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オリオン村(跡地)

千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
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原作は後にすればよかったかも

2012-12-04 23:10:28 | 映画

シリーズものは前作を観てから、原作があるものはそれを読んでから、そんなスタンスでこれまで臨んできたのですが、今回はちょっと失敗をしたかもしれません。
原作を読まなければ今ひとつ何だったのかが分からないシーンがあった一方で、しかしその原作とのイメージの違いや端折った箇所が気になってしまったのが正直なところです。
あるいはこの映画について言えば原作を読まずにフラットな状態で観た方がよかったのかもしれず、今後を考えると何とも悩ましい「のぼうの城」でした。

のぼうの城

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柴崎和泉守が受け持った長野口での戦い方が違ったぐらいで、かなり原作に忠実な作りとなっています。
それだけに145分と長丁場ながらもその全てを描ききれなかったのは当たり前の話ですし、独白のような描写が多かったので映像では難しかったのも分かります。
それでも幼馴染みである正木丹波守の視点からの「のぼう様」の将器こそがこの作品の肝心要だと思っていただけに、長親の名前を出した途端に城に入ることを受け入れた百姓や、長親を城代としたときに他の家臣があっさりと認めたときの丹波守の驚きと戸惑いをもっと前面に出すべきだったでしょう。
そしていい味を出していたものの野村萬斎の見せる鋭い表情のシーンがあまりに多すぎで、これでは「のぼう様」ではありません。
原作を読んでいなければあるいは能ある鷹は爪を隠す、のように違和感が無かったかもしれませんが、そこが最後まで引っ掛かってしまいました。

もちろん原作を離れれば、かなり楽しめた作品です。
正義感あふれる爽やかな石田三成を上地雄輔が、冷静沈着かつ剛胆な大谷吉継を山田孝之が見事に演じていましたし、やはり榮倉奈々はイメージが合いませんでしたが思っていたよりも悪くはなく、佐藤浩市に山口智充、成宮寛貴にお久しぶりの鈴木保奈美もしっくりきていました。
さすがにTBS開局60周年記念作品だけのことはある豪華なキャストで、エンドロールを見るまではナレーションが安住紳一郎であることに気がつかなかったのは不覚と言えば不覚でしたが、そのエンドロールで現在の忍城の遺構や正木丹波守が開基となった高源寺やその墓を紹介するところなどは一本とられた感じです。
水攻めのシーンはハリウッド映画に比べればチープながらもそれなりの迫力はありましたから、公開を一年ほど遅らせたことも頷けます。
ただ「この男の奇策、とんでもないっ!」をキャッチコピーにした時点で原作とはベクトルが違ってしまったのだなと、そんな気がする久しぶりの時代劇の映画でした。


2012年12月4日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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一見さんはお断り

2012-10-13 00:26:04 | 映画

予習をしておいてよかったと、心の底から思った「ボーン・レガシー」です。
マット・デイモンのジェイソン・ボーンからジェレミー・レナーのアーロン・クロスに主人公が変わったことで、ボーンシリーズと世界観を共通にしたスピンオフだと勝手に思い込んでいたのですが、いきなり冒頭から前作を引き継いでのスタートですので一見さんにはサッパリと分からなかったでしょう。
その流れや結末、エンディングなどからすればむしろ一作目のリメイクを意識していたのではないかとすら思えたぐらいで、自分としては悪い意味で裏切られた感じです。

ボーン・レガシー

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ボーンは失われた自分を取り戻すために戦い続けましたが、アーロンが何のために戦っているのかが分からないままの135分でした。
またまた上層部のご都合主義でいきなり国家調査研究所なる組織から命を狙われたアーロンが向かった先は自らが飲み続けていた薬を製造している研究所で、しかし薬が無かった代わりにウィルスらしきものを射った後はただひたすら逃げ回るだけです。
精神的・身体的能力をアップする遺伝子操作にかかるウィルスが一つの鍵ではあったのでしょうが、なぜに薬ではなくウィルスだったのか、そのウィルスがアーロンに何をもたらしたのか、その何かを見落としてしまったのであれば無駄な時間を過ごしたことになります。

