ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『山桜』

2008-03-10 12:13:22 | 新作映画
----「本のページをめくるように
父の原作の映画を観たのは初めての経験でした」。
これって藤沢周平の長女・遠藤展子さんの言葉だよね。
「うん。
最高の宣伝惹句だね。
ぼくは藤沢周平の原作を読んでいるわけではないけど、
映画を観た限りでは、
約20ページの短編を大切に丁寧に作っている感じは受けたな」

-----どういうところにそれを感じたの?
「まずはキャスティングかな。
今の若手(?)の中で
東山紀之ほど、
侍姿がこれほど凛々しく似合う俳優はいない。
いままでなぜ彼を起用しなかったんだろうと思ったね。
おそらく、
原作のテーマを現代に重ねあわせようという観点の方が
重視されていたんだろうな。
今回は、主人公・野江を取り巻く3人の母を演じる女優たちも
ベテランがそろい踏み。
富司純子、永島瑛子、
そして何よりも驚いたのが檀ふみ。
彼女をスクリーンで観るの、久しぶりじゃないかな」

-----そんな中で、
主演の田中麗奈は現代的な顔。
少し浮いてない?
「いや、監督が篠原哲雄。
田中麗奈の代表作の一本、
『はつ恋』を監督しているし、
彼女のいいところを知りつくしている。
そしてあの映画のクライマックスが…」

-----あっ、桜だ…。
「そういうことだね。
さてこの映画は、
不幸せな結婚を繰り返した女性・野江が
かつてお見合いしながら結婚を見送った手塚弥一郎と
山桜の樹の下で再会するところから始まる。
折しも、彼らの住む海坂の地では
諏訪平右衛門(村井国夫)が豪農と組んで私腹を肥やし続けていた。
諏訪が権勢を振るうにつれ、
そのおこぼれに預かろうと、次第に増えていく取り巻き陣。
手塚は、我が身を犠牲にして彼に刃を振るうが…。
このあたりの描写も今の時代に受けるかも」

-----でも、主人公は、
あくまでも野江だよね。
物語の主軸は少し違いそうだけど…。
「うん。そうだね。
篠原監督の言葉をちょっと紹介しよう
『人は簡単には幸せにはなれない。
互いを想う気持ちを持ちながら、
我慢に我慢を重ねた後にとめどなく心を震わす瞬間こそ
幸せへの出発なのだと藤沢先生の文学は教えてくれた』。
映画は、この野江に訪れる<幸せへの出発、その瞬間>が
実に映画的に描かれる。
ここには、富司純子の存在感も大きく作用。
そして、そこに<山桜>が見事に絡んでくるんだ。
あと、個人的に嬉しかったのが大名行列の遠景ショット。
これも久しぶりに観た気がしたな」


        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「今年の桜は、いつ咲くのかニャ」小首ニャ

※派手さはないけ度

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