随分前にケーブルテレビから録画していたものを最近見ました。
アメリカの高校の弱小バスケットボールチームに新しいコーチ、カーターサミュエルL.ジャクソンがやってきます。このチーム、弱いだけではなくて大変にガラが悪いし、態度も悪い。よくありますよね、そのスポーツがしたいというよりも不良のたまり場みたいになっているクラブ。そういうやつです。そこへやってきカーターコーチは大変厳しいお人。厳しいといっても日本の熱血体育会系教師タイプではありません。厳しいというよりも厳格という言葉がふさわしいかな。
カーターコーチはチームの生徒たちに、まず自分に「サー」をつけて丁寧語で話すよう命じる。そして、自分もチームのメンバーたちをジェントルマンと呼び、サーをつけて話す。このようにお互いに敬意を持って接することが大切だと半分チンピラみたいな生徒たちに教える。その上、このチームに残りたいならそれ相応の成績を学業で残すことを生徒たちに約束させ、契約書をかかせる。
授業はきちんと出席し、クラスの一番前の座席に座ること。
成績は平均2.3ポイントを取ること。
この契約を結ぶときにも保護者などから反発はあったものの、カーターコーチは絶対に譲らず、クラブを続けたい生徒たちはほぼ全員が契約書にサインをした。そして、厳しいバスケットの練習が始まる。
その後、チームはカーターコーチの指導のおかげでバスケットの実力はどんどんあがっていき、強豪チームにも勝てる力を持ってきた。コーチの練習は厳しいけど、理にかなっていて、生徒たちもがんばってついてくる。一度は退部した生徒には戻る条件として厳しいものを突きつけるがそれにも彼らは応えていく。しかし、そこで生徒たちがコーチとの契約を破り、授業をさぼり、成績も維持できていないことが発覚する。コーチはこのことに怒り、体育館を閉鎖して、全員が契約どおりの成績が取れるようになるまで、代わりに図書館で勉強させるという手段にうってでる。
これには、保護者や地域の住民が大反対!
さて、ストーリーの説明が長くなってしまったが、ここである。この展開。以前にアメフトの映画であった「プライド~栄光への絆」の記事でも言ったことがあるが、アメリカのスクールスポーツに対するスタンスというのは日本人には到底理解できないようなところがある。もちろん、日本にも高校野球とか、六大学野球とか、伝統の早慶戦とか、田舎のほうの強い学校とかに寄せる地元住民の思いってやつはあるとは思うんですけどね、アメリカみたいにここまで、住民が発言力を持って、まるでプロスポーツのファンであるかのように振舞うってことは少ないんじゃないかなぁと思います。ここでも、コーチが体育館を閉鎖したことに保護者や地元住民の怒りが大爆発して、地元のマスコミまでもがこぞってやってきたりするわけですよ。まぁ、体育館を閉鎖しただけじゃなくて大事な試合まで棄権したわけですからね。それには怒る人も出てくるだろうということは理解できますが。でも、コーチは突然そんなことをやったわけではなくて、最初にきちんと選手たちと契約を交わしていたし、再三にわたって注意もしてきたわけですからね。日本でもプロレベルでスポーツをやってる人のあぽさ加減を見るとそれさえできればいいじゃんっていうのは同じようにあるのかもしれませんね。それでプロになれたり、芸能人になれた人はいいですけどね。あとの子たちはどうなるねん!と。
作品の中でコーチも言いますが、平均ポイント2.3と言えば、「C」判定ですよ。そんなものも取れないで、学業が本分の高校生がクラブ活動なんかにかまけてていいわけないでしょ。って当然の言い分だとワタクシは思うのですがねぇ…しかも、それをコーチはただ厳格な人だから言っているではなくて2.3ポイント取っていれば、のちのち大学に進学するときにラクになるからときちんと説明しているのにですよ。それでも、単にバスケットだけできればいいじゃないかと考える大人たちのせいで若者の未来がつぶされようとするわけです。アメリカの下層部の彼らが大学に進まないということは一生貧しく、治安の悪い地域に住み続けることを意味します。そんな生活からコーチは生徒たちを救おうとしているのに、それを理解しない大人がこんなにも大勢いるなんてうんざりしてしまいますね。結局コーチのやり方は地元の評議会(?)で否認され、体育館の鎖は解かれます。
しかし、コーチの職を辞すために荷物をまとめようと体育館に入ったカーターコーチの見たものは?
体育館のバスケットコートに机を並べて勉強する生徒たちの姿だったのです。
ここのオチは分かってたと言えば分かっちゃってたんですけど、それでもやっぱり感動しちゃいましたね。生徒たちはちゃんとコーチの意図することを理解してくれたんです。何度も何度も反発してきた生徒たちが最後には誰が一番自分たちのことを考えてくれているのかを理解したんですね。
このお話は実話を基にしているので、最後にそれぞれの選手が大学に進学したことがテロップで流れます。そのシーンでは涙が流れましたね。カーターコーチのお陰で彼らが掴んだものは彼らの人生において非常に大きかったと思います。
劇中、ケニヨン選手ロブブラウンの恋人キーラアシャンティの妊娠とか、クルーズ選手リックゴンザレスの不良のいとことの関係などが語られますが、少し一人一人の選手の家庭環境や育ってきた背景については希薄だったように思いました。
実話であることや、アメリカの貧民層の学校の話、鬼コーチの話ということで「デンジャラスマインド」のバスケ版といった感じの作品でした。
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厳しすぎるよコーチ
クラブ活動の条件は 全員偏差値2.3以上の成績成績ランクCプラス。それだと スポーツ奨学金を得るのに全科目950点で済むから
学校側の条件は2.0でいいが これだとスポーツ奨学金を得るのに全科目1050点も必要になるので2.0では練習に参加させない
試合には全員 スーツとネクタイ着用練習開始は午後3:00からだが 2:55過ぎたら遅刻と言うことでペナルティの走りこみや腕立て伏せ、腹筋をやるハメになる
・・・こんな規則だらけのカーターコーチの指導では レギュラーの立場を維持するどころか補欠立場でも卒業まで 部活に在籍することだけでも 容易じゃありません。
そりゃあ、クラブ内で汚い言葉
"ニ〇ー"や"フ○ッ○"など 差別用語はいかんよ。 それなら ペナルティでもやむをえないでしょうが ジュニアが授業が延びてしまって3:00に間に合わず遅刻のペナルティは ひどいな。
ボクなら・・・とっととやめて 別のクラブに再入部するか クラブ活動なしで 授業が終わったらさっさと帰ります。
ケンカーターの元で最後までやりぬいた生徒はたいしたもんですが・・・現実には辞めていった生徒が大半をしめているはずです。
ワタクシも根性がないので、多分このクラブは辞めてしまっていると思います。
ただ、カーターコーチにしてみれば、辞めていく者はそれまでで仕方ないと思っていたのではないでしょうか。
もちろん、全員を救えればそのほうがいいですが、彼はもっと現実的なほうを選んだのかな、と。日本の一人に説教するために他の全員を犠牲にするスクールドラマとは根本的に違うと思いました。
彼がこのやり方を通したかった理由にはアメリカの貧困層の背景があると思います。