強敵として登場をしたはずの№3もただ走って追いかけるだけで格闘シーンは無く、バイクでのアクションも最後にぶつかって終わりでは肩すかしもいいところです。
謎解きがあるわけでもなく、アクションを売りにしているわけでもなく、ここそこに次回作への伏線らしきものを見せつけるだけの今作のような気がします。
これがボーンシリーズではなく独立をしたストーリー展開であればそれなりに楽しめたかもしれませんが、なぜにボーンを冠する必要があったのかが全く分かりません。
前作までが秀作だっただけに、逆にシリーズ化をしたことによるマイナスが目立ったレガシーでした。


2012年10月12日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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デヴィッドに幸あれ

2012-10-08 12:44:11 | 映画

駆け足なぐらいに一気に予習を済ませたボーンシリーズですが、むしろ不安が先に立ってきました。
かなりきれいにまとまっての第三作目でしたし、これであれば最新作にジェイソン・ボーンがカメオ出演をするのも許せないかもしれません。
原作者が亡くなった後に別の作家が書いた同名の小説とも違った内容のようですし、単に興行を狙って同じシリーズ名を冠しただけのものではないことを願っています。

ボーン・アルティメイタム

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前作から三年後の公開ですが時間軸としては数週間から数ヶ月後程度のようで、これまた思いっ切りストーリーも登場人物も被っています。
やはり途中から入るにはハードルが高いシリーズのようで、それこそナンバーリングで銘打った方がよいかもしれません。
恋人のマリーを失ったボーンが自分が誰なのか、これまで何をやってきたのかを思い出すための戦いを続ける中で、自らのことを記事にした記者と接触をするもCIAの襲撃を受けてしまい、そこからターゲットをCIAそのものに向けて核心に踏み込んでいくといったストーリーです。

やはり派手なカーチェイスのシーンが多いものの今回は格闘もやや過激で、しかしボーンの心理描写が中心であることに変わりはありません。
自分の足跡を辿りながら何度も繰り返すフラッシュバックに苦しみ、しかしそこから少しずつ自分を取り戻していきます。
ありがちな組織の腐敗や良心を持った協力者の登場など勧善懲悪なところがハッキリとしていますので、全体的なバランスもいいですし秀作だと思います。
ただ敵役の立場としての必要悪をもう少し訴えればもっと深みと言いますか善悪の曖昧さが際立ったような気がしますし、そもそも新聞記者になぜ関係者が情報をリークしたのかといった背景が割愛をされていたのがちょっと消化不良気味ではありました。
さて最新作がどういった出来に仕上がっているのか、スピンオフとは言っても世界観は共通のようですから記憶が薄れないうちに観に行こうと思います。


2012年10月8日 鑑賞  ★★★★☆(4点)

 

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ジェイソン・ボーンの自分探し

2012-10-07 10:58:30 | 映画

舞台背景が同じだけでシリーズものであっても例えば二作目からすっと入れるような作品もありますが、このボーンシリーズは違うようです。
冒頭から前作を引きずっていますし、出演者もかなり被っています。
おそらくは最新作はスピンオフのようなものみたいですからそういった引っ掛かりはないのでしょうが、万が一に備えて観ておいた方がよいかもしれません。

ボーン・スプレマシー

ジェネオン・ユニバーサル

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そんな「ボーン・スプレマシー」は前作の2年後にインドで暮らしていたジェイソン・ボーンが狙われて恋人のマリーを失ったことをCIAの仕業だと疑い、一方でCIAは作戦行動中に襲撃を受けて残された指紋から犯人をボーンと判断して追い求めるという、両者が黒幕の手のひらの上で弄ばれるところから始まります。
その黒幕の種明かしは意外にあっさりとしていますし、格闘シーンもほどほどで、CIAが抜けているところなども前作と似たような感じです。
ただカーチェイスはかなりのもので、目線が動きまくって乗り物酔いのような胸のむかつきがしてしまうぐらいの激しさでした。
そんなこんなで全体的にはかなりバランスが取れていることで娯楽作品としては楽しめますが、名作として後世に残るかどうかは微妙です。

