ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『さんかく』

2010-04-13 22:36:15 | 新作映画
----あれっ。久しぶりの日本映画だ。
しかも平仮名で『さんかく』
これって、どういうこと?
「一言で言えば三角関係。
ただ、それだけの話。
ところが、そのそれだけっていうのが
もう、泣きたくなるほどオモシロい。
この三角関係のひとりは
AKB48の小野恵令奈演じる中学三年生の桃。
彼女は、29歳の姉・佳代(田畑智子)と、
その同棲相手・30歳の百瀬(高岡蒼輔)が同棲している部屋に
夏休みを利用して転がり込んでくる」

----えっ。中学生?
それって、いんこうとかいう奴じゃニャいの?
「いやいや。
そこまで事態は発展しない。
と、いま、そう言ってみて気づいたけど、
この映画の魅力のひとつは
この“ぎりぎり”にあるかも。
若者カップルを描いた現代の映画だと、
ちょっと気があったら、
バァ~ッと行くところまで行っちゃうけど、
相手がこの年代だと、そういうわけにはいかない。
で、ひとり悶々。
その感情のすくい上げが、この映画のキモかも」

----へぇ~っ。でも15歳って、
そんな年が離れた人を本気で好きになるものニャの?
「そこもポイントのひとつ。
30歳の百瀬にしてみたら、
彼女が本気で自分を好きなのかどうか?
不安と心配で心葉いっぱい。
で、それがまた恋心を盛り上げていく。
しかも、ある夜、なりゆきでキスまでしたものだから…」

----えっ、キスまで?
「さっきも話したように、
昔と違って、キスだのセックスだのの持つ意味は軽くなってきている。
でも、相手が中学生ということで、
百瀬は、桃が自分に本気だと勘違いしてしまうんだ。
この映画の監督は、あの 『純喫茶磯辺』吉田恵輔
男の思い込みの強さ、身勝手さは、
あの映画に通じるところがあるね」

----ニャるほど。でも、佳代は彼と妹の関係に気づかないの?。
「気づくのは、ずっと先のこと。
とはいえ、佳代の存在は重要。
彼女の焦りが映画を別の方向へと導いていく。
ちょっとした行き違いから、百瀬との仲にヒビが入り、
売り言葉に買い言葉で、
ふたりは“別れ”まで話が進んでいく。
でも、それは佳代の本意ではない。
あわてて、元のサヤに戻そうとする佳代。
だけど、自分は新しく桃と…と決めてかかっている百瀬は、
あっさり佳代と別れようとする。
さあ、ここからが大変。
ひと昔前の言葉で言うところの
佳代の“シチュー女”状態が始まり、
ついには自殺騒ぎまで起こしてしまう。
しかし、それは百瀬にとっては逆効果…」

----でも、そういうのって
ちょっと前なら、映画やテレビによくあったような設定。
「うん。でも、
その“▲”の一角が中学生というのは珍しい。
田舎に戻った桃は、いつも留守電にしてしまい、
桃からの電話には出ようとしない。
あっくして百瀬の焦りは、どんどん昂じて…」

----情けないなあ。
分からない気がしないでもないけど…。
「吉田恵輔映画の魅力、
それは台本に書かれた会話の間を
役者の演技によってスリリングに見せていくこと。
しかもワンショットでの撮影が多いため、
緊張感はずっと持続。
普通、ワンシーン、ワンカットの映画って、
ロングのことが多いけど、
ここはバストショットが基本。
そのことも映画としてのダイナミズムというか、
躍動感に貢献していると思うよ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「けっこう、身につまされる話らしいのニャ」おっ、これは


※高岡、田端の演技がいい度


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