「ボックス!」(BOX!) 百田尚樹 大田出版 2008年
一言だけ言わせてくれ、この小説がいかに凄いかを簡単に説明できる。読んで一週間後に私は正式にボクシングジムに入門したのだ。以上。 以下は蛇足。
高校のボクシング青春小説である。などと言って終わりにできない色々なモノが詰まった小説だ。何度なく考えさせられ、うなり、血沸き肉踊った。
高校教師の耀子は電車の中で絡まれた不良から風のように現れた男の子に救われる。耀子の勤める大阪恵美須高校は進学組と体育組が分かれている。耀子を救ってくれたのは体育組ボクシング部の鏑矢。鏑矢と昔から仲が良いのは進学組の成績優秀な木樽。木樽は女の子と一緒に歩いていたところ、昔自分をいじめてた3人組に運悪く出くわし、屈辱的な目に合わされる。強くなりたいと全くスポーツが出来ない木樽がボクシング部に入部。耀子はボクシング部の顧問へ。ここで木樽・耀子が鏑矢のボクシング部に集結して舞台は整う。
傍若無人天真爛漫ながら天才と言われる鏑矢。監督に言われ愚直にジャブの練習だけを繰り返す木樽。大阪で超高校級ボクサーと言われる稲村。国体、インターハイ、プロのジムでの練習・・・ 耀子は段々とボクシングに魅力にひかれ、木樽は完全にボクシングの虜になる。
いやいやいやいや。まいったまいった。スポーツ小説として川上健一以来、久しぶりに興奮した。血圧が上がった。ボクシングに全く興味のない人、ボクシングに全く知識のない人でも(たぶん)楽しめる本だと思う。ダッキングとかスェーバックをすると書いてあって何の苦労もなくそれが分かる人なら問題なく楽しめる。分からなくても説明されているし、巻末にボクシング用語一覧があるから大丈夫。
映像を文章にしてしかもその映像が鮮明に目に浮かぶように書くのは至難のわざであるが、作者は見事に書ききっている。それが凄いというのが一つ。もう一つはストーリーの展開の仕方。私はこれを一番評価したい。青春+スポーツ+根性+挫折+恋愛=たいてい悪くないモノに仕上がるはずである(駄作もたくさんあるかも知れないが駄作臭がするモノは読まないので知らない)その青春とかスポーツ小説ならお約束のようにこのように展開するというストーリーがあるだろう。予定調和かも知れないがサスペンス小説じゃないんだからそのお約束な感じが読む者を安心させるのだ。しかし作者は○○という大会はきとこういう結果になるだろう。その後はこうなるだろう。という予想を何度も何度も裏切る。うーむうーむと何度もうならされた。
一見普通のスポ根小説のように見えるが、実は練ったプロットで読ませる小説なのだ。
という意味ではボクシングなんか全く興味ないという小説読みの人にも薦められる。しかししかしなんと言ってもやはり男性だろう。我々XY染色体を持つオスたちで「ボックス!」を読んでアドレナリンが出ない奴はいないだろう。オスが元々持っている闘争本能に火をつける。メラメラと燃える。燃えない奴はオスの素を買いに行った方がいい。私は読んでいる途中で思わずシャドーボクシング始めてしまった。すっかり本能が錆付いてしまった元オスはこれを読んでオスに戻って欲しいものだ。男の子ってこういう生き物だということがバレてしまうのでメスには読んで貰わない方が良い気がしてきたが。
草食系男子という見た目は甘くて軽く食べられそうなお菓子が、肉食系男子というガッシリと食べごたえがあるめしに変わるプロセスを楽しもう。
※追記 百田尚樹の新刊のレビュー「モンスター」
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塩辛の香りがするのは
1.単なる冗談である。
2.塩辛には昭和の臭いがするので、それが本人にピッタリである。
今更1だとは言いにくいです。
今へそを見たところ(10年ぶりぐらい?)、ごま、ごま的な物が全く見当たりませんでした。
木樽君が筋肉に見とれるシーンありましたね。軽い苦痛は快感につながるモノがあるのかも知れません。(私見ですが)苦痛の先に達成感とかそれに類するものが付随してくると尚更ではないかと。つらい富士山に登るのも、サウナで水分を摂るのを我慢するものその先の快感があるからで、
苦痛→快感 なのではなく、「快感←苦痛」であると快感を得た時に知ったので、その後に来る快感を予期しつつ、現在ある苦痛を我慢できるのかも知れません。
長いわりに意味不明になってしまいました。
木樽君が体を鍛えながら、筋肉に見惚れる場面がありましたね。
格闘はしないでトレーニングが好きで、ボディービル体系にしてる方の写真ブログを見たことあるんですが。
鍛える過程で苦痛に耐えるのがやめられなくなる。
人それぞれですね。
骨にヒビが入ってて欲しいって思うふるさんは正直な感想と思います。
塩辛くさいのは、練習あとの匂い?