話が繋がっているのは原作があるからでなのしょう。
アイデンティティーからスプレマシーと記憶を失ったボーンが自分が誰なのか、これまでどういった生き方をしてきたのかを知るための戦いが根底にあります。
マリーとの穏やかだったはずの2年間も記憶のフラッシュバックに悩まされ、その過去から解き放たれるために前向きに挑むボーンが描かれています。
だからこそ派手なシーン一辺倒ではなくそういった心理描写に重きが置かれているのでしょうし、また評価が高い理由なのでしょう。
あまり小難しいものが苦手な自分であっても受け入れやすいレベルに仕上がっていますので、安心をして観られるシリーズです。


2012年10月7日 鑑賞  ★★★★☆(4点)

 

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体積が半分のマット・デイモン

2012-10-06 03:41:14 | 映画

例によって性格的にシリーズものは前作までを見ていないと最新作には踏み込めないので、この三連休で一気に片付けることにしました。
同じことを考える人は多いでしょうからTSUTAYAで借りるのは難しいかとも思ったのですが、家の近くの店でのDVDしか置いていない&全て貸し出し済みにへこたれずにやや遠目の店まで足を運んだところ、意外にあっさりとBlu-rayを発見できたのはラッキーと言えばラッキーです。
それだけ前作は既に抑えている人が多いのか、あるいは単に人気が無いだけのかは分かりませんが、今日から深夜の三連投です。

ボーン・アイデンティティー

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この「ボーン・アイデンティティー」はボーンシリーズの第一作目で、2002年に公開をされました。
つまりは10年前の作品ですので主演のマット・デイモンが若いのは当たり前なのですが、イメージ的には体積が半分にも見えるのが何とも言えません。
最新作はスピンオフみたいな形で主演はジェレミー・レナーに代わり、マット・デイモンは写真のみのカメオ出演となっているようです。
それも今の体型を考えれば無理もないことでしょうし、ボーンシリーズはこのまま新しい路線で進んでいくのでしょう。

要人の暗殺に失敗をしたCIA工作員であるジェイソン・ボーンが記憶を失い、しかし作戦の責任者はその失敗を糊塗するためにボーンの抹殺を図るものの、皮肉なことにそこから自分が誰かを知るために立ち向かうボーンの逆襲が始まる、かなりおおざっぱに言えばそういったストーリーです。
言うほどに派手な格闘シーンや銃撃戦があるわけではありませんし、やや派手目のカーチェイスも最近の映画からすれば普通な感じです。
それでもどう決着がつくのかが今ひとつ見えず、ボーンの苦悩も手に取るように分かりましたので、ちょっと長めの二時間を楽しませてもらいました。

ただ今ひとつだったのはボーンを追うCIAがあまりに間抜けで手応えがなさ過ぎたことで、もっと歯ごたえが欲しかったです。
もったいぶって登場をした腕利きのはずの工作員があっさりと倒されてしまいましたし、その追い詰め方もあまりに稚拙に過ぎました。
全員出動と言ったのとは裏腹に一匹狼が二度の襲撃をしただけで、逆にそれでボーンに付け込まれるようではお話になりません。
最後はお約束のように魑魅魍魎な裏切りでのラストシーン、しかし落としどころとすればあれしかなかったのでしょう。
このあたりは第二作目に期待をして、今日は手仕舞うことにします。


2012年10月6日 鑑賞  ★★★★☆(4点)

 

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さらば青島、ありがとう青島

2012-09-21 00:11:35 | 映画

 

遂に「踊る大捜査線」が15年の歴史の幕を降ろしました。
何だかんだ言いながらもリターンズとかで戻ってくるのではないかとの話も巷ではされているようですが、さすがにこれだけの主要メンバーが次に出てこられないような脚本になっていればなかなかに難しいと思われますので、それがある意味でスタッフの覚悟なのかもしれません。
自分にとっては織田裕二を贔屓にするきっかけとなった作品でかなり思い入れもありますので、そのFINALをしっかりと堪能すべく映画館に足を運んできました。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

