ケーブルテレビで放映されていたので見ました。2010年の作品ということなんだけど、公開されたのかな?全然知らなかった作品です。
ワタクシは「プルートで朝食を」を見てからキリアンマーフィに注目しているので彼目当てで見ました。
60年代ピーコックという田舎町で銀行で働くジョン。彼は妻・エマが作ってくれた朝食を食べ毎朝決まった時間に出社し、書類の処理をして家に帰る。家の外の階段には小さな箱が隠してあり、そこに入れてあるチョコバーを食べ野球カードを眺めるのが唯一と言っていい楽しみだった。
エマは朝起きると朝食を作り、ジョンのために仕事に持っていくランチを用意し置手紙を置く。この夫婦が一緒にいることはない。なぜならエマはジョンだから。エマは朝一連の家事をし終えるとカツラを取りメイクを取りスーツに着替えて銀行へ行く。ジョンは女装趣味ではない。ジョンは幼い頃から母親に虐待されて育ち、その母親が一年前に亡くなったのをきっかけに「エマ」という人格を作り出した(と、いうことが後々分かる)
ある朝、ジョンの出勤前にエマが裏庭で洗濯物を干しているとそこへ家の横を通る列車が脱線し突っ込んできた。集まってくる人々。ケガをしたエマに声をかける。「あなたは誰?ジョンと一緒に住んでいるの?」という質問をかわして家の中へ逃げ込んだが、町の人にエマの存在が知られてしまった。
その日からエマを訪ねてくる人が出てきて、エマは最初は戸惑うものの徐々に町の人たちに馴染んでいく。特に町の有力者でジョンの銀行のボスの妻スーザンサランドンと仲良くなり彼女の運営するボランティア施設を手伝ったりもし始めた。
エマがどんどん主導権を握っていく中で、ジョンは焦り始める。ジョンは少し強迫神経症っぽいところがあり、一日のルーティンが変わるのを嫌う。それなのに、エマは自由に行動し始めどんどんジョンの生活を乱していってしまう。それもそうだ。エマはジョンだから。エマがエマでいる時間が増えると必然的にジョンがジョンでいられる時間が減ってしまう。生活のほとんどをエマに支配され始めるジョン。
そこへ一人の女性マギーエレンペイジが子供を連れてジョンを訪ねてくる。ジョンのお母さんが援助してくれていたお金が途絶えて困っている、と。だからジョンにお金を出してほしいと言うのだ。こちらは事情が呑み込めないでいるのだが、マギーによるとどうやらこのジョンの虐待母が、彼女にお金を渡し嫌がるジョンに無理やり性交渉をさせてできたのがこの子供ということらしい。しかも母親はその場面をずっと見ていたと言う。虐待母はそんなことまでしていたのか…お金を渡すことにしたジョンがお金を取りに行ったのだが、彼女の前に現れたのはエマだった。エマは彼女の事情を聞き、ジョンにお金をもらうより自立したほうが良いとマギーを諭す。まるで、マギーの一番の理解者かのように振る舞うエマ。ここでもエマが主導権を握ってしまう。
最終的にエマは適当な男を火事で殺し、ジョンのスーツを着せてジョンが死んだことにし、エマとして暮らしていくことを取る。“取る”というかジョンの人生がエマによって乗っ取られる形ですね。エマはマギーの子どもを引き取ろうとまでしていて、子供に食事を与えようとするのだけど、その瞬間自分の中に母親が宿っているのを発見してしまう。あの虐待母が。そしてエマはまた人目のつかない生活を送ることにするという悲しい結末でした。
ジョンにとってエマは理想の母親像だったのかなーと思います。愛情いっぱいの料理に置手紙とか。エマにとってジョンは自分の人格を邪魔する者でもあったし、葬り去りたい過去をすべて背負った人物だったのかな。彼を消すことですべて消したはずが、実は自分の中で生きている虐待母を発見して絶望するエマが切なかった。
題名に「サイコ」なんてついているがために、派手な展開を期待して見る方が多いんじゃないかなぁ。実際は全然派手な展開はないし、淡々と進んでいくばかりで退屈に思う人もいるかも。ジョンがエマってことがばれるんじゃないかとドキドキもしたけど、それもないし。最後もなんだか静かな終わりで、え?これで終わり?って感じもないではない。ジョンとエマの中で物語が完結してしまって他の人との関わりは最終的には置き去りになってしまった感じですかね。でも、結局はこれはジョンとエマのお話だったんだと思う。だからこれで良かったのかも。
ただ、ワタクシは最初に書いたようにキリアンマーフィ目当てで、しかも「プルートで朝食を」以来の女装とあって、大満足でした。キリアンの女装ってもう本当にどうしてこんなにキレイなの?って感じで見とれてしまいます。決して女顔ってわけではないと思うのですが、仕草とかのせいかなー、とってもはかなく美しいのですよ。今回は派手な印象をなくすためかわざわざ茶色いコンタクトをつけてあの印象的なブルーアイズを封印していますね。
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