ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『拳さん、早すぎます』~緒形拳を偲んで

2008-10-07 21:50:32 | 映画
「しかしまさか、一週間に2回も追悼記事を書くことになるとは…」
-----そ、そうだよね。
フォーンも緒形拳にはビックリ。
「早い。あまりにも早すぎる。
彼にはまだまだ頑張ってほしかった。
日本には珍しく
深みのある悪役ができる人だっただけに…」

-----深みのある悪役?
「うん。
ちょっと順を追って話そう。
ぼくが最初に彼、緒形拳を知ったのは
1965年NHK大河ドラマの『太閤記』。
「サル」と呼ばれた秀吉。
「サル」=緒形拳。
そのイメージがあまりにも鮮烈。
調べてみると
どうやらナレーションでも「サル」の言葉を使っていたんだね。
当時、彼は新人で
さらに新人というか、当時大学生だった石坂浩二演じる石田三成、
「信長を殺さないで」の投書を数多く集めた高橋幸治の織田信長と、
おそらくこの『太閤記』は
『日曜日の夜8時は大河ドラマ』を
決定づけた作品じゃないかな。
そんないかにもNHK好みの明るいお茶の間イメージを
徹底的に壊してくれたのが、かの今村昌平。
佐木隆三原作の『復讐するは我にあり』(1979)は
悪の魅力を描いてこれに勝る作品は、他にそうない。
無理に探せば
それこそ 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』くらいだろうね」

-----うわあ。それはまた
強烈な例を持ち出してきたニャあ。
「そんな彼だけに、
以後は少しものたりなく感じていたのも事実。
ところが驚いたことに彼は
若手作家とのコラボを始める。
1999年に『流★星』に出たときはほんとうにビックリ。
申しわけないけど、あまり聞いたこともない監督、
しかも製作がリトルモアと、
まあライト、ライト。
以後も池端俊策『あつもの』や小林正弘『歩く、人』などに主演。
でもやはり彼の魅力は“悪”。
そのいい例が、近年相次いで映画化された藤沢周平の時代劇だ。
彼が光っていたのは
同じ山田洋次作品でも『武士の一分』よりも『隠し剣 鬼の爪』
確か、最後の主演作が『長い散歩』だけど、
もっと図太い役で締めくくってほしかったな。
と、好き勝手に言ってしまったけど、
『拳さん。あまりにも早すぎます。
日本のダニエル・デイ=ルイスはあなたしかいない……』。
改めてご冥福をお祈りします」


                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ことしは、映画人が相次いで逝っちゃうのニャ」悲しい


※ほんとうは言葉もない度

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