湯灌やさんは丁寧に身体を清めてくだされ
頭髪も洗髪し、不精な髭もきれいにそり落とし
末期のお水とりを身内が順番に済ませ
さてと、棺の中に皆さんに抱きかかえられて・・・
と思ったら、身内の一人が掛け声宜しく「せぇ~の・・」と
声を出し、オマケによろめいて「ドスンと」あたまが棺の底に当たり
「いて・・」と死体の私は言ってしまいました・・・
もちろん声も出ませんが、声が出ないのが情けなかったの
にらんでも見ましたが、顔は湯灌のあとの美顔のままで
もちろん眉間のしわなど見えません
そして、旅装束の真っ白な帷子を纏い
手甲脚絆と杖を脇に添えられ、
「いっぱしの死人のようです」
棺を覗き込んだ身内の人たちが
「こんなにきれいになって・・」「やつれた感じがしないね」
などと、湯灌やさんに深々とあたまを下げておりました
「ほうら・・湯灌はよかったでしょう」とほくそ笑んだ私は
なんとなくまじまじと顔を眺める身内の視線が
照れくさくも感じました。
ものの数分ののち目の前が暗くなりました
棺の蓋が下ろされたのです、
孤独感と「暗いじゃないか、本も読めない」とワガママを言っては見たものの
すたすたと、線香を上げて身内は帰り、
例の葬儀社さんも礼儀正しく手を合わせて、ぱちんと部屋の明かりを
落とし、こつこつと靴音が小さくなっていきました
「あ~ぁ・・とうとう棺の中だぁ」この静けさと、妙なるまでの
孤独感・・そして「やっと眠れる」幸福感・・・
なんだか入り混じりの感情のごった煮みたいな・・・
でも、それも薄れていく・・・
いろんなものが薄れて・・・・いく・・・
死んでいるのに生きている感覚も薄れていく・・・
・・・・なんか、向こうにぼやぁ~とした・・
温かい明かりが見えてきました・・・・
あの世の入り口かな・・・
又の機会につづく・・・・
頭髪も洗髪し、不精な髭もきれいにそり落とし
末期のお水とりを身内が順番に済ませ
さてと、棺の中に皆さんに抱きかかえられて・・・
と思ったら、身内の一人が掛け声宜しく「せぇ~の・・」と
声を出し、オマケによろめいて「ドスンと」あたまが棺の底に当たり
「いて・・」と死体の私は言ってしまいました・・・
もちろん声も出ませんが、声が出ないのが情けなかったの
にらんでも見ましたが、顔は湯灌のあとの美顔のままで
もちろん眉間のしわなど見えません
そして、旅装束の真っ白な帷子を纏い
手甲脚絆と杖を脇に添えられ、
「いっぱしの死人のようです」
棺を覗き込んだ身内の人たちが
「こんなにきれいになって・・」「やつれた感じがしないね」
などと、湯灌やさんに深々とあたまを下げておりました
「ほうら・・湯灌はよかったでしょう」とほくそ笑んだ私は
なんとなくまじまじと顔を眺める身内の視線が
照れくさくも感じました。
ものの数分ののち目の前が暗くなりました
棺の蓋が下ろされたのです、
孤独感と「暗いじゃないか、本も読めない」とワガママを言っては見たものの
すたすたと、線香を上げて身内は帰り、
例の葬儀社さんも礼儀正しく手を合わせて、ぱちんと部屋の明かりを
落とし、こつこつと靴音が小さくなっていきました
「あ~ぁ・・とうとう棺の中だぁ」この静けさと、妙なるまでの
孤独感・・そして「やっと眠れる」幸福感・・・
なんだか入り混じりの感情のごった煮みたいな・・・
でも、それも薄れていく・・・
いろんなものが薄れて・・・・いく・・・
死んでいるのに生きている感覚も薄れていく・・・
・・・・なんか、向こうにぼやぁ~とした・・
温かい明かりが見えてきました・・・・
あの世の入り口かな・・・
又の機会につづく・・・・