ポニーキャニオン

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そんな思いを差し引いたとしても、かなり面白かったです。
踊る大捜査線らしい笑いとシリアスのバランスが絶妙ですし、最初から最後までテンポ良く流れていきますので知らず知らずのうちにスクリーンに引き込まれていきます。
前作では出番があまりなかった室井が今回はかなり表に出てきますし、頬を膨らませるシーンもふんだんでファンにとってはたまらないでしょう。
スリーアミーゴスのおとぼけも健在で、真下のおどおどぶりはユースケ・サンタマリアならではです。
この作品が遺作となった小林すすむにはどうしても目がいってしまい、また大人の事情から遠ざかっていた水野美紀の久しぶりに見せた姿には感動すらしました。
嫌らしさ抜群の津嘉山正種とちょっと曲がったクールさを見せた小栗旬も、今やなくてはならない存在になっています。
そしてもちろん青島とすみれの二人にも微妙な変化があり、いろいろと今後を想像させる終わり方です。

もちろん不満が無いわけではありません。
意外性はあったもののあそこでトラックはないだろう、香取慎吾はミスキャスト、ちょっとビールネタを引っ張りすぎでもありました。
真矢みきはどうでもいいですが筧利夫がちょい役だったのがもったいなく、もっと絡ませて欲しかったです。
そして何より例によって番宣がかなり嫌らしく、あれを見てストーリーを想像してこの映画に入ると別の作品を観た気分になるでしょう。
同じシーンをあれだけミスリードする番宣はこれまで見たことはなく、いくら何でも酷すぎです。
あとは個人的な嗜好として前売り券がムビチケに変わったのが味気なく、それはそれで事前に座席指定ができるようになったのでかなり便利にはなったのですが、これからはこれが主流になっていくのだと思うとどうにも気持ちが萎えていきます。
それはさておき最初からほぼ種明かしをした上で背景を辿っていくという手法は目新しいものではありませんが、そこに至る伏線がここそこに仕込まれていますので、これはBlu-rayが発売となって隅々までチェックができるようになる日が一日でも早く来ることを願わずにはいられません。
さらば青島、また会う日まで、と言えないところが寂しくもありますが、とにもかくにも最後はありがとうの言葉で締めたいと思います。


2012年9月20日 鑑賞  ★★★★★(5点)

 

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小物の使い方が絶妙

2012-09-19 03:38:50 | 映画

基本的にコメディが苦手なのは映画は静かに観たい主義が理由で、周りと一緒にどっと笑いながらというのは好きではありません。
それだけに今日の「鍵泥棒のメソッド」をどうするかを迷ったのですが、隠れ広末ファンということもあり思いを決して観に行ってきました。
結論から言えばこれが大正解で、そもそもコメディと位置づけてよい作品かどうかは分かりませんが、爆笑ではなくクスッという笑いがかなりいい感じで仕上がっています。

鍵泥棒のメソッド

メディアファクトリー

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銭湯で足を滑らせて頭を打って記憶を失った殺し屋を、そこに居合わせた売れない貧乏役者がそれとは知らずに鍵を入れ替えることで成り代わることから話が始まります。
そこに婚活中の女性編集者が二ヶ月ちょっとで結婚をすると宣言をして、この三者三様の人生模様が微妙に絡み合っていきます。
ちょっと年齢的に厳しいところがあったのですが香川照之がさすがな演技を見せてくれましたし、広末涼子も年齢を重ねて落ち着きがあり、また境雅人の挙動不審ぶりは絶品です。
伏線にも繋がる設定や小物の扱いがとにかく見事なぐらいに散りばめられていることが、この映画を面白くさせている理由でしょう。
おそらくは自分が見落としただけだと思うのですが、二度も出てきたテーブルタップらしき物を除けばその全てに種明かしがされていましたので後味もよいです。
最後の猫はちょっと余計だったかなとは思いますし、映画館である必要があるかと問われれば首を横に振ってしまいそうですが、是非ともどこかで観ていただきたい作品です。


2012年9月18日 鑑賞  ★★★★★(5点)

 

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面白かった!

