Jリーグの3大タイトルの一つである「Jリーグヤマザキナビスコカップ」の決勝が3日、東京・国立競技場で行われました。今年の決勝の対戦カードは、ジュビロ磐田VSサンフレッチェ広島という組み合わせに。磐田が勝てば1998年以来2度目の優勝、広島は初タイトルとなります。優勝賞金1億円をかけた頂上決戦は、延長戦までもつれこむ死闘となりました。
両チームのスタメン
ジュビロ磐田
GK 1 川口能活
DF 13 イ・ガンジン
DF 20 山本脩斗
DF 23 山本康裕
DF 50 古賀正紘
MF 6 那須大亮
MF 11 西紀寛
MF 27 上田康太
MF 28 船谷圭祐
FW 8 ジウシーニョ
FW 18 前田遼一
サンフレッチェ広島
GK 21 西川周作
DF 5 槙野智章
DF 24 森脇良太
DF 35 中島浩司
MF 7 森崎浩司
MF 8 森崎和幸
MF 13 高柳一誠
MF 14 ミキッチ
MF 15 高萩洋次郎
MF 16 山岸智
FW 9 李忠成
ジュビロ磐田のボールで始まったこの試合、前半14分に前田がペナルティエリア手前で倒されてFKを獲得。エリア中央でのFKを上田が直接狙うも、枠を捉えることができない。広島は21分にミキッチのクロス→森脇が頭で合わせるもダメ。22分にジウシーニョと広島GK・西川が交錯するが、両者とも大事には至らず。
両チーム無得点で迎えた前半36分、磐田は上田のパスを受けた前田が右サイドでクロスを上げ、ゴール前にいた船谷がヘディングで叩きつけ、ボールはGKの股間をすり抜けてゴールネットへ。船谷のゴールで磐田が1点を先制!このままジュビロ1点リードで折り返しかと思われた前半終了間際の43分、ミキッチが右サイドでドリブルを仕掛け、相手DFを続々と交わしてクロス、最後は李忠成が右足で合わせて同点!広島名物のゴールパフォーマンスは、全員で弓矢を引き、中央の選手がドッカーン。前半は1-1の同点で終わりました。
後半に入り、広島は高柳に代えて山崎雅人を投入。すると開始早々、広島にチャンスが生まれ、ロングボールから山岸が左サイドを抜け出し、最後は右足で流し込んだ!同点の勢いをそのままに広島逆転に成功!1点を追う立場となった磐田は、イ・ガンジンを下げて大井健太郎を投入。直後の5分に西がスルーパスから抜け出してシュート放つも決まらず。
後半15分、磐田は先制点を奪った船谷に代わり、菅沼実が3人目の交代メンバーとして入る。その菅沼効果なのか、磐田の怒涛の反撃が始まります。17分には波状攻撃で広島ゴールを脅かし、21分にはジウシーニョが頭で落とし、菅沼が詰めるもオフサイド。26分には西のクロスに菅沼のボレーシュート、30分に那須が中央からミドル狙うもGKの正面。チャンスは何度も作るも1点が遠い…。
時間だけが刻々と進み、広島優勝が近づいた中で迎えた後半43分、磐田は右サイドのCKから那須がヘッド、GKがはじいたこぼれ球を前田が押し込む!エース・前田が起死回生の劇的同点ゴールで2-2!90分では決着がつかず、勝負は延長戦に突入!
延長戦に入り、広島は3分に高萩がエリア中央から左足ミドルシュート!これはバーに直撃。対する磐田は6分に那須→西がシュートするも決まらず。9分、磐田は中央でのFKを上田が直接狙うも、広島GK・西川が片手でファインセーブ。西川はこの後、那須の右からのシュート性のクロスをセーブします。そして延長前半12分、磐田の左CKを菅沼がボレーで決めて勝ち越し!さらに1分後、相手のボールを奪うと、スルーパスから抜け出した山崎亮平が落ち着いて決めて4点目!2点差とした磐田、ほぼ勝利は確信か?しかし広島は諦めてはいませんでした。前半ロスタイムにFKを獲得し、槇野が右足で直接決めて1点返す!これで4-3と磐田1点リード。何なんだ今年の決勝戦は!?
