飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン露大統領、「ワグネル」創設者、プリゴジン氏の暗殺を指示か!

2023年08月26日 13時33分23秒 | Weblog

ロシア・ウクライナ戦争の背後で、民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏が乗った自家用ジェット機が墜落し、プリゴジン氏が亡くなった。米メディアなどは、機内に仕掛けられた爆発物が炸裂した可能性が高いと報じている。このため、プーチン氏が暗殺を指示した可能性が出ている。

ロシア連邦捜査委員会は25日、プリゴジン氏ら10人が搭乗していた墜落現場で、飛行状況を記録するフライトレコーダーを回収したと発表、レコーダーを解析すれば全容が明らかになるとみられる。プーチン大統領は24日夜、「犠牲者の家族に哀悼の意を示したい」と語っており、暗殺指示を事実上否定している。

暗殺か事故かを巡っては、米メディアとロシア当局の見方は食い違っている。米メディアは、爆発説を取っていて、機内に仕掛けられた爆発物か、あるいは不燃物が混入した燃料が爆発したとみている。これに対し、プーチン大統領報道官は、プーチン政権が墜落に関与したとの見方を「完全な偽りだ」と否定した。

この事件では、プーチン大統領のプリゴジン氏への評価が注目されている。24日夜の会見では「1990年代から知っている。複雑な運命を持った男で、人生で深刻な過ちを起こした」と述べている。その一方、「才能あるビジネスマンで、国内だけでなく、アフリカなどの海外でも多くの結果を残した」と称賛している。

プーチン大統領としては、昔からの親友でもあり、なんとか和解したいという気持ちもあったと思われる。だが、最終的にプリゴジン氏が大統領の意向に従わないことが明らかになったため、抹殺する形で排除した可能性が高い。問題は、この結果をロシア国民はどう受け止めるかだ。「親友を殺させた」とすれば、国民のプーチン氏への評価は、今後大きく変わってくるかもしれない。(この項終わり)

 

 

 

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戦闘続くロシアで民間軍事会社「ワグネル」が反乱起こす!

2023年06月25日 09時06分38秒 | Weblog

ロシア軍が昨年2月、ウクライナへ侵攻してから約1年4カ月間、戦闘が続いているが、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がついにロシア軍に反旗を翻す異例の事態となった。その後、ワグネルはモスクワへの進軍を中止したと伝えられているものの、ロシア国内で内乱に発展する恐れも出ている。

ロシアからの報道によると、ワグネル創設者のプリゴジン氏は6月23日夜、ウクライナ侵攻に加わるワグネル部隊の拠点がロシア軍の攻撃を受けたと批判し、「軍幹部の悪事を止めなければならない。抵抗するものは壊滅する」との声明を発表し、ロシア軍への反乱を宣言した。これに対し、プーチン大統領はテレビで演説し、「我々は裏切りに直面している。内部の混乱は国家にとって致命的な脅威だ」としてワグネル部隊に投降を要求した。

その後、プリゴジン氏はモスクワへ向けて進軍していたワグネル部隊に引き揚げを命じた。この間、同氏は、プーチン大統領の指示でルカシェンコ・ベラルーシ大統領と協議し、事態を沈静化することに同意したとされる。同氏は「流血の事態はなかったが、部隊を野営地に戻す」と述べた。

事態はこれでいったん収まった形だが、ワグネル部隊にはプーチン大統領に対して反感を強めている戦闘員も少なくないとされ、このまま収まるかどうか、予断を許さない。ロシア国内には、プーチン大統領のウクライナへの強硬姿勢を批判する勢力も少なくなく、ロシア政界が今後どう動くか注視する必要がある。

プリコジン氏はロシア人の実業家で、プーチン大統領とも親交がある。同氏は2014年、民間軍事会社を創設し、ウクライナ東部のドンバス地方での紛争に参加したのが最初とされる。ロシアとウクライナとの戦争が始まると、受刑者約5万人を戦闘員として採用し、このうち約半数が戦闘で死亡したという。(この項終わり)

 

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G7サミット、焦点の核軍縮、対露戦争とも具体策打ち出せず!