2012-09-17 04:37:57 | 映画

こんなところでゲリラ雷雨かよ、と思うぐらいに映画館に向かう途中でかなりの雨に降られて心が折れかけましたが、それでも頑張って行った甲斐がありました。
シンプルな映画が好きな自分にはピッタリの作品で、これはなかなかに面白いです。
日が変わってからの上映でしたし54席とさほど広くはないスクリーンでしたが、独り占めだったのが申し訳ないぐらいの楽しい刻を過ごさせていただきました。

デンジャラス・ラン

ジェネオン・ユニバーサル

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新米CIAエージェントが10年前にCIAを裏切った元敏腕エージェントとひょんなことから一緒に逃走をするという、本人は護送のつもりであっても結局は謎の襲撃者から逃げまくるというシンプルなストーリーですが、そこになぜ追われるのかとの謎解きが絡んできます。
そのあたりは見るからにあれですので謎と言うほどのことではないものの、途中でちょっと心揺れましたので演出の罠にはまった感はあります。
とにかくテンポの良い展開でカーチェイス、格闘とめまぐるしく、そこに重きを置きすぎた感があるのはマイナスポイントではありますが、その軽快さは快感ですらありました。
あまりの動きの激しさに目が揺れて乗り物酔いをしたような感じになってしまいましたので、そういったものに弱い方は要注意です。

デンゼル・ワシントン、なかなかいいです。
無表情ながらも目の動きでいろいろなことを訴えかけてきますし、物静かな中に秘めたる闘志のようなものがにじみ出ていました。
ちょっとハッピーエンドチックなのが物足りない感じがしないでもないのですが、あれはあれでよいのでしょう。
ライアン・レイノルズはおそらくは初めての遭遇だと思いますが、こちらも青臭い正義感と逡巡、決断を見事に演じていました。
逃走をするうちに師匠と弟子のような思いが芽生え始めたところにもチープさはなく、かなりいい感じです。
ラストシーンがどこかミッション・インポッシブルだった理由が奈辺にあるかは分かりませんが、どこかオマージュ的な意味合いがあるのかもしれません。
ちょっとここのところはハズレ気味だっただけに、自分にとってはいい作品に巡り会いました。


2012年9月16日 鑑賞  ★★★★★(5点)

 

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松たか子の目力に脱帽

2012-09-16 06:07:18 | 映画

秋口にかけて面白そうな映画が控えているので作品の入れ替えも活発になると思われ、よって観られるうちに観ておこうと思ったのが失敗でした。
今日の「夢売るふたり」は松たか子の目力がもの凄くて圧倒をされたのですが、しかしそれだけと言ってもよいぐらいです。
コミカルなシーンがあるわけでもなく、やたらと重い雰囲気の結婚詐欺が延々と続いての137分は終盤はかなり苦痛になってしまい、途中で帰ろうかと思ったぐらいです。

夢売るふたり

バンダイビジュアル

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不注意による失火で営んでいた酒場を失った夫婦が夫の浮気をきっかけにして結婚詐欺を始める、簡単に言ってしまえばそんなストーリーです。
目的は再び酒場を営むことなのですが、しかし途中で手段と目的が曖昧になってきます。
阿部サダヲの演ずる夫のダメっぷりや良心との甲藤、罪深い優しさなどはいい味を出していましたし、明るく振る舞う強い妻を演ずる松たか子の嫉妬、苛立ち、そして徐々に広がっていく夫との距離への焦りを、その目を中心とした表情で見事に表現をしていたところなどはさすがとしか言いようがありません。
それだけにどうにも冗長でどこに向かっているのかが分からない時間がもったいなく、もう少しコンパクトにまとめられなかったのかなと、一番に印象に残ったのが田中麗奈の「結婚もできないような人間に思われるのにくたびれただけ」との言葉で、昨今の婚活ブームを斜めに見ているようにも思えました。
ラストシーンは夫婦の距離が取り返しのつかないところまで離れてしまったことを暗示したかったのかもしれませんが、よく分かりません。


