ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『丘を越えて』

2008-03-30 22:16:45 | 新作映画
----これも昭和を舞台にした映画だよね。
「うん。ただ、ここで描かれているのは
最近流行りの1960~70年代ではなく
昭和初期だね。
銀座通りをモボやモガが闊歩していた頃」

----ニャに。そのモボとかモガって…。
「モダンボーイ、モダンガールのこと。
プレスによると、
この時代というのは、日本にサラリーマンが誕生し、
飛行機が空を飛び、地下鉄が開通し、映画館が建ち並び、
大工場が出始めた頃----となる。
つまり現代の原点だね」

----うわあ、それは
スゴく活気があっただろうね?
「うん。それと同時に“”もね。
こ夢の映画は、
当時はまだ珍しかった“仕事をする女性”葉子(池脇千鶴)が主人公。
彼女は江戸情緒を残す下町育ちの娘。
そんな葉子が洋装で菊池寛(西田敏行)のところへ面接に」

----えっ、菊池寛って
あの芥川賞・直木賞を創設した…。
「なんだか、
それって猫の言葉じゃなくないか(笑)。
まあいいか。
それはさておき、
彼は文藝春秋社の創設者でもある。
つまりは社長。
葉子は、その菊池寛の私設秘書になるんだ。
映画は、この二人に加えて
母国の社会と文化の変革をと野心を燃やす
朝鮮の貴族出身の馬海松(西島秀俊)を交えた
三角関係が軸となって話が進んでゆく」

----若い美女をめぐる権力者と美青年。
よくある話のような気も…。
「まあ、物語の骨子は確かにありふれているけど、
実在の人物が中心となっている上に、
日本と朝鮮の関係、リストラなど、
今の時代にも通じる問題を散りばめ、
しかも華やかなファッション、その時代特有の言葉遊び、
そして昭和歌謡やダンスと、眼も耳も楽しませてくれる。
結果、映画としては、きわめて魅力的な素材になったと思うね」

----ふうん。ところでこれは実話ニャの?
「いやいや、猪瀬直樹の小説。
彼自身も直木三十五の役で特別出演。
菊池寛と、小説の芸術性について対談しているよ。
あっ、そうそう。
今野勉が脚本を手がけているのも話題だね。
でも、なんと言っても一番感慨深かったのが
この映画の監督が高橋伴明だということ。
彼は早大闘争に参加し、除籍されて中退。
その後も若松プロなどで活躍。
イメージとしては武闘派という感じ。
その彼がこんな大人の映画を作るとは…」

----確か『火火』もそうじゃなかった?
「うん。もともと高橋監督は
早稲田では映画研究会に所属。
学生時代からピンク映画の現場でアルバイト。
やはり根っからの“映画の人”なんだろうな。
このラストを観て、そう思ったよ」

----でも、そこは教えてくれニャいんでしょ?
「もちろん」

           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニャんだか楽しそうだニャ」身を乗り出す

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