2023年05月22日 08時52分21秒 | Weblog

米国など主要7カ国の首脳が参加して開かれた「広島G7サミット」は21日終了したが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が来日して討議に参加した以上の成果はなく、期待外れに終わった。被爆地・広島でのサミットだけに、我が国の被爆者団体の期待も大きかったが、「失敗だった」と落胆する声が目立った。

最大の焦点だったロシア・ウクライナ戦争については、ウクライナへの支援を継続するとして、西側諸国が戦車に続いて米国製のF16戦闘機の供与も行うことで合意した程度で、具体的な停戦への方策をまとめるまでには至らなかった。これでは今後も戦争が激化する一方で、平和への道筋は一層遠のいた感じだ。

核軍縮に関しても、サミット首脳らが現地で核兵器の惨状を見ることはできたが、それを見てどう思ったか、今後どうすべきかの議論にまでは進まなかったようだ。カナダ在住の日本人被爆者、サーロー節子さんが「核軍縮に関して市民と政府が一緒になって前進させようという機運が生まれただろうか」と嘆いた言葉が胸を打つ。

今回のサミット後、米国に対抗する核大国・ロシアと中国が出したコメントは予想通り、厳しい内容だった。ロシアは「会議で決定されたのは、ロシアを戦場で打ち負かそうとの方針にすぎない」(ラブロフ外相)と反発。中国も「西側の一部先進国が世界を操った時代は終わった」(外務省談話)と、こき下ろした。

問題は今後、サミット参加国がロシアや中国に対して具体的になにをするべきかだ。ロシアをやっつけようという兵器をウクライナに供与する前に、停戦を巡る交渉を直ちに行うべきだ。今こそ、新興国や途上国も加えて、国際協調を取り戻すにはどうすべきかを真剣に討議するべきだろう。(この項終わり)

 

 

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G7サミットでロシア・ウクライナ戦争はどうなる?

2023年05月16日 09時57分35秒 | Weblog

広島市で19日から3日間開かれるG7サミットでは、ロシア・ウクライナ戦争が大きなテーマになっている。議長を務める岸田首相は関係各国を回って事前協議を行ってきたが、停戦への方向性が見いだせるかどうかは不透明だ。結果いかんによっては、岸田首相ばかりか、日本政府全体の評価が下がることは免れないだろう。

岸田首相がG7の議長を務めるのは初めてで、政治手腕に世界の注目が集まっている。特に首相が何回も会談しているバイデン米大統領との18日の首脳会談で、どんな合意ができるかだ。最大の関心事は、戦争の行方とともに、核軍縮に向けて有効なメッセージを発信できるかどうかだ。米国に気兼ねして、中途半端な内容に終わるようでは台無しである。

また、ロシア・ウクライナ戦争では、欧米諸国からウクライナへの戦車やロケット砲システムなどの兵器供与が進められている。最近、供与参加国が増え、ウクライナは軍事的にロシアを追い込んでいるが、ロシアを叩けばいいという問題ではない。西側諸国が一致団結して、戦争を始めたプーチン首相自身に停戦へ向けてカジを切るようにさせられるかどうかだ。

さらに、ロシアとの関係を強化しつつある中国や、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮への対応も重要だ。力で封じ込めるような強硬策でなく、対話を重ねる方向で協議を進められるかどうかだ。そのためにも、岸田首相はバイデン大統領との事前の首脳会談で、具体的な方策を打ち出して欲しい。

心配なのは、岸田首相にそれだけの大役を果たせる力量があるかどうかだ。政権基盤が弱いだけに、G7を無難にこなして解散・総選挙を急ごうという気持ちはわからないではないが、自分たちの利害ばかり優先していては成果が上がらない。ここは日本、さらには世界全体を考えて全力を尽くして欲しい。(この項終わり)

 

 

 

 

 

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露・ウ戦争、「クレムリン攻撃」で今後どうなる?