へそのゴマを取り、へそを綺麗にしておくと加齢臭がしなくなるとか体臭が弱まるなど聞きましたけど。
へそのゴマ取るとお腹が痛くなるから、って子供の頃言われてたけど。
今は取ってます。
体臭は大丈夫みたいです。
(笑)
最近練習をサボりがちでございまして、ダメだな~と思う今日この頃です。しずちゃんのボクシング姿は見たことがないのですが、ヘビー級なので凄いことでしょう。プロライセンスも取ったんですものね。
脳は恐怖を好む。確かにそうですね。スリルがあるからこそ乗り越えたり回避したときの喜びがあるんでしょうね。
私も自分の胸のあたりをかいでみました。すると塩辛の匂いが。
誰が塩辛やねん。
取り乱しました。フェロモンの作用って面白いですよね。そういう目に見えない、知覚してるという自覚のないものが意外なほど我々を支配してるのかも知れませんね。こなつさんはこなつだけに、こなつみかんの匂いがするのでしょうか。
面白いも 努力あればこそなんでしょうね。
少しずつでも成果がわかるとね。
打たれたら痛いし、急所狙われますしね。
相手あらば防御しなきゃならないし。
南海キャンディーズのしずちゃんはボクシングしてますけども。
凄いですね。
ふるさんも、どうぞ気をつけてキック・ボクシングお励み下さいね。
白いタオルを首に巻いて応援しています。
十三人の刺客 映画が、漫画のシグルイの殿様と稲垣吾郎くんの殿様と、キレ具合が似てるそうなので見てみたいんです。
三池崇史監督作品です。
監督のオーディションて映画も滅茶苦茶怖いんです。
現実に痛いのは嫌なんですが、脳は、恐怖を好むらしく、だからジェットコースターに乗ったり、怖い映画も見る。
ふるさんは実際に格闘して生死のスレスレを体験されてるから、太古からの闘争本能やオスの遺伝子に作用していますね。
格闘やスタントマンなどのフェロモンは強いので、女子に胸のあたりを嗅がせると、選ばれるんですよね。
いい匂いがするらしいですよ。
それこそメスにしかわからない匂いらしくて、不思議ですよね。
女性は胸の間がグレープフルーツの匂いがするって浪花のシルク姉さんが言ってました。
私も 嗅いでみたら、ほんのり柑橘系。
フェロモンまだあったみたい(笑)
ご健闘願っております。
気に入っていただいて何よりです。
百田さん自身が大学でボクシング部にいたと最近知りました。
なるほどなるほど、だからこその迫力だったのですね。
ご質問ですが、
ボクシングから今年の6月にキック・ボクシングに転向いたしました。
違うと言えば勿論違し、私のような
低レベルでは似たようなものとも言えるしです。
ボクシングの時には、若い人以外では試合の話など全くでません
でした(理由不明)しかし、現在は
11月に若くない仲間が試合に出ます。
彼の異常なほどの頑張りを見ていると、自分には無理だなと思わない
ことも(苦笑)一度試合に出ると違うよと言ってくれる知り合いもいますが、
「胸が痛む」で書いたような体たらくですし(笑)
スパーリングについては、ヘッドギアをつけたガチのスパーはやったことがないです。
あてない軽いマス・スパーやちょい当てるライト・スパーは多少やらせてもらっていますが
正直不得意です。ただこれほどまでに
自分の思い通りにいかないことが
あるのかということが面白いと思っています。
中盤まではボクシングの勉強をしながら、高校生達を見守り、あしたのジョーもヒロインはヨーコだったな。
などと余裕で読んでたんですが、木樽君が本気だして来て、丸野さんの件があって、涙流しながら、読んでましたね。
乾いた頃にまた涙、鏑矢君は破天荒で、ほっておけないから女は好きになっちゃうんだよね。
終盤にかけては見せ場が続くため、残りページが少なくなるのが残念な気持ちになる一方で、鏑矢君頑張れっ!と心の中で拳を握り、岩みたいな稲村が強いから、ハラハラしどおしでした。
まさか、ふるさん格闘始めたのがボックスを読んで一週間後とは、お見それしました。
まっすぐなジャブを打てたらいいなとは思いますが。
ふるさん、上達されたら試合もするの?
スパーとかは もうしたのかしら。
リミッターとか勉強になりましたけど、人って思いがけない力が出せるんですね。
それをON OFFできるやなんて。
そこまで極めるなんてね。
日頃の過酷な鍛錬でねぇ。
すごいことやねぇ。
なんとなく関西弁が頭に残ってます。
永遠の0 も途中泣かされましたけどね。
百田さんは、気持ちいい涙を流さす作家ですね。