「交流重賞ハンター」スマートファルコン、東京大賞典制覇でGI２連勝！

2010年の中央競馬は26日に終了しましたが、競馬ファンにとって大事なビッグレースがまだ残っております。29日は大井競馬場で年末のダート王を決める第56回東京大賞典（GI・ダート2000ｍ 14頭立て）が行われました。ダート戦線を締めくくる総決算レースには、JRAから５頭、南関東所属から７頭、他地区２頭の計14頭が参戦しました。JRA勢は交流重賞で通算12勝、JBCクラシックでGI初制覇を挙げた⑬スマートファルコンをはじめ、⑤シルクメビウス、③アドマイヤスバル、⑩バーディバーディといった実力者が集結。対する地方勢は、帝王賞を勝った南関東のエース⑨フリオーソ、前哨戦の勝島王冠を勝った⑦スーパーパワー、ベテラン⑥ボンネビルレコードなどが出走しました。


単勝の上位人気は、１番人気はスマートファルコン（2.5倍）、２番人気がフリオーソ（2.8倍）、シルクメビウスが３番人気（3.8倍）、４番人気の⑭ワンダーアキュート（9.8倍）までが10倍以下で、その後にバーディバーディ、アドマイヤスバル、⑫ゴルトブリッツと続きました。
14頭が大きな出遅れもなく始まったこのレース、好スタートを切ったフリオーソとスマートファルコンの２頭の先行争いから、ファルコンが抜け出して先頭でゴール板を通過しました。フリオーソは２番手、バーディバーディとワンダーアキュートの２頭がフリオーソに並びかけるような感じ。シルクメビウスはやや中団の位置で１コーナーを回ります。
１,２コーナーからバックストレートに差し掛かり、スマートファルコンが単独で逃げ、フリオーソとバーディバーディの６枠２頭が２番手争い。４番手集団にはアドマイヤスバル、メビウス、ワンダーアキュートがいて、７番手にゴルトブリッツが追走。④バロスハート（大井）８番手、それから少し離れた９番手に⑥ボンネビルレコード、①ドリームトレジャー（船橋）と⑪タートルベイ（金沢）が10番手で並走。後方は⑦スーパーパワー12番手、13番手に⑧トウホクビジン（笠松）、②サイレントスタメン（川崎）が最後方。
逃げるファルコンは残り600ｍで少し引き離し、フリオーソは戸崎圭太騎手がムチを入れながら前を追う。後方では４番手ゴルトブリッツが外に持ち出して５番手までに浮上。400ｍの標識を通過して直線に入り、スマートファルコンが２番手以降を突き放して勝利はほぼ間違いなし。フリオーソは２番手まで、バーディバーディが３番手に上がった。そしてスマートファルコンはそのまま逃げ切ってゴールイン！影をも踏ませぬ快走劇で年末の大一番を制し、JBCクラシックに続いてGI２連勝です！（全着順と配当はこちら）


スマートファルコンが終始先頭をキープし、最後は２着のフリオーソに１馬身3/4差をつけての快勝。優勝タイム２分00秒４は、従来のタイムである２分02秒１（2006年・帝王賞 アジュディミツオー）を１秒以上更新する大井競馬場2000ｍのレコードタイム！ダートなのに芝クラスのタイム、そのうち２分を切る事もあるかもしれない。鞍上の武豊騎手は東京大賞典で４勝目。有馬記念で騎乗できなかった悔しさをこのレースで晴らしてみせました。
ダート界はエスポワールシチーやトランセンドといったスターが存在し、主にGIの舞台で活躍しておりますが、スマートファルコンの場合はGⅡ・GⅢクラスの地方交流重賞で走り続けていました。2008年の白山大賞典（金沢）で重賞初勝利を飾ると、浦和記念から2009年のさきたま杯まで６連勝をマーク。今年に入ってからは、かきつばた記念（船橋）とさきたま杯で連勝し、JBCクラシックで初GI制覇。浦和記念も勝利し、東京大賞典で２度目のGIタイトルをもぎ取りました。
通算成績27戦17勝のうち、ダートグレード競走は13勝と歴代最多。「裏街道」で連勝を積み重ね、「交流重賞ハンター」と言われた馬が、今ではダート戦線の主役に躍り出ようとしています。2011年は川崎記念にフェブラリーステークスと国内のダートビッグレース、さらにはドバイにも挑戦予定。この秋に大輪の花を咲かせたスマートファルコン、これからますます強くなれそうだ。

今年は長年ダート戦線を支え続けてきたカネヒキリとヴァーミリアンの２強が揃って現役引退を表明。サクセスブロッケンも帝王賞の後に休養。エスポワールシチーがアメリカのBCクラシックに挑戦するも世界の壁の厚さを痛感させられました。エスポワールが不在の中、トランセンドがJCダートを制し、スマートファルコンがGIを２勝しました。来年はエスポワールシチートランセンド・スマートファルコンの「３強」を中心にグロリアスノア、シルクメビウス、オーロマイスターが主役を狙うことでしょう。ダート戦国時代はまだまだ続きそうです…。