ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ラースと、その彼女』

2008-10-12 15:25:41 | 新作映画
(原題:Larse and the Real Girl")


----「彼が恋に落ちたのは…等身大のリアルドール!」。
このリアルドールというのがよく分からないんだけど?
人間そっくりに作ってあるってこと?
「ゴホンゴホン。
まあ、そういうことだね。
ぼくも観る前は
男の子が小さな人形に恋をする
キュートなファンタジーかと思っていたけど、
実は人形は人形でも等身大の人形。
この映画ではそういうことはないけど、
その本来の目的は……ちょっと、ここでは止めておこう」

----じゃあ、ファンタジーじゃないわけだ。
人形に恋しているというのに?
「いや、これも一種のファンタジーだろうね。
アメリカ映画って、
ときどきこんな田舎町を舞台にして、
そこの住人たちの善意や悪意を
うまく物語に生かした作品を届けてくれる。
ある意味、都会の文化に毒されていない世界。
『シザーハンズ』や『ステップフォード・ワイフ』みたく
これも一種の戯画化された世界だね」

----で、どうしてこのラースは人形に恋しちゃうの?
「ラース(ライアン・ゴズリング)は人との付き合いが苦手。
長年自宅のガレージを改装した部屋に一人、
寂しく暮らしている。
そんなある日、仕事の同僚から教えられた
インターネットのサイトでビアンカと知り合い、家に招待する。
兄ガス(ポール・シュナイダー)と義姉カリン(エミリー・モーティマー)は
彼女を見て大ショック!」

----つまり、そのビアンカが人形だったんだね。
どうして、みんなそれをはっきり言わないの?
「そこがこの映画の特徴。
ラースがおかしくなったのでは?と心配しながらも、
それを変に問いつめたりしないで、
旧知のバーマン医師(パトリシア・クラークソン)に相談。
バーマン医師は
ラースの真意は分からないが、
すべては彼が作り上げた妄想なので、
ラースに話を合わせて成り行きに任せるように助言するんだ。
そこで兄夫婦は町の人たちに協力を要請。
やがてビアンカはラースの想像の外でも生きるようになる」

----ん?言っている意味がよく分からないニャあ。
「つまり、ビアンカはデイケアやボランティアに参加。
コミュニティのメンバーとなるんだ。
町の人たちも“車椅子”の彼女の面倒を見るために団結。
ビアンカに子供を抱かせる人もいれば、
美容院で彼女の髪を切る人も。
このあたりの描写が実に楽しい。
ビアンカの存在によって、
町の人々の結びつきが
それまで以上に深まっていくんだ。
ところが、そのことが
かえって彼をいらつかせる。
自分の知らないところでビアンカはナニをしているんだ?」

----男の嫉妬ってヤツだニャ。
そこまでいくと、かなり本格的。
でも、こういう映画作るの楽しそうだよね。
監督は誰ニャの?
「これが監督デビューとなるCM作家のクレイグ・ギレズビー。
彼は、この作品でアカデミー賞のオリジナル脚本賞にも
ノミネートされているんだ。
でもそれも納得。
物語の顛末に向けての話の運びも実に自然。
ビアンカとラースの愛の行方に対しても
観る者にいつしか感情移入させてしまう」

----もしかして人形の表情とかも変えているのかニャ。
「シーンによって、
目や顔の表情に微妙に変化を付けているみたいだよ。
ぼくも、このドール、
ほんとうにきれいだと思ったもの」

----もしかして欲しくなった?
「はい(笑)。
あっ、あと俳優がおしなべて素晴らしい。
『きみに読む物語』と同一人物とは思えない
ライアン・ゴズリングのとぼけた味。
さらには、ポール・シュナイダー、エミリー・モーティマー。
このふたりもそれぞれにラースへの思いやりと、
自分の中における葛藤とを見事に表現。
雪が降り積もる小さな町の小さな奇跡。
12月にカップルで観るのに最適だね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ライアン・ゴズリング、ちょっとおじさんっぽいニャあ」小首ニャ

※妄想と幻覚は違うらしい度

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画像はアメリカ・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。