2012年9月15日 鑑賞  ★★☆☆☆(2点)

 

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不可解なふたり

2012-09-09 12:20:07 | 映画

世間の評価が高いので自分には合わないだろうなとは思っていたのですが、やはり見事に合いませんでした。
本格的に映画館通いを復活させてから2年ちょっとで100本弱の作品を観ていますので、そろそろ選ぶことをした方がよさそうです。
基本的に洋画の笑いは言葉の言い回しなどが分からなければ厳しいですし、今回はフランス映画ですのでなおさらです。

最強のふたり

アミューズソフトエンタテインメント

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この「最強のふたり」がコメディ映画だと言うつもりはありませんが、笑いが一つの要素になっていることは間違いありません。
脊髄損傷で首から下が麻痺した富豪のフィリップと、それを介護する素人のドリスとの交流が軸ではありますが、この笑いが理解できなければ本当に楽しむことはできないでしょう。
障害者ではなく一人の人間として扱ってくれることに感謝し、表現は微妙ですが身分違いの友情を感ずるところなどはなるほどありそうです。
そんなことに気付かされたり、あるいは容赦ないジョークにヒヤヒヤとしながらもさらに友情が深まっていく、そこに感動を覚えての高評価なのだと思います。
だからこそ何が面白いんだろう、といったジョークが自分にはもどかしく、言うほどに楽しむことはできませんでした。

そもそもが楽しむ映画ではないのかもしれません。
どうにも秘書が室井滋に見えてしまったり、ドリスの口調でボビー・オロゴンを思い出してしまった時点で、もう白旗といった感じです。
そんなところで一人でクスッと笑うのが精一杯な、自分にとっては「不可解なふたり」でした。


2012年9月8日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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誇大広告

2012-08-28 01:31:30 | 映画

配給元が妙な邦題をつけたり余計な謳い文句を並べ立てたりすることは珍しくもないのですが、さすがに今日の「プロメテウス」はいい加減に腹が立ちました。
人類はどこから来たのか、人類の最大の謎、人類の起源、などの興味のそそるキャッチコピーとは裏腹に、この映画は何の答えももたらしてはくれません。
それを期待して映画館に足を運ばれると、きっと後悔をすることになるでしょう。

プロメテウス

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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ちょっとネタバレ的な話になってしまいますが、この映画は「エイリアン・ファーストコンタクト」ではないかと思います。
そういった描写もありましたし、やたらと年代を連呼していたのはその繋がりを暗示するためなのかもしれません。
そしてある意味で衝撃的なラストシーンはまさに「エイリアン」で、ここだけを切り抜けばB級映画と言ってもよいでしょう。
導入にあった各地の古代文明に共通したメッセージも謎解きがされませんでしたし、その目的からすればアンドロイドの行動は完全に逸脱をしていたわけですから背景との繋がりが全く感じられず、伏線が伏線のまま日の目を見ずに終わってしまっています。

SFXは素晴らしかったですし、しかしただそれだけとは言い過ぎかもしれませんが、壮大なテーマにしてはシナリオがお粗末すぎました。
登場人物が基本的に全てが好人物というのも面白みに欠けた理由の一つで、何にしても誇大広告の誹りは免れないでしょう。
最後に生き残ったのが女性というところからしてもまさに「エイリアン」で、そのリメイクだと思えばそれなりに楽しめるかもしれません。
PG12ですので適度なグロさですし、過度な期待をせずに臨まれることをお奨めします。


2012年8月27日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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お楽しみいただけましたでしょうか

2012-08-17 01:26:48 | 映画

どうしてもリメイク作品はそのオリジナルとの比較をしてしまいますが、制作サイドもそれは覚悟の上でしょう。
今日の「トータル・リコール」はアーノルド・シュワルツェネッガーの代表作の一つだけに、当然のごとく注目度も違ってきます。
そんな中でもう20年以上も前の作品ですので技術力の差がありますから単純な比較はできませんが、世間的な評価はあまり芳しくはないようです。
ただ自分としては意外に楽しめたかなと、純粋な娯楽作品としては上出来の部類ではないかと思います。

