芸術的な勝利

メジャーを目指している岩隈にとっては、この時期にこれ以上の躓きはないでしょう。
貧打を誇りまくっているロッテ打線を相手に5回6失点では評価はがた落ちで、これは痛すぎるどころの騒ぎではありません。
一方のロッテからしてもこの展開でも最終回にカスティーヨの守備固めを出しただけのほぼ9人野球で、必死の継投で目先の勝利にまっしぐらです。
満身創痍の今江を7番に下げてまで起用をする理由は相変わらずに不明ですし、スタメンで使わない大松を何のために一軍に昇格をさせたのかも分かりません。
まさか5位を目指しての勝利のための代打の切り札というわけでもないでしょうし、こんな使い方であれば大差で負けている試合で大谷を使わざるをえない滅茶苦茶な投手起用を補うことの方が喫緊だと思われ、山室あたりを呼び寄せた方がよっぽど意味がありそうに思えます。
まさに意固地で徹底をした西村野球の芸術的な勝利、今日はそんな白星であったと言ってよいでしょう。

唐川はようやくにツモって、と言うよりは相手が勝手に振り込んでくれただけの感じがする白星ではありますが、とにかく4年目での10勝は喜ばしいです。
このまま9勝でシーズンを終えてしまうと前田の二の舞になりかねないと危惧をしていましたから、それを回避できただけでも充分でしょう。
もちろん6回を9安打4失点は誉められたものではありませんし、味方打線が6点もリードをしてくれたものを無にするかのような実質的なKOですから反省は必要です。
崩れそうで崩れないところは粘りのピッチングでしたし、打たれながらも踏ん張るのが唐川の持ち味ではあるものの、いくら何でも流れが悪すぎました。
そうなると問題は次の登板で、一つの壁を乗り越えた唐川がどういったピッチングを見せてくれるかで来季のある程度が予想できそうです。
どうにもロッテな中途半端さが漂うような投球内容が続いているだけに、ここは是非ともビシッとメリハリのあるピッチングを見せてもらいましょう。
年齢に似合わない老成感のあるまとまりは、もう少し若さや荒々しさがあってこそ際立ちます。

打線は盆と正月とクリスマスが一緒にきたようなお祭り騒ぎの爆発で、初回から3イニング連続しての得点などは10月にして今季初かもしれません。
初回の下手くそな点の取り方でイヤな感じがあったのを断ち切ったのが根元で、試合の流れをぐっと引き寄せる見事な一打でした。
それだけではなく追い上げられた終盤での試合を決める驚天動地のスリーランには鳥肌が立つような感動があり、さほど甘くはない内寄りのボールを巻き込むような鋭いスイングでのアーチは値千金で、プロ初の5打点の大活躍ですから文句なしのヒーローです。
本職ではない守備位置をたらい回しにされながらも地味に頑張っている根元の、さらなる飛躍に期待です。

また後ろ盾を失ったことで必死になっている、とはゴシップ紙モードですが、ここにきての井口のアーチ量産にも驚かされます。
気温が下がってきたからというわけでもないでしょうが、やはり適度に休ませながら起用をするのが正しい井口の有り様なのでしょう。
本人の意欲はともかく変温動物のように気温に左右をされるシーズンは今季で終わりにして、ベテランはベテランらしく要所を締める存在となってもらいたいものです。
何にせよ珍しいどころではない先発全員安打ですので、今は天変地異が起きないことを願うばかりです。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 安 失 千葉ロッテ 1 2 2 0 1 0 0 3 0 9 12 0 楽天 0 0 0 0 4 0 0 0 0 4 10 1

◆10月7日（金）　楽天－千葉ロッテ19回戦（楽天12勝6敗1分、18時、Kスタ宮城、10,101人） ▽勝　唐川　22試合10勝6敗 ▽敗　岩隈　17試合6勝7敗 ▽本塁打　井口8号（岩隈）、根元2号（小山） ▽バッテリー 千葉ロッテ　唐川、古谷、大谷、藪田―田中 楽天　岩隈、スパイアー、片山、小山、松崎―嶋