は…
おっと。最近の東野圭吾作品はあまり楽しめていなかったのだけれど、これはなかなか。
SF的設定が許容できるか否かで評価は大きく分かれるだろうと想像する。そのSF的設定が個人的にはすごく「許容できる」ので、愉しく読ませてもらった。
今日の一曲
歴史をポップな唄に変えてしまうレキシ。上原ひろみ=オシャレキシとのコラボで「狩りから稲作へ」
上原ひろみってスゴイ。