延長後半、泣いても笑っても最後の15分!延長後半4分、前田が左サイドでボールを持ち、ドリブルで仕掛けてのループ性のシュートが決まり磐田5点目!前田のこの日2得点目で再び2点差とします。広島は残り時間内で1点でもいいから奪い返そうと必死に反撃を試みる。延長後半9分、槇野が左サイドからシュート放つもわずかにゴール右。13分には森脇のシュートを磐田GK・川口がキャッチします。そしてロスタイム、槇野がエリア内で倒されてPK獲得。最後に一矢を報いたい広島、槇野がPKを蹴り込むが、川口が横っ飛びでセーブ!こぼれ球を再び槇野が詰め込むもゴールネットを揺らせず…。そしてこのままホイッスルが鳴り試合終了。120分間にわたる激闘は、ジュビロ磐田に軍配が上がりました!
両チーム合わせて8得点の激しい点の取り合いとなった今年のナビスコ決勝戦は、ジュビロ磐田が5-3でサンフレッチェ広島を破り、12年ぶり2度目のナビスコ杯優勝を果たしました。後半40分を過ぎたあたりでは、広島の優勝は決定的かなと思ったけど、ジュビロの粘り&延長戦の30分間で3得点のゴールラッシュで広島を撃破。両チームの選手たちの闘志溢れるプレー、ドラマチックで手に汗握る試合内容に思わず興奮。今まで一番記憶に残る決勝戦だったと思います。
ジュビロにとっては2003年の天皇杯以来約7年ぶりのタイトル獲得となります。97年~2002年までの黄金時代は、ゴン中山を中心に、名波浩、藤田俊哉、ドゥンガ、高原直泰が在籍し、リーグ優勝を3度も経験しました。2004年を最後にタイトルから遠ざかり、2008年に入れ替え戦に回るという屈辱を味わいました。2年前に降格寸前まで凋落した「名門」が、久々のタイトル獲得で復活宣言。これを皮切りに第2期黄金時代が始まるといいのですが、ナビスコ杯を制したチームが、翌年成績不振に陥るという「ナビスコの呪い」があるので、それだけには気をつけてもらいたいところです。
大会MVPには2得点の活躍を見せた前田遼一選手が選ばれました。後半終了間際に起死回生の同点ゴール、延長で優勝を決定付ける5点目のゴールを奪いました。国立での大舞台、ここ一番の場面でエースストライカーとしての仕事を果たした前田選手、「何かを持ってる」ような印象を感じましたね。MVP獲得でJ1リーグの日本人得点王に視界良好、来年1月のアジアカップでも活躍が期待されるでしょう。
敗れたサンフレッチェ広島は、好調の李忠成選手がまたしてもゴールを決め、横浜Fマリノス戦ではNGだったゴールパフォーマンスも披露。槇野選手は延長戦でFKを決めたけど、最後のPK戦で川口選手に止められてしまいました。右肩を負傷している佐藤寿人選手は、ベンチ入りするも最後まで出場機会はなし。槇野選手と佐藤選手の2人が一番悔しい想いをしているはずです。
ナビスコカップも終わり、いよいよJ1も佳境に突入。首位を独走する名古屋グランパスは、7日にアウェー・カシマスタジアムで鹿島アントラーズと対戦します。名古屋が勝利すれば初優勝に王手、最短でも14日の第30節・大宮戦で優勝が決まります。勝ち点を考えれば4連覇が絶望的な鹿島は、名古屋に勝利して最後の望みをつなげるかどうか…。両チームにとっても大事な一戦になる事は間違いなし。リーグ戦も残り6試合。ACL出場権、J1残留争いはどうなるのでしょうか?