ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『接吻』

2008-01-27 12:30:27 | 新作映画
----また、スゴいタイトルだね。
インパクトはあるけど…。
「うん。映画って、あまり情報が伝わっていない時は、
そのタイトルも映画鑑賞の重要なファクターになる。
たとえば、街を歩いていて
“今日はちょっと映画観ようかな…”という時なんかね」

----でも、このタイトルってどういう内容なのか、
想像つきにくいニャあ。
チラシの小池栄子を見た限りでは、
普通の恋愛映画とは思えないけど…。
「それはある意味正解。
この映画は、一言で言えば
テレビで一家皆殺しの殺人犯・坂口逮捕の現場を見たOL京子が
彼に一目惚れし、
ついには獄中結婚までするというもの」

----ゴクッ。それってスゴくニャい。
「この坂口を豊川悦司が演じているんだけど、
冒頭の殺人犯行からして
異様な雰囲気を醸し出している。
階段を上がっている彼のズボンの後ろポケットに金槌。
さして目標もなく、一軒一軒回って
たまたま鍵のかかっていない家に上がり込み凶行に及ぶ。
しかも、各テレビ局に自分のインタビュー現場を指定。
その一方で、キャッシュディスペンサーで金を下ろし、
顔をモニターの方に見せながら、自ら警察に通報。
京子は、このインタビューをテレビで見たわけだ。
で、坂口の国選弁護人・長谷川に仲村トオル」

----それはユニークなキャスティングだね。
「仲村トオルは監督・万田邦敏の『UNloved』にも出ている。
こちらも強烈な個性を持った女性が主人公。
同じく、ふたりの対照的な男を挟んでの愛の物語となっていく」

----そういえば、豊川悦司も
万田邦敏監督の映画に出ていなかった?
『ありがとう』だね。
でも、こちらは脚本に妻の万田珠実が
関わっていないこともあり、
オーソドックスな作りの映画になっていた」

----へぇ~っ。その万田珠実っていう人、
そんなに個性的な脚本を書くの?
「そうだね。
彼女いわく、この映画のジャンルは“孤独映画”。
京子は、ふだん誰からも顧みられず、
それこそ“自殺でもするんじゃないの”というように、
暗い女性と見られている。
その彼女が自分と同じ匂いを殺人犯に感じとるんだ。
ただ、この時点では観客にもまだ分からない。
本当に二人に共通性があるのか、それとも彼女一人の思い込みか?
ただ、しばらく見ているうちに
それが彼女の妄執にすぎないことが分かってくるんだ」

----それはもしかして“狂気の愛”ということ?
「そういうことになるかな。
プレスにも『アデルの恋の物語』と比較してあるし…。
その“狂気の愛”がクライマックスの“接吻”に向って
京子を突き動かしてゆく。
実をいうと、この物語、
頭でっかちのような気もしたのは事実。
同じ“理解不能”な女性でも
『UNloved』はそれまでの映画に
まったく見られなかったヒロイン像。
でもこれはちょっと……。
ただ、話しているうちに気づいたんだけど、
万田邦敏&万田珠実のコンビということで
こちらが観る前から
濃密な人間ドラマを想定したところがあるんじゃないかと…。
でも実際は
ヨーロッパ映画に見られる“劇場の女”を
あるサスペンスの中に描いた映画。
そういう観点からすると、
これは日本映画の裾野を広げた作品ともいえるかもね」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ふうむ。一言では言えない映画ニャんだニャあ」小首ニャ

※『ありがとう』しか観ていない人は、驚くかもだ度

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