ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アンダーカヴァー』

2008-11-10 20:08:31 | 新作映画
(原題:We own the Night)

※ネタバレとまではいきませんが映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



-----ホアキン・フェニックスにマーク・ウォールバーグ。
これまたシブい組み合わせだニャあ。
「うん。しかも彼らは兄弟役。
その上、プロデューサーとして名を連ねているんだ。
よほど、この監督が気に入ったんだろうね」

----その監督って?
「『裏切り者』でも組んだジェームズ・グレイ。
いやあ、その気持ち分かるって言いたくなるくらい、
見応えがある作品だったね」

----アンダーカヴァーって、囮捜査とかの意味だよね。
それってもしかして『ディパーテッド』みたいな話ニャの?
「う~ん。ちょっと違うんだなあ。
まず設定から話しちゃおう。
警察官の家系に生まれながらも
ロシアンマフィアと通じる裏社会を生きてきた弟ボビー(ホアキン・フェニックス)。
一方、父バート(ロバート・デュバル)の後を継ぎ
エリートコースを歩んできた警官の兄ジョセフ(マーク・ウォールバーグ)。
ある日、ジョセフが何者かに襲撃され、瀕死の重傷を負ってしまう。
この事件の黒幕がロシアン・マフィア、ニジンスキーであること、
しかも彼の次なる標的が父バートであったことを知ったボビーは、
警察の囮として、
まだアメリカ人がだれも足を踏み入れたことのないと言われる、
ロシアンマフィアの麻薬工場に潜入する。
この一件で、ニジンスキーは遂に逮捕されたものの、
自分の身元がバレてしまったことからボビーは、
保護プログラム下での生活を強いられる。
そんな中、ニジンスキーが脱走。
ボビーの警護を担当する父バートは
マフィアの車の執拗な追跡にあい、
激しいカーチィエスのさなか、
彼らの放った銃弾に倒れてしまう」

----えっ、そこまで話してしまっていいの?
「うん。手持ちのプレスやなんかを見ると、
なぜかそこまで書いてあるんだ。
しかも『遂に、別々の道を歩んでいた兄弟の運命が一つになった』とね」

----えっ、それってどういうこと?
「いや、そこからは黙っておいた方がいいだろうな。
普通に考えたらありえない展開だからね。
でも、この映画、そのありえなさを基本においていて、
ぼくは逆にそこが楽しめたんだけどね」

---どういう意味?
「たとえば、クライマックス。
ここでは葦の原にニジンスキーを追いつめ、
火を放って燻り出そうとする。
普通に考えれば敵が出てくるまで待っていればいいわけだけど、
なぜかボビーは中に入っていく。
煙で見えるはずもないのに…。
でも、父の仇に少しでも早くとどめを刺したいという気持ちと直結した“行為”、
その“画”こそが
ファンがもっとも観たいもの。
そこを、この監督はよく分かってるんだ」

----ニャるほど。
「しかもこの映画は、
主人公たちをアクション・ヒーローとしては描いていない。
だから、この映画を思い出すとき、
それはストーリ-としてではなく、
一つの人間が絡んだ“画”として脳裏に甦ってくるんだ。
麻薬工場でニジンスキーが盗聴器を発見するときしかり、
暴風雨の中でのカーチェイスしかり。
それらはいずれもボビーが死に近づいた瞬間…」

----そうか、一歩間違えれば、すべてはそこで終ってしまうんだね。
「そういうこと。
この映画では、そんなボビーの弱さが
ドラマとして実に有効に作用している。
保護プログラムの下で
恋人(エヴァ・メンデス)と逃げ回るときもしかり。
昨日話した『バンク・ジョブ』と同じく、
これは、主人公が“超人”ではないことで
映画がオモシロくなった好例だね」



           (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「この監督の他の映画も観たくなったニャ」身を乗り出す

※音楽はブロンディだ度

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