トータル・リコール

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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オリジナルが火星だったのに対してリメイクでは化学戦争後に住める場所が限られた地球という舞台背景に差異はありますが、基本的な筋書きに変わりはありません。
記憶を操作されて二重スパイとしてレジスタンスに送り込まれた主人公が、しかし新しい自分を手に入れて独裁者を倒すといったストーリーです。
撮影技術が進歩をしたことで映像の迫力はリメイクの方が華々しいですし、オリジナルのように肉体美を前面に押し出してくることもありません。
ですから同じシナリオを基にした全く別の作品だと、そう考えて臨む方がよいような気がします。

結果的に夢オチが大前提なのか全体を通してそれを暗示するかのような青いフラッシュが時折に見られましたし、ラストシーンなどはまさにそれでしょう。
そのちょっと前に主人公が目覚めかけたときには驚きで、これでリコール社の担当が出てきて「お楽しみいただけましたでしょうか」などと言ったらどうしようかとビクビクとしたのですが、さすがにそこまでの露骨な演出はやらなかったようです。
観る側に判断をしてくださいと、そんな感じなのでしょう。
複雑さや深みという点では「インセプション」には遠く及びませんが、逆にその単純さがスクリーンに没頭できた理由かもしれません。
オリジナルを観ているのとそうでないのとどちらがよかったかは悩ましいですが、どうしてもなぞらえてしまったことから後者かなと思います。
何はともあれ記憶なんてものは主観的に過ぎないことを思い知らされた、そんな夢うつつです。


2012年8月16日 鑑賞  ★★★★☆(4点)

 

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惰性な輪廻

2012-08-14 00:28:53 | 映画

今日は日中に外に出る機会があったのですが、灼熱の太陽とアスファルトの照り返しで完熟の目玉焼きになるところでした。
夏ってこんなに暑かったっけ、とは毎年のように思うのですが、やはり地球が壊れつつあるのでしょう。
しかしエアコンには懲りましたのであとは定番のホラーしかなく、チームがロードに出ている暇の書き入れ時とばかりに映画館に行ってきました。

アナザー

東宝

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そんな今日の「アナザー」はジャンルから言えばホラーのはずなのですが、しかしかなりの肩すかしでした。
傘が喉に刺さったり首が飛んだりとスプラッタなシーンはあるものの、低予算が理由なのかあまりにチープで鳥肌よりも失笑です。
それを求めていたわけではありませんし、ストーリーとしての重要性があるわけでもないのですが、もうちょっとやりようがあったでしょう。
袴田吉彦が演ずる図書館司書が転落をしていくところなどは、いつの時代の映画だよと突っ込みたくもなりました。

どうやらこの映画にも原作があるようですが、その原作に忠実かどうかは分かりません。
終盤までは謎解きのような感じでかなりのめり込めましたし、学芸会のような演技もさほど気にはなりませんでした。
ただどうにも脚本が悪いのか全てにおいて中途半端で、伏線と思しきものが最後まで忘れられたままだったり、言うなれば超常現象ですから理屈を求めても仕方がないのですが、その中途半端さの後始末をそこでごまかしているような気がします。
過保護なヒロインの継母や、オタク男子の意味深な視線に取り出したチェーンソーは何だったのか、いくら何でも放置をし過ぎでしょう。
さすがに最後のシーンはあまりに意外で驚きましたが、そうなるとなぜにこの輪廻が続いていくのか、もはや惰性でしかありません。
冒頭の臨死体験みたいなものも思わせぶりなだけで後が続かず、また中盤の淡いラブストーリーも余計でしたし、避暑のつもりが知恵熱で今夜は寝付きが悪くなりそうです。


2012年8月13日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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超大人向け