2023年05月04日 08時52分26秒 | Weblog

ロシア大統領府を狙ったと見られるドローン2機が5月3日未明、クレムリンを襲撃したことから2年目を迎えたロシア・ウクライナ戦争がさらにエスカレートする可能性が強まっている。双方とも攻撃を否定しているが、和平への道筋は依然定まっていないため、戦争のさらなる長期化が懸念されている。

今回のドローン攻撃に対し、露・ウとも自軍の攻撃を否定しており、真相は明らかではない。ただ、ロシア側はプーチン大統領を標的にしていると主張していて、それを理由にウクライナへの攻撃をさらにエスカレートさせる危険性がある。9日には対独戦勝記念日の式典を控え、報復措置を取る姿勢を見せている。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領も4月30日の国境警備隊の式典で「重要な戦いが控えている」と述べ、大規模な反転攻勢に移ることを示唆していた。すでにNATO加盟国や友好国は、ウクライナに対し、ドイツ製の主力戦車レオパルト2など、1700両を超す戦闘車両を供与している。

だが、すでに1年を越す戦闘で両軍とも多数の死傷者が出ている。米軍情報機関の分析によると、ロシア側の兵士・戦闘員の死者数は昨年12月以降だけでも2万人以上、負傷者も8万人以上に上っているという。ウクライナ側でも同じ程度の死傷者が出ていると米軍は分析している。

このため、ウクライナを支援する西側諸国からは、今後の反転攻勢の成果が乏しければ、ウクライナに対して停戦交渉を求めざるを得ないとの見方も出ている。最大の支援国の米国も、来年には大統領選を控えており、いつまでも戦争を続けたくないとのバイデン大統領側の意向もある。

一方のロシアも、来年は大統領選の実施年に当たっており、プーチン大統領が続投するかどうかが焦点になる。ロシア、ウクライナ双方とも今後、各国の動向を注視しながら動かざるを得ない状況にあり、これからの両軍の戦闘いかんに両国の運命が掛かっているといえよう。(この項終わり)

 

 

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旧満州のハルビン学院記念碑祭、開校百年を限りに幕引きか?

2023年04月21日 18時15分27秒 | Weblog

 (ハルビン学院記念碑祭であいさつする麻田恭一・同窓会連絡所長)

日露戦争後、旧満州(中国東北部)に設立されたハルビン学院を偲んで続けられてきた記念碑祭が開校百年の今年限りで見直しを迫られることになった。記念碑祭はコロナ禍で3年間、中止となり、ようやく4月21日、4年ぶりに開催されたが、支えてきた人たちが引退するなどして、開催が難しくなったためだ。

この日、午前11時から始まった慰霊碑祭に参加したのは64人。卒業生は26期の奥田哲夫さん一人で、そのほかは卒業生の遺族と関係者だった。前回の参加者は98人だったので、3割以上減ったことになる。あいさつに立った奥田さんは「私は昭和20年に入学したが、学校の先輩は全員戦争に駆り出された。8月に終戦と聞き、ホッとしたのを覚えている」と当時を振り返っていた。4日前に妻がガンで亡くなったことを明かし、「突然でびくりした。健康第一だと思った」としみじみ語っていた。続いて、この3年間に亡くなった人たちの遺品などがカロートと呼ばれる地下の墓所に収納された。その後、全員で寮歌「松花の流れ」を歌った。

この後、全員が近くの旅館に集まり、今後の記念碑祭のあり方について話し合った。まず、ハルビン学院同窓会連絡所の麻田恭一所長がこれまでの経緯を説明した。父親の平蔵さん(故人、恵雅堂出版社長)が24期の卒業生だったことから1955年以降、同窓会事務局を引き継ぎ、社員を動員して記念碑祭を取り仕切ってきた。「この3年間、支えてくれた社員が引退し、会社として記念碑祭をこのままの形では支えられなくなった。家族会のような形ならできると思う。皆さんのご意見をお聞きしたい」と語った。

その後、資金面などの話も出たが、具体的な提案はなく、麻田所長が引き続き検討することで閉会した。今後、所長が具体的な提案をまとめ、会員に示す形になりそうだが、これまでのような記念碑祭は続けられそうもなく、事実上、幕引きとなりそうだ。

ハルビン学院は、日露戦争で勝利した日本の政財界が、日露両国民相互の親睦を図る目的で1906年4月に創立した「日露協会」が前身。その後、ロシアの専門家を育成する目的で1920年、ハルビン郊外の馬家溝(まじゃこう)に学院が設立された。日本全国から学生を募集したが1945年、終戦とともに閉校となった。25年間に卒業した生徒は、終戦直前に繰上げ卒業になった生徒も含めて1,514人。敗戦で多くの生徒がシベリアへ抑留されるなどして、多数の死者が出ている。(この項終わり)

 

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旧満州のハルビン学院、開校100年の記念碑祭を4月21日に開催!

