ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『孤高のメス』

2010-04-03 19:30:12 | 新作映画
※ネタバレではありませんが、映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。




----これって、もしかして流行りの医療サスペンス?
「う~ん。サスペンスというのとは違うね。
真摯に医療問題と取り組んでいる、そういう作品だ。
モチーフとしては、脳死肝移植が扱われているんだけど、
ほかにも、医師不足、手術ミス、地域医療など、
現代にも通じる多くの問題を提起。
そして、それらの根底に横たわっているのが、
『目の前の患者を救いたい』という医師の強い信念。
主人公の外科医・当麻鉄彦は、
人間関係には鈍で、
自分にセッティングされたお見合いにも気づかないほど。
そんな彼が声を荒げるのは、
事務長がある患者のことを『寿命だから…』と言ったとき」

----その主人公を堤真一が演じているわけだニャ。
「うん。
彼は、その風貌も手伝って
“昭和の人”というイメージがピッタリ。
『ALWAYS 三丁目の夕日』『ALWAYS 続・三丁目の夕日』もそうだし、
『クライマーズ・ハイ』もそう。
この映画は、物語自体はそう目新しいものではない。
時代背景は年号が昭和から平成に変わる1989年。
主人公は、なによりも命の最優先を考える外科医・当麻。
彼はピッツバーグ大学で肝臓移植をも手掛けたほどの腕を持っている。
そんな当麻が赴任したのは、地方都市の市民病院。
そこは、大学病院に依存し、外科手術一つまともにできない
停滞した病院だった。
大学病院からは、
外科部長の野本(生瀬勝久)をはじめ、
多数の医師が派遣されている。
野本の技術は稚拙で、
助かる患者のガンの手術を途中で放り投げたり、
自分の手に余るからと、大学病院に転送したり。
そんな現状に、嫌悪感を抱いていたのが看護婦の浪子(夏川結衣)。
物語は、彼女が遺した日記を息子の弘平(成宮寛貴)が
読み進めるという形で語られていく」

----えっ。遺したって…
それって、浪子という人は死んじゃうということだよね。
そんなことまで話しちゃっていいの?
「この映画に限っては大丈夫。
それはさして大きな問題ではないんだ。
さて、この映画、手術シーンが実にリアル。
メスを入れるわけだから、もちろん血も出る。
でも、それは目をそむけたくなるというようなものではなく、
ほんとうに高い技術の手術というものが
ある意味、崇高なまでに美しいことを教えてくれる。
野本の時は大仰なほどに雑に描くから、
こちらは、手術から目をそむけたくなる。
このあたりは、あの『おくりびと』を思い出してもらうといいかもしれない」

----それは分かりやすい比較だニャあ。
「さっきもちょっと話したけど、
この映画は、いまではあまり見かけなくなった
昭和的人物像を描くことで、
この時代が失ったものをそこから照射しようとしている。
そうそう、東映ならではのフィルムの色調、触感がまたいい。
この映画にはピッタリ。
あと、語り部である夏川結衣の不機嫌そうなふくれっ面。
これも効果的。
押さえた感情を爆発させるラストの別れのシーンでは、
思わず涙がにじんできたもの。
おそらく、当麻への愛も芽生えていただろうに、
それを、最後まで相手にも気づかせない。
だから、『ジェネラル・ルージュの凱旋』のようなエンディングにはならない」

----昭和といえば、都はるみが使われているようだけど…。
「あっ。これがどこで出てくるか?
それは知らない方がいいと思うよ。
これから観ようと思う人は、特にね」


     (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「東映ならではの色?どういうことなのニャ」ぼくも観たい



※独特のくすんだ青緑がかった色あいだ度

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