シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

恋の罪

2014-02-19 | シネマ か行

*作品もR18、レビューもR18です。

今まさにレビューを書こうとしているところでこんなことを言うのもなんですが、この作品を取り上げるべきか否か実はまだ迷っています。なんと言っていいやら、好きな作品かと言われれば好きではないと答えるし、他の人に薦めるか?と聞かれたら、薦めないと答えると思います。園子温監督ねぇ、、、彼のことも好きかと聞かれれば好きじゃないと答えると思うんですよねー。ただやっぱりこのインパクトの強さは放っては置けない。

東電OL殺害事件を基にしたお話。昼間はエリートOLだった被害者が夜は時に数千円という値段で客を取り売春をしていたという事件だった。この被害者が映画では大学教授・尾沢美津子富樫真という設定に変わっている。彼女は昼は大学教授、夜は娼婦という生活を送っていた。そんな彼女に弟子入り(?)するのが潔癖症の小説家・菊地由紀夫津田寛治の妻いずみ神楽坂恵。彼女は初めは騙されてAVに出演させられるのだが、それが鬱屈した生活からの解放となったのか、後に知り合った尾沢美津子の世界へどんどん堕ちていく。

時系列が少しいじってあって、最初に猟奇的な死体が発見されるのだが、それがおそらく尾沢美津子で、その事件を調べるのが刑事の吉田和子水野美紀。一見ごく普通の女性に見える吉田だが、彼女は夫二階堂智の後輩児嶋一哉と不倫関係にあり、彼から性の奴隷のような扱いを受けていたがそれもまんざらでもないようだった。

「冷たい熱帯魚」もそうでしたが、とにかくエログロがえげつないです。今回はグロは少ないけど、エロがグロいです。正直気持ちが悪くなるようなセックスシーンが延々あります。あとはこの監督特有の妙な長回しシーンですね。ポンビキのカオル小林竜樹って男が何回も何回もピンクの蛍光塗料の入ったボールを投げつけてくるシーンとか、いずみが素っ裸で鏡の前に立って「ご試食いかがですか~」ってスーパーの試食のパートの練習するシーンとか、とにかく異常に長い。そういうわけの分からんシーンを長々と見せるのも園監督の特徴ですよね。彼には意味があるんでしょうけど、よく分からない。

しかもその素っ裸で「ご試食いかがですか~」って言ってた女優さんの神楽坂恵と園監督ってご夫婦なんですよね。。。当時はまだ夫婦ではなかったんでしょうけど、自分の恋人だか恋人になろうかっていう女性にあれをさせられる園監督ってすごいわ。それだけじゃなくてセックスシーンもすごいし。。。なんだろう。監督も女優さんもすごいなぁ。すごいすごいって書きながら褒めてるわけでもないんだけどねぇ。なんかもう突き抜けちゃってて感心はします。

こちらが吐きそうになるほどのエログロの中で、尾沢美津子がいずみに言う「愛のないセックスならお金を取りなさい」とか身を落としたいずみが言う「男はタダでやらせる女より、お金を取ってやらせる女を軽蔑する」という言葉なんかは妙にふむふむと納得してしまったりもしたなぁ。いや、売春に賛成しているわけでは決してないのですがね。

尾沢美津子といずみに関しては、一応娼婦にまでなってしまう彼女たちなりの理由というのはあるのですよね。もちろん、なぜにそこまで!?という思いはあるにしても、それなりの理由はある。一番マトモそうで一番不可解なのは実は刑事の吉田でごく普通に思える彼女が不倫相手の性の奴隷になっていた「理由」は一体何だったんだろう。「女ってそういうものよ」なんて言ってみせたりもするけど、それこそ男目線での女の捉え方なんじゃないのかなーとか思ったり。いや、特に深い理由なんてないのかもしれないけれど。

強烈なセックスシーンを見せつける女性3人が主人公の作品なんだけど、実はもう一人尾沢美津子の母親・尾沢志津大方斐紗子という人が一番強烈だったりした。顔色ひとつ変えずにいずみに「あなた、売春はいつから?」とか聞いちゃうんだもんなー。なんなんだ、あの婆さん。このキャラは他の女性3人と違って完全に監督が作りだしたキャラでしょうから、やっぱり良くも悪くも強烈な個性を持った人だなぁ、園監督って。

なんか嫌いなのに、目が離せないっていうね。ラヴアンドヘイトな関係に入ってきてるような気がします。園作品とは。



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