2023年04月09日 23時13分46秒 | Weblog

       (2019年4月の記念碑祭の時の写真)

旧満州(中国東北部)にロシア専門家養成の専門学校として1920年に創立された「日露協会学校」(その後、「ハルビン学院」と改称)の開校100年を祝う記念碑祭が4月21日、東京・八王子の高尾霊園で開催される。当日は全国から卒業生やその家族らが集まり、亡くなった卒業生らの霊を弔う。

この学校を異郷の地につくったのは満鉄(南満州鉄道株式会社)の初代総裁だった後藤新平だ。満鉄は日露戦争で勝利した日本が、ロシアから譲渡されたシベリア鉄道の南満州支線と附属地を経営する会社。後藤はロシアと共存する道を探るため、ハルビン学院を創設したという。

同学院は、日本国内から広く学生を集め、ロシア語をベースに幅広い教養を身につける教育を進めた。だが、第二次大戦で日本は連合国に敗れ、満州国はソ連軍に進攻されて崩壊。学院も創立25年で閉校となった。卒業生は、繰り上げ卒業になった生徒も含め1、514人だが、生存者は現在数十人とみられている。

開校100年の記念碑祭は2020年に行われる予定だったが、コロナ禍の影響で延期され、ようやく今年行われる運びとなった。当日は高尾霊園にある、カロートと呼ばれる墓所で記念碑祭が行われる。卒業生代表が挨拶したあと、出席者全員で校歌を合唱する。

その後、参加者は近くの旅館に集まって近況を語り合う予定。記念碑祭を支援しているハルビン学院連絡所の麻田恭一代表は「開校100年は大きな区切りだが、今後のことはみなさんのご意見を聞いて決めたい」と話している。(この項終わり)

 

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ロシア・ウクライナ戦争で欧米諸国はウクライナに入れ込み過ぎでは?

2023年04月08日 17時48分31秒 | Weblog

ロシア軍がウクライナに攻め込んでから1年2ヶ月が過ぎたが、戦闘は激しくなるばかりで、停戦の動きが見えてこない。米国など欧米諸国がこぞってウクライナの支援に回っているから、との見方が根強い。日本も例外ではない。岸田首相はウクライナを訪問して多額の援助を約束したが、これでいいのだろうか。

プーチンは2001年に大統領選に当選してから、与党独裁体制を敷き、垂直統合型の制度改革を推進した。当初は親欧米路線を目指し、米国とも信頼関係を築こうと努力していた。だが、二期目に入ってから、ソ連崩壊による国力低下を実感するようになり、ロシアを復興させ、再度大国にしようとした。だが、欧米はロシアを二流国に止めようとしているように見えた。その最大の指標は、NATOの東方拡大だった。

2004年には、バルト3国とスロバキア、ブルガリアなど計7カ国がNATOに加盟した。これに対し、プーチンは2007年のミュンヘン安保会議で東方拡大を痛烈に批判した。さらに、2008年にはウクライナとジョージアを原則的に加盟させることが決まり、ついにロシアの国境まで拡大することになったのだ。

このため、ジョージアのサーカシビリ大統領が、ロシアと係争関係にあったオセチアへの影響力を拡大しようと軍を動かした。ロシア側も軍を動かし、軍事衝突が起きた。これはロシア側の勝利に終わったが、親欧米路線をとるなら軍事攻撃も許さないというロシアの本音が浮き彫りにされた。

