ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『バンク・ジョブ』

2008-11-09 22:28:38 | 新作映画
(原題:The Bank Job)


「いやあ、これは掛け値なしにオモシロい。
『世界最速のインディアン』のロジャー・ドナルドソン監督。
彼はいまノリにノッているね」

----キャッチコピーが
「奪ったブツは。キャッシュとダイヤと王室スキャンダル」。
これってどういうこと?
最初の二つは分かるけど…。
「う~ん。どこから説明しようか。
1971年、ロンドンのベイカー・ストリートにある銀行に、
地下から強盗団が侵入。
彼らは貸金庫内にある数百万ポンドにも及ぶ現金と宝石類を盗んで
姿をくらませてしまうんだ。
この事件、実際に起こった出来事で
当時、大きく報道されたにもかかわらず、
突如、打ち切られてしまった。
……と、これは事実らしい。
さてその理由。
ここからがほんとうかなと思ってしまうことだけど、
その貸金庫の中には、究極の王室スキャンダル、
マーガレット王女の乱交姿を収めた写真があったというんだね。
そのため、英国政府はD通告<国防報道機密禁止令>を
発令したと言うんだ」

----しかし、それって偶然にしてはできすぎてニャい。
「この話を映画の主人公であるテリー(ジェイソン・ステイサム)に持ちかけたのは
昔、彼とは浅からぬ付き合いがあった
モデルのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)。
彼女は、その銀行の警報が交換のため、
一週間、解除されるということを彼に教える」

----ニャんで、彼女は重要なことを知ってるの?
「そこなんだよね。
数週間前、モロッコから戻ってきたマルティーヌは、
麻薬の持ち込みがバレて空港税関で逮捕されてしまう。
その彼女に、自由の身と引き換えに、
特務機関MI5に属するティム・エヴェレット(リチャード・リンターン)が
この銀行強奪の話」を持ちかけたんだ。
実は、イギリス政府はマイケルXなる
エセ左翼黒人活動家を逮捕したくても
なかなかそれができないでいた」

----分かった。
そのマイケルXはマーガレット王女の写真を
そこの貸金庫に預けていたんだ!
「そういうこと。
彼はその写真をタテに政府を脅迫。
そんな裏事情はまったく知らず、
二件先の店の内装工事を装い、
トンネルを掘り進めるテリーたち7人の実行メンバー。
ところが見張りに置いた男エディとの無線での連絡を
アマチュア無線家に傍受されてしまう。
強盗事件進行中の通報を受けた警察は、
その会話だけでは場所が分からない上に、
日曜日の深夜ということで中にも入れないことから、
ロンドン中の銀行をしらみつぶしに探すが----」

----そうか、それは政府にとっては困った展開だよね。
「うん。
映画は、この辺りから俄然オモシロくなってくる。
というのもそこには、
このマーガレット王女の写真だけではなく
フランスの裏社会の顔役、
ポルノ王ルー・ヴォーゲルから警察への賄賂を記したノートや
政府高官のSM写真も入っていたため、
彼らは政府、警察、マフィアから追われる身となるんだ」

----でも、テリーたちはそんなこと
まったく知らないんだよね。
「そう。
なぜ、自分たちが見も知らぬ男たちに追われるのか?
成功した後に一人、また一人と
捕まっていく仲間たち。
しかも彼らは残虐なリンチを受けたうえ、
命まで奪われてゆく。
その上、報道管制も敷かれているため、
彼らはまったくの孤立に陥ってしまう。
さあ、この四面楚歌からどうやって抜け出すか?」

----ニャるほど。これが実話だとしたらスゴすぎる。
「でしょ。
事件に関する真相は2054年まで秘密らしいけど、
脚本がとにかくよくできていて、一瞬たりとも目が離せない」

----脚本は誰ニャの?。
「最近では 『アクロス・ザ・ユニバース』も手がけたベテラン・コンビ、
ディック・クレメントとイアン・ラ・フレネ。
彼らはぼくの大好きな一本、
『脱走山脈』の脚本家でもあるんだ。
衣装や美術、それにヘアスタイルも時代色豊か。
まだ、犯罪がハイテク化されていない、
間違っても殺人レーザー光線の仕掛けなどがない頃の銀行強盗、
そのダイナミズムとスリルを楽しむことができる。
『黄金の7人』のようなコミカルさこそないものの、
70年代という
古き良き時代の銀行強奪アクション映画を思い出したね」

----そうだよね。
こんなお話、
インターネットが発達している今ではとても考えられない。
セキュリティだって、けっこう甘かったんだろうニャあ。
「そうだね。
あと、強調しておきたいのが
ジェイソン・ステイサム。
最近、超人的アクション・ヒーローのイメージがつきすぎた感のある彼が
ここでは借金取りに追い立てるしょぼくれたオヤジの役。
ところがその彼が気づくと、
頭脳と肉体を駆使してこの危機を乗り越えていく。
それがちっとも不自然ではないんだ。
演出ももちろんうまいけど、
彼の計算された役作りにも感心。
これはステイサムのベストアクトだと思うね」


           (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「事実はニャンとかより奇なりだニャ」ちょっと怒るニャ


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