決勝トーナメントが続いている「2018 FIFA ロシアワールドカップ」は、日本時間3日深夜にロストフアリーナで日本代表VSベルギー代表の試合が行われました。2大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たした日本代表は、勝ち点と得失点差でセネガルと並びましたが、「フェアプレーポイント差」で辛くもH組2位通過。対するベルギーはグループステージで3戦全勝、グループGを首位で通過しています。日本の初のベスト8進出に挑んだ一戦は、大熱戦となりました。
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[日本]
GK 1 川島永嗣
DF 3 昌子源
DF 5 長友佑都
DF 19 酒井宏樹
DF 22 吉田麻也
MF 7 柴崎岳
MF 8 原口元気
MF 10 香川真司
MF 14 乾貴士
MF 17 長谷部誠(Cap)
FW 15 大迫勇也
[ベルギー]
GK 1 クルトワ
DF 2 アルデルワイレルト
DF 4 コンパニ
DF 5 フェルトンヘン
DF 15 ムニエ
MF 6 ツェル
MF 7 デブルイネ
MF 11 カラスコ
FW 9 ルカク
FW 10 アザール(Cap)
FW 14 メルテンス
開始2分、日本は香川がPA手前から左足シュートを放つが、ゴール右に外れる。7分には左サイドで乾がクロスを上げるが、相手DFにクリアされる。
ベルギーも15分過ぎからペースを掴み、前半25分に右サイドからメルテンスのクロス→ルカクにボールが通ったが、DF吉田が対応すると、GK川島がこぼれ球を押さえる。日本にとっては危ない場面だった。27分にはアザールの強烈な左足シュートを川島がパンチングでクリア。28分には左サイドクロス→DFコンパニがファーサイドで飛び込んだが、ボールは右に流れた。
押し込まれていた日本は31分、香川がドリブルでペナルティエリア左に進入してからヒールパス→長友がダイレクトで折り返し→乾のヘディングシュートはGKの正面。前半44分には長友が左サイドからシュート性のクロスを入れ、大迫が足に当ててコースを変える。ベルギーGKクルトワが一度は後逸するも、ゴール手前でキャッチ。前半は両チーム0-0のまま終了。
後半3分、日本に歓喜の瞬間が訪れます。中盤で柴崎が前線にスルーパスを出し、ベルギーDFの足に当たると、右サイドを上がっていた原口がボールを収め、右足のシュートをゴール左隅に突き刺した!原口が値千金のゴールで、日本が格上ベルギーから先制点を奪います!
だがその1分後、ベルギーはアザールがシュートを狙うが、ボールはポストに直撃して同点ならず。これは助かった。日本は後半7分、PA手前で香川がボールをキープしてから乾にパス。ボールを受けた乾は迷わず右足を振り抜いてゴール右隅へ!乾の無回転シュートで、日本が2-0とリードを拡げます!
2点を追うベルギーは、後半20分にメルテンス→MFフェライニ、さらにカラスコ→MFシャドリと2人同時投入。すると後半24分、ペナルティエリア内の混戦から、左サイドに回っていたDFベルトンゲンが頭で折り返す。これがGK川島の頭上を越え、ゴール左隅へ吸い込まれた。これで1点を返すと、後半29分には左サイドのアザールのクロス→フェライニが頭で叩きつけてゴール。ベルギーが2-2と振り出しに戻します。
追いつかれた日本は、残り10分でMF本田圭佑とMF山口蛍を同時投入。すると後半39分、左サイドから長友折り返し→香川縦パス→本田が飛び込んだが、シュートは左に外れる。後半41分、ベルギーはシャドリがヘディングシュートを放つが、川島がファインセーブ。弾いたボールをシャドリがクロスを上げて、ルカクが頭で合わせたが、ここも川島が防いだ!川島がこの時間帯でビッグセーブを連発!