プーチンがそこまでNATOを嫌うのは、ロシアが何度も外国から侵略された経験があるからだ。13世紀にはモンゴルに侵略され、「タタールのくびき」と呼ばれた。19世紀にはナポレオンにモスクワまで攻め込まれた。こうした経験は、ロシアでは広く受け入れられていて、ロシア人の思想に骨肉化していると言えよう。

今回の戦争では、米国はロシアを強く批判し、軍事面と経済面で強力にウクライナを支援している。今や米国とロシアの代理戦争ともいえる。中でも、米国はバイデン大統領が支援を取り仕切っているため、停戦への道筋が見えてこない。米国とロシアに信頼される指導者が仲介に入らないと、現状は打開できないのではないだろうか。(終わり)

 

 

 

 

 

 

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ロシアの核兵器、ベラルーシへ拡散で危険度高まる!

2023年03月28日 09時39分02秒 | Weblog

ロシアのプーチン大統領がベラルーシへの核兵器配備を表明したため、核使用の危険度が高まっている。ソ連時代には、ロシアがウクライナなどへ核を配備していたが、ソ連解体をきっかけに全てロシア国内に移していた。ベラルーシは軍事面でロシアと足並みをそろえていて、核拡散が現実味を増しつつある。

ベラルーシは、ロシアの西部に位置していて、面積は約20万平方キロで日本の約半分。人口は約1000万人とされる。ソ連時代は白ロシアと表記していたが、ソ連解体後は「白」も含めてロシア語に替え、「ベラルーシ」と呼ばれている。ロシア、ウクライナと合わせ、3カ国でロシア系民族を構成している。。

ベラルーシを有名にしたのは、ルカシェンコ大統領で、独特の風貌と激しい発言で「ヨーロッパ最後の大統領」の異名を持っている。1994年に大統領に就任し、その後任期を延長したり、3選禁止条項を一方的に撤廃したりで、すでに6選を果たし、約30年間にわたり君臨している。現在はロシア・ベラルーシ連盟国の国家元首でもある。

ベラルーシは以前、核兵器を配備しないと憲法で定めていたが、ルカシェンコ大統領は昨年2月、国民投票を経てこの条項を削除した。すでに核が搭載できる爆撃機が提供され、弾道ミサイル「イスカンデル」が配備されている。さらに7月1日までに戦術核の保管施設が完成する予定だ。

今回の決定についてプーチン大統領は「ルカシェンコ大統領の長年の希望だった」と主張している。だが、ルカシェンコ氏は欧米諸国との関係改善を目指した時期もあったが、2020年8月の大統領選をめぐる不正疑惑でロシアの支援を仰いだため、プーチン大統領に弱みを握られ、核配備を受け入れざるを得なかったとみられている。

ロシア国外への核配備は27年ぶりで、欧州各国が猛反発するのは必至である。とりわけ、NATO(北大西洋条約機構)との全面対決に繋がる危険性が強まるのは明らかだ。今のプーチン大統領は聞く耳を持たないという姿勢を崩していない。このため、ベラルーシを核拡散に引きずり込み、欧州各国に対し、今後さらなる揺さぶりをかけるのは間違いない。こうした動きを抑えるためには、欧米諸国だけでなく、世界各国が協力して国連などの場で、ロシアやベラルーシに圧力をかけるとともに、粘り強く説得する必要がある。(この項終わり)

 

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ロシアとウクライナの戦争、どうなる春の陣!

2023年03月18日 16時07分05秒 | Weblog

ロシアとウクライナの戦争は、いよいよ二度目の春の陣に突入する。ロシアはウクライナ東部のドネツク州を制圧し、一気に東部全域を勢力下に収めたい方針とみられる。だが、ウクライナ側も欧米諸国の支援を得て、反撃する構えを見せていて、どちらが春を制するかで情勢が変わって来そうな状況だ。

両国の戦闘は、二年目に入り、激しさを増している。特にウクライナが米国から高機動ロケット砲システム「ハイマース」を供与されたことからロシア軍の弾薬庫が狙われ、前進が止まった状態になった。そのため、ウクライナは東部ハルキウ州や南部ザポリュージャ州の一部を奪還し、双方は膠着状態になっている。

