頭の中は魑魅魍魎

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映画『ゴッドファーザー PART II』

2010-02-08 | film, drama and TV

シリーズ第2作。第1作からあまり時間を空けないで観た。父親ヴィトの昔を回顧するシークエンスと現在を交互に描く。若き日のヴィトがまさかロバート・デニーロだとは。しかも観ていて「どっかで見た顔だな」と思って、観ながら手元でiPhoneをいじってWikipediaで調べて分かったとは。

20世紀が始まってすぐの頃のアメリカへの移住。故郷シチリアを追われてやって来たヴィト少年はどんな気持ちだったろうか。自分が10歳のときに、言葉も分からない国へ行かなければならないとしたら、入国したときに何を思ったろうか。期待だけじゃなく不安で押しつぶされてしまうに違いない。移民国家であるアメリカ合衆国はこんな勇気ある人たちのおかげで成立しているのだね。

ヴィトは地元のイタリア移民の「ため」に動いているうちに、「ドン」と呼ばれるようになった。人を殺したとは言え、それは犯罪とも言えないような善行だった。私が読んだ、イタリアマフィアがアメリカで登り詰めていった様より随分と美化されている感じはするが、エンターテイメントなのだから何でも現実をそのまま描けばいいってもんでもないんだろう。

今回はユダヤ系のマフィア、ロスとの対決がメインである。最初は極めて穏健なおじいちゃんに見える彼の曲者ぶりが見事だ。それと使えない兄フレドの裏切り。全身からダメ男オーラを放出するこの役者(ジョン・カザール)も巧い。私が気に入ったシーンは、裏切りがバレ、弟マイケルと絶縁状態になるフレド。後に、父親の葬式にやって来る。フレドはマイケルと会いたいを頼むがそれは難しいとトムに言われる。しかし、後にマイケルが客がたくさん来ている応接室に入って来る。ドンが入ってきたのだから空気が変わったはずである。フレドは椅子に腰掛けふてくされてタバコを吸っている。目の前にマイケルが立つその瞬間までドンがこの部屋に入ってきたことに気づかない。

そう。そうなのである。フレドがダメなのは気がつかないからなのだ。周りの空気が変わったことに何も感じない。そんな奴だからこそのあの体たらくなのだ、と分かると全てが腑に落ちる。ふむ。

IMDBによると、Controversy occurred during the filming. While the studio was unaware of his condition, the director, Michael Cimino, knew about it. As Cazale was evidently weak, he was forced to film his scenes first. When the studio discovered he was suffering from bone cancer, they wanted him removed from the film. His co-star and fiancé, Meryl Streep, threatened to quit if he was fired. He died shortly after filming was completed.

ジョン・カザールはゴッドファーザーPART I、II、IIIの三部作以外に「カンバセーション~盗聴」「狼たちの午後」「ディア・ハンター」にしか出演していない。ディア・ハンターの撮影中に骨髄腫であることが判明したからだ。監督のマイケル・チミノはそれを知っていた。カザールが衰弱していたのでチミノは彼のシーンを先に撮らなければならなかった。彼の病気について知ったスタジオ側は降板させようとするが、フィアンセのメリル・ストリープはもし彼を辞めさせるなら私も辞めると脅した。結果、撮影終了してまもなくカザールは亡くなった。享年42歳。

話を戻す。観たという友達に、早速PART1とPART2どっちがいいかきかれた。 私は流れの中で捉えているので、どっちがいいかという質問には、小説の第一章と第二章どちらがいいときかれても困るのと同じで答えられない。友達はPART2は最後がハッキリしないことが多いのでそれってPART3へ残していったのだろうと言った。しかし私はフレドもロスも死んでスッキリハッキリしたと思うのだが。







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