ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ラスト、コーション』

2008-03-02 14:02:44 | 映画
(原題:戒|色 Lust Caution)

----これは知ってるよ。
アン・リー監督の映画。
性描写がスゴいんだよね。
「うん。
でもけっこうボカしがはいってたからなあ。
これ、映画館で観たわけだけど
試写だったらどうだったんだろう」

-----でも、それだけだったら
いわゆるポルノと変わらないよね。
話題になるにはそれだけの理由があるんでしょ。
ヴェネツィアで金獅子賞に輝いたくらいだし。
「うん。じゃあ、まずお話を。
戦時中の日本占領下において
日本に協力し、抗日運動家を次々と死に至らしめている
特務機関の顔役イー(トニー・レオン)を暗殺するべく、
彼に近づく女スパイ、ウォン(タン・ウェイ)。
映画は、このふたりの逢瀬を
センセーショナルな映像で描いている」

-----それは、時代再現だけでも大変そうだ。
「うん。
40年代の上海、香港の街並が
息を飲むほど素晴らしい。
でも、それをさらに超えるのがタン・ウェイだね。
その美貌、そしてたたずまい。
彼女が街に立つだけで一枚の画となる。
その美しさで映画を牽引していくところは、
まるで40年代のハリウッド女優のよう。
もちろん、その背後にはアン・リーの
緻密に計算された演出があるのは間違いないけどね」

-----計算?
「うん。話だけ取り上げると、
これは古色蒼然としているよね。
ウォンがなぜ、そんなスパイとなったか?
それは彼女が惹かれた演劇青年クァン(ワン・リー)が
抗日という政治的姿勢を取っていて、
その彼に気に入られようと
身を呈して敵の懐に入るというもの。
それまで彼女が処女で、
人妻という設定との間に齟齬が生じるため
好きでもない男と経験を重ねるという、
とても辛いエピソードもあるけどね。
この映画が巧いなと思うのは、
イーをだれも信じたことがない男という設定にしているところ。
そんな彼だけに、観客は
ほんとうに彼がウォンを疑っていないのかと、
その一挙一動、表情の裏を読み解こうと
食い入るようにスクリーンを見つめることとなる。
そして、いくら任務とはいえ、
好きでもない男に抱かれるものなのか、
観客はウォンの表情をこちらもじっと凝視してしまう」

-----で、どっちだったの?
「そこなんだよね。
イーは、ウォンのことを
『美しすぎる』と言う。
最初の出会いですでに彼は彼女にその心を奪われてしまう」

----それって分かるシーン、あるの?
「麻雀。
イーが捨てた牌七筒をチーしようとするウォン。
しかし、これは別の人に優先権があるポンをされて
取られてしまう。
しかしこれによってイーが七筒が必要なことは
みんなに分かってしまう。
なのに、次の一巡でまたウォンは七筒を出す。
まあ、これは麻雀をヤル人なら分かるけど、
ありえないことだね」


        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ほんと、きれいな人だニャ」ぼくも観たい

日本に対してもチクリチクリあった度

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画像は台湾・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。

※ちょっとCM。けっこう凝ってるかも。
(画像のどこでもクリックしたら動画が観られます)

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