ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『明日への遺言』

2008-03-04 10:49:55 | 映画
----これってどんな映画ニャの?
ニャんだか裁判劇みたいだけど…。
「うん。これはね。
B級戦犯、岡田資中将の法戦を描いているんだ」

-----法戦って?
「その言葉は彼が名付けたもの。
いわゆる法廷闘争だね。
戦後、多くの戦争指導者が自己保身に走るのを見て、
彼、岡田資中将は自分が行なったことが
国際法に則った信念に基づくものであることを主張。
彼は、その行く手にたとえ死の判決が待ち構えていようと、
部下の責任もすべて自分が負うことを決意する」

-----スゴイ人だね。
でも、彼は何の罪に問われたの?
「名古屋空襲時に無差別爆撃を行なった末、
自分だけは助かろうとパラシュートで降下した米軍搭乗兵を処刑したんだ。
本来、飛行機による爆撃は軍事施設に限られるという国際条約がありながら
それが次第に崩れてきた。
彼はそこに立脚し、
自分がなぜ部下に命じたか、その理由を堂々と述べる。
司令官としての彼の潔い姿は、
裁判官や検察の心まで揺り動かすが…」

-----うわあ。
それは、いまの日本人からは考えられないニャあ。
会社のトップが少しでも合理化しようと
労働力まで経済性で計っている時代だもの。
「そうなんだよね。
ワーキングプアなんて言葉が生まれるなんて、
彼にはとても考えられなかっただろうね。
それこそ彼の『明日への遺言』を聞けば、
人の上に立つ者がどうあるべきか分かって、
自分が恥ずかしくなるはず。
そういう意味で言えば、
この大岡昇平の『ながい旅』を映画化したのも分かるし、
これは映画としてもスゴく意味を持っているとも思う。
しかしなあ…」

-----ん?
「この監督の作品、
いつもその志は高いと思うけど、
映画としての魅力がぼくの求めるものとは一致しない。
マジメさは分かるけど、
もっと違う描き方はないのかなと…。
やはり多くの人が観なくては意味ないんだし。
昨日行った映画館では、観客はぼくを含めて6人。
これは問題だと思うな」

        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「いまの時代必要な映画だニャ」ぼくも観たい

※志、高い度

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