ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『エグザイル/絆』

2008-11-04 23:07:42 | 新作映画
(原題:Exiled/放・逐)

※見どころに触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



----これって、最近人気のジョニー・トーの作品だよね。
けっこう評判がいいみたいだけど?
「そうなんだよね。
まるで映画史上の“事件”であるかのように
騒がれているものだから、
いったいどんな映画だろうと、
観るのが楽しみで仕方がなかったんだけど、
なるほどなるほどだね」

----どういうところが
他の映画と違うの?
「うん。これは他の映画と“違う”のではなく、
最近の映画が“忘れていたものを思い出させてくれる”映画。
至福の時間が味わえると言われるのも分かるね」

----もう少し、
具体的に説明してよ。
「そうだなあ。
話としては比較的シンプル。
冒頭、ふたりの男がある家の戸を叩く。
『ウーはいるか?』と、
しばらくして今度は別の男ふたりが現れる。
そしてついにそのウーが姿を見せ、家の中へ。
続いて家に入る男ふたり。
拳銃に弾丸をつめるウー。
一方ではブレイズが弾丸を抜く。
そしていきなりの三すくみによる銃撃戦。
しかし、赤ん坊の泣き声とともにピタリと止め、
話し合いをすることに。
それには椅子が必要と、
みんなでウーの引っ越しを手伝い、一緒に食事」

----ニャんだ、それ?
「つまり、この段階まで、
彼らの関係がどういうものかは
観客には分からないようにしてある。
知っているのは映画の中の登場人物のみ。
実は、彼らは青年時代からの仲間。
ボスを狙撃して逃亡していたウーを
ボスの命令で殺しにきたブレイズとファット。
そのウーを守るためにきたタイとキャット。
と、実はこれを話してよかったのかどうかも自信がないんだけどね。
途中まで、その関係をボカしてあるわけだから…」

----でも、ここまで話したんだから…。
「そうだね。
さて
食事の後、彼らは記念撮影までして和気あいあい。
だが、ブレイズはボス命令でウーを殺さなくてはならない。
そんな彼にウーは、妻子に金を残したいと、
ともに闇の仕事の手配師の元へ。
日活ムードアクションに出てきそうな
吹き抜けのあるホテルの一室。
彼ら5人は高額の人殺しを請け負うが……。
いやあ、ここからは二転三転。
ジョン・ウーばりの華麗さに
ペキンパーばりの血飛沫を伴った
過激な銃撃戦を軸に、
先の読めない物語が展開していく」

----へぇ~っ。ストーリーを聞いただけでもオモシロそうだニャあ。
「うん。
それに加えてユーモアね。
たとえば、闇医者の手術を受けながらの銃撃戦。
ここでは
確かにそうだよなと言いたくなる、
激痛を必死で我慢するボスの表情、仕草が笑える。
でも、やはりこの映画の魅力はレオーネ節だね」

----レオーネ節?
「うん。
観ながらセルジオ・レオーネの
けれん味、タメの話法を思い出したんだ。
とにかく、一つひとつがもったいぶっている。
途中で、ハーモニカを吹くシーンは
『ウエスタン』のチャールズ・ブロンソンかと…。
で、よく考えたら、最初の“何者かを待つ”ところからして、
すでに『ウエスタン』だ。
まあ、この映画、それに限らず
金塊輸送車襲撃、強奪など、
マカロニ・ウエスタンが好んで描いた題材を
うまく中に取り入れているけどね。
しかも、最後は男たちの友情、絆へと話が帰結していく。
最初、原題が『放逐』なのに
このタイトル『絆』はないだろうと思っていたけど、
最後まで観ると、それも納得。
最初の記念写真もうまく伏線となって、
しかも見事な回収を見せる。
このエンディングは泣かせるよ」



           (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「懐かしい匂いがするニャ」いいねぇ

※この映画、話し始めると、キリがない度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー


画像は台湾オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。