ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『小森生活向上クラブ』

2008-10-15 21:57:20 | 新作映画
----また、変なタイトルの映画だニャあ。
どんなお話ニャのか、まったく想像がつかないけど…。
「うん。これはね。
役者でもある家積光の原作を映画化したもの。
毎日がパットしないサラリーマン・小森。
ある日彼は、
通勤電車で痴漢の冤罪をなすり付ける常習犯の女に出会い、怒り爆発!
思わずその女をホームに突き落としてしまう。
それからというもの気分は爽快、性欲も増進。
人生に活力を見出した彼は、
拳銃を入手し、街のダニを退治。
そんな彼の裏の顔を知った会社の部下たちは
小森を中心に『小森正義クラブ=KSC』を結成。
次々と制裁を加えていく……。
まあ、こういうお話だね」

----へぇ~っ。主演が古田新太というところがスゴいよね。
「うん。彼は映画初主演。
まあ、普通ならば、いわゆるイケメンをもってくることで
観客に対してのアピールを狙うんだろうけど、
これは映画としての世界観を優先したようだね。
監督・片嶋一貴の個性弾ける映画になっている」

----それって、どういうところに表れているの?
「なんと言っても画づくりだね。
いわゆるリアルな映像や叙情的な映像というものは皆無。
まるでパッチワークのように
合成に次ぐ合成を重ねて
スクリーンというキャンバスを塗り上げていく。
それはあるときは戯画的な背景であったり、
それぞれに色がついたバックでの画面分割であったり。
そうかと思うと、演劇的な構図や、
長回しでの撮影など、
ほんとうにやりたい放題」

----でも、そういうのって
映像優先になって
物語が置き去りにされてしまうことが多いよね。
「いや、ところがこれが意外なことに
よどみなく話が進んでいく。
どうやら美術監督に木村威夫を迎え、
コンセプト作りの段階から
彼にアドバイスをもらったらしい。
そのアドバイスというのも、
一つひとつの細かいシーンではなく
映画全体の世界観の作り方なのだとか。
これがうまく作用したんだろうね。
ただ、少し話が長すぎて
後半、だれてしまったけどね」

----他にはどんな俳優が出ているの?
「小森の妻役に有森也実。
20代の頃に比べて、
痩せた-----と言えば聞こえはいいけど、
ちょっとやつれた感じ。
林美智子のようでもあり、樫山文枝のようでもある。
いわゆる日本的な妻。
でも、夫婦夜の営みのシーンが絶品(笑)。
その行為自体を見せるわけでもないのに、
そこになだれ込むまでの表情や声で
フェロモンを映画全体に漂わせる。
これが大げさな表情で見せる古田新太と対になると、
見てはいけないものを見ているような
不思議なおかしさを醸し出すんだ
あとは、栗山千明の余裕の変身」

----変身?
「うん。
メガネをかけた仕事一辺倒のOLのように見せながら、
実はKSCに入っている男性すべてと関係を持ち、
彼らを自分の言いなりにしている。
ファッション的にもいろいろと遊んでるから
ファンはきっと楽しめると思うよ。
他にも忍成修吾、豊原功補、佐野史郎らが
それぞれ最初に出てきたイメージとは違う方向へ途中から変身。
そうか。いま喋りながら気づいたけど
これは“変身”を楽しむ映画だね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しかし日本映画、次々作られるニャあ」身を乗り出す

※小森のおばちゃまとはまったく関係ない度

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