春になると、ウクライナがザポリュージャ州に攻勢を掛けると見られている。その際、大きな戦力になるとみられるのが、欧米諸国から提供されることになっている戦車部隊である。この戦車部隊が早めに投入されればウクライナ側の攻勢に拍車がかかるだけに、ロシア軍はその前に状況を前進させたいと考えている。

このため、どちらが先手を取るかに当面の勝敗がかかっているといえそうだ。ロシア、ウクライナ双方とも、結果を出せなければ停戦交渉に入るわけにはいかないからである。いわば、春の陣に戦争終結の行方がかかっているともいえよう。それだけに、これまで以上に厳しい戦いになるのは必至である。(この項終わり)

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ロシアとウクライナの戦争は帝国崩壊につきまとう悲劇?

2023年02月24日 08時30分18秒 | Weblog

ロシアがウクライナに攻め込んでからちょうど1年たった。戦争はいまも止むことなく続き、さらに続くとみる識者が多い。いったいなぜそうなるのか、われわれ島国の民族にはわかりにくいことだが、世界ではこうした帝国の崩壊後にほぼ必然的に起こる現象らしい。

こうした現象をわかりやすくまとめた記事が、24日付けの毎日新聞の2面に掲載された。「帝国の崩壊 復讐の紛争」という見出しで紹介されている英国ケンブリッジ大学名誉フォローのドミニク・リーベン氏のインタビュー記事だ。これを読んで納得することが多かった。読んでない人に、この概略を紹介したい。

ソ連はレーニンという思想家が指導して建国されたイデオロギー国家だった。世界一広い地域から構成され、高度な文化も持っていた帝国だった。その国家が崩壊して30年以上経ってから戦闘が起きたのは、ソ連という帝国の解体に伴い起きた事象だと考えると、より適切に理解できると、強調している。

では、帝国が崩壊するとなぜ紛争が避けられなくなるのか。リーベン氏は、その理由として第一に、国際情勢に力の空白が生じて紛争を招きやすくすることをあげる。二番目に、帝国の崩壊に伴い、新たな国境線を引かなければならないが、もともと多くの民族が暮らしてきたため対立が起こりやすくなると指摘する。

特にソ連の場合、ロシアやウクライナなど15の共和国の境界があらかじめ決められていて、ソ連崩壊と同時に境界がそのまま国境となった。この際、ロシア国外にロシア系市民2500万人が取り残された。とりわけウクライナは、ロシア系が多い南部と東部を領土に組み込んだため高いリスクを抱えることになった。

だが、しばらくは新生ロシアの力が弱かったため国境がそのまま放置されたが、2000年にプーチン氏が大統領に就任すると、ソ連崩壊を「ロシアにとっての悲劇」と強調するようになった。そしてロシアが政治、経済で安定したことから、ウクライナの国境を変えられると自信を深めたとリーベン氏は指摘する。

つまり、今回のウクライナへの侵攻は、プーチン政権の中核を占めるソ連時代の情報機関構成員による「遅れてきた復讐」であると言い切る。そして今回の侵攻は、30年に及ぶ屈辱、後退、敗北への恨みを晴らそうとしたと結論付けている。そしてこれは第二次大戦後のドイツとの共通点が多いと述べている。

今後の見通しについてリーベン氏は、ロシアとウクライナの戦闘はこれからも続くと見ている。停戦が成立しても、戦闘が再発するような状態が10年、20年と続いていくという。インドやパキスタンの対立など、根本から解決されずにいる紛争は少なくなく、これが世界の現実だと思うしかないようだ。(終わり)

 

 

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われわれ人類は世界の平和を守れるのか?

