ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『砂の影』

2008-01-12 12:22:00 | 新作映画
----これって8ミリで撮られてるんだって?
「うん。なんと撮影は大御所たむらまさき。
35年以上のキャリアの中で初めて8ミリを撮影したらしい」

----8ミリって、いまではあまり見かけないよね。
「あまりどころか、まったくと言ってもいいくらいだね。
ぼくなんか、30年近く前に撮った8ミリが
現像されないまま屋根裏に何本も眠っている。
もうとっくに現像サービスは終了したと思っていたんだ。
でもあれって東洋現像所(いまのイマジカ)の話で、
今回調べたら、まだFUJIFILMでやってるんだね。
ちょっと調べてみようかな」

----ということは、この映画も国内で現像?
「いや。
この映画に関しては海外で現像、それを
イマジカでネガテレシネして、デジタルβカムに変換。
その画像をAvidに取り込んで編集したということらしい。
あの頃の8ミリはポジだったから、
ぼくからすると、これがカラーネガフィルムだったというのが驚き。
KODAK VISION2 500Tというらしい。
ただコダック社ということはスーパー8方式。
2分40秒、巻き戻しできないんじゃないかな。
あっ、でもカメラによってはできるか…」

----スーパー8じゃないとできるの?
「うん。FUJIFILMのシングル8はビデオテープのように2軸。
一発勝負のポジフィルムの場合、
巻き戻しできるか否かは、オーバーラップ等の効果に大きな差が出る。
いまはビデオ、そしてパソコンの時代だから
いろんな特殊効果が出せるけどね。
あっ、あと、8ミリは音の問題も大変だったな。
最初は、フィルムに磁気テープがついていなくって、
映像と光学で同期させるのが本当に一苦労だった」

----ニャかニャか映画の話にニャらないニャあ。
「ごめんごめん。
この映画、何が驚いたかって
その粒子の粗さを除けば、
8ミリとはまったく思えないということ。
プロのカメラマンが撮ると、こうも違うのかというほど
その映像が緊張感を孕んでいる。
70年代に作られた多くのマチュア8ミリ劇映画とは全然違う。
音をすべて後で作ったいわゆるアフレコ、
つまり同時録音がなかったということも大きいんだろうけどね」

----それまたニャぜ?
「8ミリはカメラが回る音が入ってしまうんだ。
そこでアフレコというわけ。
この音響が菊池信之。
小川プロダクション所属。
つまりはドキュメンタリー畑というのもオモシロい。
ドキュメンタリーは同録が基本だからね。
ただ、それは逆に言えば、
8ミリ特有の不安定さ、軽さが感じられないことにも繋がるんだけど…。
それと、さっきの2分40秒制約。
そこでフィルムチェンジのため長回しにも制限が生じる。
そこで芝居が切れたときどうするか、
ここのあたりが、また独特な緊張感を生み出していたね」

----映画のお話はどうニャの?

※以下、映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


「う~ん。これがなかなか手強い。
会社でとプライベート。
その二つの世界での、あるOLの日常が
江口のりこの持つ
他には変えがたい独自のキャラクターによって
さもありなんという風に綴られていく。
ところが、これがある地点から観客に『おやっ』と思わせる。
一種のホラーへと変わっていくんだ」

----えっ?ホラー!?
それって、どこで?
「う~ん。トンネル前。
もっと詳しく喋りたいところだけど、
この映画は、前情報なしで観た方がいい。
実際は、ある有名な事件が基になっているんだけど、
それもここでは封印しておこう」


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「よさそうだけど、よく分からないニャあ」小首ニャ

※驚いた度。映画は観てみるものだ度

※CMタイム
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ヒゲチェン

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