後半アディショナルタイム、日本はゴール正面の位置でFKを獲得。本田が左足で無回転シュートを放ったが、惜しくもGKクルトワに弾かれる。続く左CKを本田が蹴るも、GKクルトワにキャッチされる。その直後にベルギーがカウンターに持ち込み、デブルイネがドリブル突破から右サイドへスルーパス→ムニエがグラウンダーでクロス→ルカクを通り越してシャドリが押し込んでゴール。この1点が決勝点となり、ベルギーが3-2で勝利を挙げました。
本当に夢を見たかと思いました。FIFAランク61位の日本が、3位のベルギーを相手に前半を0点に抑え、後半に原口選手と乾選手のゴールで2点を奪いました。グループリーグ初戦のコロンビア戦に続いての大金星で、初のベスト8進出も近づいたと思われました。しかし、ベルギーが選手交代してから流れを変え、連続ゴールで同点。日本も追いつかれながらも攻撃を続け、川島選手の連続セーブもありましたが、終了間際に力尽きました。2点差をひっくり返されての逆転負けで、またもベスト16の壁を超えることができず。サッカーにおいて2-0は、決して安心できる点差ではないってことが改めて実感させられる試合でした。
西野朗監督も試合後のインタビューで「何が足りないんでしょうね」と仰っていました。地力の差もあるし、選手層の差、それに体格差がありました。エースのルカク選手は191センチ94キロとサッカー選手としては規格外の体格を持ち、同点ゴールを決めたフェライニ選手は194センチの長身を誇ります。日本の吉田選手でも189センチだから、190台の選手がいないのは課題といえるだろうなぁ。
ベルギーに大敗するかと思ったけど、予想以上の大熱戦。結果と内容からしてもったいないけれど、選手たちが最後まで力を出し切ったし、チームも素晴らしい戦いぶりを見せてくれました。この経験は来年のアジアカップ、2020年の東京五輪、4年後のカタール大会に繋がることを信じています。
ベルギー戦で先制ゴールを挙げた原口選手は、全速力で右サイドを駆け上がり、柴崎選手の長いスルーパスを受けた後に迷わず右足を振り抜きました。ベルギーのDFも足を伸ばしてパスをカットしようとしたけど、ミスしましたね…。原口選手のゴールは、日本代表の決勝トーナメントでの初得点となりました。これもまた歴史に残りますね。
2点目のミドルシュートを決めた乾貴士選手は、今大会2得点目。香川選手のパスから、無回転シュートをゴール右隅に。セネガル戦の時と同様、芸術的な一撃でした。来季からスペインのベティスに所属しますが、ベティスのサポーターに良いアピールを見せたのではないかと思います。
今大会の日本代表は、30代の選手が多く選出され、「おっさんJAPAN」と言われていました。31歳の長友選手は全試合フル出場。32歳の本田圭佑選手はスーパーサブとしてチームに貢献し、コロンビア戦で1アシスト、セネガル戦では同点ゴールを決めました。その本田選手はベルギー戦後に「最後のW杯」と話し、代表引退を示唆。3大会連続でキャプテンを務めた長谷部誠選手も代表引退を表明しました。今大会ミスが目立ったGK川島選手も年齢的に最後となるでしょう。
ロシアW杯後からは大規模な世代交代が起きることは必至。柴崎岳選手を中心としたチームに生まれ変わり、W杯メンバー23人から漏れた中島翔哉選手,井手口陽介選手,久保裕也選手、さらには堂安律選手や久保建英選手といった東京五輪世代がフル代表に選出される可能性もあります。それに若手のゴールキーパーが出てきてほしいですね。
次期監督については未定ですが、7月中にも結論を出すとのこと。西野監督が続投の意思を見せれば、来年のアジア杯まで指揮を執るでしょう。退任ならば、日本人は森保一氏、外国人ならJリーグ監督経験者がいいと思います。
3度目の決勝トーナメントもベスト16で終わった日本代表。2022年のカタールW杯こそは悲願のベスト8進出を達成してくれることを願ってやみません。日本代表の選手の皆さん、西野朗監督お疲れ様でした。