2023年01月03日 10時05分08秒 | Weblog

新年明けましておめでとうございます。今年は第二次世界大戦の終戦から78年。この間、人類は世界を揺るがすような戦争を起こさず、概ね平和でこられたが、ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに世界平和が大きく揺さぶられつつある。この危機的状況を、われわれ人類はどうやってしのげるだろうか。

昨年2月から始まったロシア・ウクライナ戦争はまもなく2年目を迎えるが、両国とも戦いを止めるような状況にはない。ロシアのプーチン大統領は核兵器こそ使わない方向を示しているが、自ら戦争を中止させようという動きは見せていない。むしろ中国との連携を強め、あくまで戦い抜く意向を示している。

一方、ウクライナもゼレンスキー大統領が訪米し、徹底抗戦を表明するとともに、軍事支援を要請した。米国のバイデン大統領も「ウクライナが必要とする限り、支え続ける」と支援を約束した。米国は最新鋭の迎撃ミサイル「パトリオット」の初供与を含め、約19億ドルの追加支援を行う方針だ。

一方、中国も米国に対抗できる軍事力の強化を目指しており、当面台湾統一を目指し、武力行使も辞さない構えを見せている。隣国の北朝鮮も、米国本土を射程に収める弾道ミサイルを次々に発射し、日本や米国に圧力をかけている。金正恩総書記は核兵器を放棄しない考えを繰り返していて、日本にとっても脅威だ。

対する日本政府も各国の軍事力強化政策に便乗し、戦後の抑制的な防衛政策を変更する「国家安全保障戦略」などの文書を閣議決定した。浜田靖一防衛相は「戦後の防衛政策の大きな転換点となり、そのスタートラインに立った」と強調した。2023年度の防衛費は前年度の26%増となる見通しだ。

こうした各国の防衛力強化政策が世界中に広まれば、国連など国際機関の歯止めが効かなくなってくるのは必至だ。特に心配なのは、平和を守るべき国連安保理事会が米国、ロシアなど5カ国の常任理事国のうち、1カ国でも反対すればで何も決められず、機能しなくなることだ。

現在進行中のロシア・ウクライナ戦争でも、ロシアが拒否権を発動したため和平提案が否決され、有効な政策が打ち出せなかった。このままでは、有事の際にも国連は動きが取れなくなるだろう。こうしたことが繰り返されないよう、日本政府は各国に働きかけ、国連機能の強化に取り組むべきではないだろうか。(この項終わり)

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ロシアとウクライナの戦争、冬本番迎え、来春まで様子見か?

2022年12月05日 13時43分50秒 | Weblog

ロシア軍がウクライナへ侵攻してから10カ月目に入り、本格的な冬の到来を迎えている。このため戦闘自体は減ってきているが、両国とも来春を目指して戦略を練っているとされる。一方、ロシアと米国など西側諸国は表向き、対話を求めているが、ともに気が熟していないとして来春まで様子見の状態が続きそうだ。

本格的な冬を迎えるにあたり、ウクライナは停電が深刻な状態だ。ウクライナ当局は首都キーウなどの都市がロシア軍の巡航ミサイルの攻撃を受け、各地で電力インフラが破壊されたとしている。ゼレンスキー大統領はオンラインを通じた演説で、「インフラへの攻撃はエネルギーテロだ」とロシアを批判した。

こうしたロシアの攻撃に対し、米国のミリー統合参謀本部議長は「双方とも完全な軍事的勝利を達成するのは困難だ。他の手段を検討しなければならない」と発言。「冬の間に和平交渉に向けた機会をつかむべきだ」と訴えている。この背後で、米国とロシアの高官による接触も密かに行われているという。

だが、肝心のロシア側が和平交渉に真剣に向き合うかについては米国、ウクライナとも疑問視している。ロシアのプーチン大統領は政権の威信をかけてウクライナに侵攻しており、侵攻後に合併したウクライナ4州まで奪われるとすれば、犠牲を払って侵攻した意味がなくなるからだ。

プーチン大統領とすれば、このままウクライナに軍事的に押し返されていけば国内の批判が高まり、大統領の地位から引きずり降ろされかねない。そのため、プーチン政権はやみくもにウクライナを攻撃し、国民の反戦気分を高めようとしているように見える。

ロシアやウクライナの冬は厳しく、野外の戦闘はままならない。両者とも春を待って本格的な戦闘に突入することになろう。だが、すでにウクライナ側の戦死者は最大で1万3000人に上っているという。一方、ロシア側の死者、行方不明者、重症者などを加えると、9万人を超えるという報道もある。速やかに停戦を実現しないと、大変な犠牲者を生むことになる。(この項終わり)

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ウクライナ、重要拠点を奪還、「終わりの始まり」になるのか!

