シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

やわらかい手

2014-03-13 | シネマ や行

これも公開当時興味があったのでレンタルしました。

夫を亡くした平凡な主婦マギーマリアンヌフェイスフルの孫は病気で入院している。外国で手術できるという話が持ち上がるが息子夫婦にも自分にもお金がない。そこでマギーは仕事を探すことに。偶然見つけた風俗店の「接客係募集」の張り紙を見てマギーは勇気を出して風俗店に入る。

接客係とは何かも知らずに面接を受けるマギー。オーナーのミキミキマノイロヴィッチは、マギーの手を握り採用を決める。先輩“接客係”から仕事を教えてもらうマギー。彼らの言う接客とは「手でイカせる」という仕事だった。

オーナーが東京で見て真似をしたという小さなブースには、イスが置いてあり、壁にひとつ穴が開いている。マギーはそのブースで待機し、その部屋の向こう側に客室があって、、、とまぁこれ以上説明はなくとも分かっていただけると思います。これ東京の真似したって言ってたけど、こういうのあるんですね・・・

初めはこんな仕事できないと逃げようとするマギーだったが、やはり孫のことを考えると背に腹は代えられない。しかも、孫の渡航費はすぐに必要とあって、ミキに前借を頼み仕事をすることになる。

ミキが見込んだだけあってマギーの手の評判は上々でなんと客が行列を作る売れっ子となり、別の店からスカウトが来るほどに。母親が大金を渡してきたのを不審に思った息子トムケヴィンビショップに後をつけられ風俗店での接客業がバレ、息子は大激怒。こんな金受け取れるか!と突き返すのだが。。。

マギーはどこか少しぼけっとした雰囲気のこれまでのほほんと主婦やってきましたーみたいな普通のおばさん。そんなマギーが、風俗店なんかで働き始める。孫のためっていうのがもちろん一番にあるんだけど、チンピラ風のオーナー・ミキに自分の主張を言える芯の強さも持っている。演じるマリアンヌフェイスフルがとても素敵です。マギーの戸惑いとか腹のくくり具合とかをとても自然体で見せてくれます。

息子が激怒したのには、分かるけど腹が立ったな。お前の子供のためにイヤなことも率先してやったんやろうがー!って。自分は嘆くばかりで何もしなかったくせにねぇ。でもやはり母・マギーとしては息子が怒る気持ちも分かったんでしょうね。ここで息子の妻サラシヴォーンヒューレットが「子供のためなら何でもできるって言うけれど…」と私たちにはできなかったことをお義母さんはしてくれたのよ、と夫を諭すシーンが良かったです。もともと嫁と姑の間はうまくいっているって感じではなかったけど、どちらも子供、孫のためならというところでなら団結できるんでしょうね。

ストーリーを書くと孫を助けるために風俗で働くおばあちゃんっていうことになるのですが、本質はそこではなく、平凡な主婦マギーが(一風変わったシチュエーションではあるけど)社会に出て、自分と向き合う話っていう要素があると思います。いままでヒマだから付き合ってた友人たちとの関係を見直す結果にもなったし、新しい恋まで見つけちゃって。正直マギーがミキとくっつくっていうのはビックリの展開ではありましたけど、2人とも良い人そうなので好感が持てました。

静かな展開のイギリス映画ですが、くすっと笑えるシーンも結構あって風俗が舞台とは思えないほどの落ち着き感があります。下ネタも当然たくさん出てきますが、不思議と平穏な気持ちで見られる作品です。

マリアンヌフェイスフルという女優さんのことを全然知らなかったのでググってみると、60~70年代には相当ブイブイいわせてた方みたいですね~。このマギーという役が穏やかなイメージだったので、びっくりしました。ミックジャガーの恋人だったんだー。



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