シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

フロウ~水が大企業に独占される!

2013-06-27 | シネマ は行

松嶋X町山シリーズ5作目です。

「愛がなくとも人は生きていけるが水がなくては生きていけない」W.H.オーデン。

日本では無駄遣いをすることを「湯水のように」と表現するほど、水は豊富にあるものと考えられてきた。近年ではもちろん水をそんなふうにいくらでもある資源と考えている人は減ってきたとは思うけど、いま水をめぐって世界で何が起こっているか、このドキュメンタリーを見るとものすごく怖くなります。「世界で」と書いた中には当然日本も含まれます。決して他人事ではありません。

ボリビアでは2000年に公共事業だった水道の事業が世界銀行主導で民営化されました。米ベクレル社の子会社がその権利を手にし、その結果水道料金は跳ね上がり地元住民たちはデモを起こし政府は武力介入までした末、住民の運動が実り水道事業は公営に戻された。

世界中で8秒ごとに子どもたちが汚い水が原因で死亡しているという。

世界の各地で多国籍企業が水をくみ上げボトル入りにして販売することでその地域の水位が下がり地元住民の生活をおびやかしている。井戸で暮らす村の井戸が出なくなってしまう。かつ、そのボトル入りの水は果たして本当に水道水よりも品質が良いものなのか?アメリカではボトルウォーターに関して特に何の基準もなく実際に危険な物質が混入されているものも発見されている。

コストコの水を買っている我が家としてもこれはものすごく怖い問題だぞ。。。やっぱなるべく水道水飲むか。。。

世界の水問題を解決するはずの世界水会議は世界銀行と多国籍水企業がメンバーを占め、いかに世界の水を使って自分たちの利益を生み出すかということしか頭にないという。

ネイティブアメリカンのおじいさんが言っていた。白人は我々から土地を買おうとした。神から与えられた自然は誰のものでもない。どうしてそれを売るということができるというのか。水も同じこと。誰のものでもないものから企業が利益を得ようなんて傲慢極まりない話だと。

世界中に作られた無駄なダムのせいで故郷を追われた人は何百万人にも上り、そのダムは恩恵よりも弊害のほうが多く、地元の農業や漁業、環境を直撃する。

なんかね、まぁすべてはお金なのだなということですね。ここに出てくるネスレだってコカコーラだってさ、悪いことばっかやってるわけじゃないけど、新自由主義経済っての?あのもっぱら利益だけを追及するという究極の資本主義っていうのはやっぱ弊害が大きいんじゃないかなぁと思うのです。もちろんお金がないと生きていけないし、企業が大きくなればなるほど養っている人の数も増えていくわけですから、それだけで社会貢献していると言えると思うのですが、そこにあと少しの良心があればなぁというのが素直な感想です。ちょっとアホっぽい感想になってしまいましたけど・・・

まーとにかくこれを見たら怖くなりますよ。われわれ庶民が行政や大企業の動向をきちんと見張っていないといけないと感じました。映画の最後には危機だけではなくて新しいプロジェクトなど希望と呼べるものも紹介されています。そういう運動が広がっていく世界になるようにしていかないといけませんね。