2022年11月15日 09時40分21秒 | Weblog

ウクライナのゼレンスキー大統領は11月14日、南部ヘルソン州の州都ヘルソン市に入り、8ヶ月に渡ってロシア軍に占領されていた領土の奪還を市民らと祝った。一方、ロシア軍は東部ドネツク州で激戦を展開しており、戦線を変えて占領地の拡大に全力をあげる方針とみられる。

ゼレンスキー大統領はヘルソン市で兵士や市民を前に「これは戦争の終わりの始まりだ。我々は一時的に占領された全ての領土に一歩一歩進んでいる」と演説した。また、ロシア軍が撤退する前に破壊した水や電気などのインフラの復旧を急いでおり、ロシア軍の戦争犯罪の捜査に乗り出したことを強調した。

これに対し、ロシア軍はすでに、ヘルソン市などドニエプル川西岸地域に駐留していた部隊を東岸地域へ移動した。ドネツク州での占領地域を拡大し、ウクライナ軍の勢いをそぐ作戦と見られる。このため米国のシンクタンク「戦争研究所」は「今後数カ月で停戦や戦闘のペース低下は考えにくい」と分析している。

一方、プーチン大統領は9月にロシアへの併合を決めたウクライナ4州のひとつ、ヘルソン州で州都を失ったことになり、国内の好戦派から批判の声が上がっている。愛国的思想家、アレクサンドル・ドゥーギン氏は「ヘルソンの全てを失った。誰を攻撃すべきかは分かっているだろう」とメディアに投稿している。

ロシア、ウクライナはすでに厳しい冬に向かっているが、戦況から見て厳冬期にも戦闘が続けられる可能性が強い。とりわけ戦場になっているウクライナでは、国民は寒さの中で、文字通り「命と健康を守る」暮らしを迫られることになりそうだ。(この項おわり)

 

 

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ロシア、ウクライナ戦争の年越しは必至の情勢。共に越冬対策を急ぐ!

2022年11月08日 15時16分30秒 | Weblog

ロシアの侵攻から始まった対ウクライナ戦争は9ヶ月目に入ったが、戦闘はいっこうに収まらず、このまま年越しを迎える可能性が高まっている。このため、両国とも越冬対策を急いでおり、国民は厳冬の中、今後も耐乏生活を続けることになりそうだ。

このところ、ロシア軍の戦死者や逃亡者が増加しているとの海外からの報道が急増している。特にロシア側が危機感を示しているのは、戦死者の多くが同士打ちによるとの見方が強まっていることだ。米政策研究機関「戦争研究所」によると、ロシア軍部隊の相互の連携不足と、司令官の相次ぐ交代による指揮命令系統の混乱が同士打ちの頻発に繋がっているという。

戦争が起きると、戦場での同士打ちは珍しくないが、対ウクライナ戦でのロシア側の同士打ちは全体の6割に上るとの見方も出ている。この数字が事実だとすれば、異常な高さといえる。

一方、ウクライナでは、ロシアが自国領土に併合した4州のひとつ、南部ヘルソン州でウクライナ軍がロシア兵士を追い出そうと必死の反撃を続けている。だが、ロシア兵は民間人を装って民間施設に入り、市街戦に備えているとみられ、奪還作戦は難航している。

最近、ロシア軍を中心に、ウソの情報を流して戦場を混乱させる「マスキローフカ=ロシア語で偽装の意」が広がっていて、双方で疑心暗鬼に陥るケースが増えているという。いわば”だまし討ち”作戦で、お互いが味方を信じられない状況が生まれてきている。

いずれにしろ、ロシア、ウクライナ双方とも近々に和平交渉に入れる状況にはなく、越冬対策を行いながら戦闘を続ける作戦に切り替えつつある。長期戦が続くと、民間人の犠牲者もますます増える可能性が高い。双方の国民にとって、この冬は寒さも加わって、厳しい耐乏生活が続くことは間違いなさそうだ。(この項終わり)

 

 

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