2012-07-27 02:07:52 | 映画

巷では三部作などと喧伝をされているので関連性が薄いだろうとは思いつつも予習をしたのですが、やはり自分には何も見えてきませんでした。
そこでピュアな気持ちで臨んだ「おおかみこどもの雨と雪」だったものの、こういう映画だったのかとビックリ仰天です。
母親としての子育ての経験があればまた違った受け止め方ができたのでしょうが自分には今ひとつ分からず、また決してバッドエンドではなくむしろある意味でハッピーエンドなのですが、心の片隅にどんよりとしこりのようなものが残ってスッキリとしなかったのが正直なところです。

おおかみこどもの雨と雪

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話はおおかみこどもの姉弟の姉、雪の語りで進んでいきます。
狼男と恋に落ちて結ばれた主人公、と言ってよいと思われる花は雪と雨の二人の子どもを授かりますが、しかしその狼男に先立たれてしまいます。
それでもくじけることなく都会を離れて田舎で子どもを育てつつ自分も成長をしていき、そしてその子どもの親離れを複雑な思いで見送っていくといった流れです。
この軽やかな前段と重苦しい後段、幼い頃と成長をしてからの姉弟の立ち位置の変化、あるいはこのギャップが売りだったのかもしれませんが、自分にはちょっと無理でした。

もっとファンタジーチックな、家族で楽しめるような作品だと思っていました。
確かに前段の展開でいけば締まりが悪かったかもしれませんが、雪の無邪気さがこれでもかとアピールをされて微笑んでいただけに重い後段がきつく、それが子育ての難しさであり楽しさでもあるのでしょうが、少なくともキッズ向けの作品だと思って足を運べば失敗をすると思います。
観る人を選ぶ、とは言い過ぎかもしれませんが、興行的にはいいところまでいっても一般的な評価は高くないままに終わるような気がします。
自分としても後段についていけず、しかし誰が悪いのでもなく自分が経験不足なだけですので、仕方がないと割り切ることにしました。


2012年7月26日 鑑賞  ★★★☆☆(3点)

 

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主人公のキャラが薄すぎ

2012-07-26 01:18:28 | 映画

TSUTAYAはいつの間にか旧作であれば100円で7泊8日も借りられますので焦る必要もないのですが、この手のものは勢いが大切ですので一気に予習を進めます。
今日の「サマーウォーズ」もBlu-rayでのレンタルがされていないようでDVDでの鑑賞となったのが残念でしたが、貧乏人には身分相応ということなのでしょう。
まあ二度も三度も観るようなものではありませんし、そこは割り切るしかありません。

サマーウォーズ

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電脳世界に知的欲求を持つワームが入り込んで現実社会をも巻き込んだ騒動を起こし、それに立ち向かう旧家の一族と主人公、雑にまとめるとそんなストーリーです。
今風な舞台設定ですし、それと相反するかのようなのどかな風景も一つの狙いなのだとは思いますが、原発を含めた核施設に衛星が落下ともなるとそうも言ってはいられません。
それだけ原子力というものが人類にとって両刃の剣であることの証左なのでしょうが、それは置いておきます。
かなりシンプルな話の流れは自分に合っていますし、さりげなく今の都会ではありえない大家族なんてのも心に響くのですが、どうにもしっくりとこなかったのが正直なところです。

やはり主人公のキャラの薄さ、これに尽きるような気がします。
誰かがヒーローになるのではなく、全員で手を取り合って戦っていくということを強調したかったのかもしれませんが、そうであってもやり過ぎでしょう。
あるいはこちらが主人公かもしれないヒロインも同様で、むしろお婆ちゃんやその次男、そしてキングカズマを操る少年の方がキャラが濃かったように思います。
ジブリと同じ意図なのか主だったところに声優ではなく俳優を起用したことで抑揚がないところも今ひとつで、なぜに花札と高校野球を絡めたのかもよく分かりませんし、その登場人物の多さと同じく全体的に散漫に過ぎてどうにもクライマックスに盛り上がってくるものが感じられませんでした。
それでも面白かっただけに、何とももったいない気がした夏の陣です。


2012年7月25日 鑑賞  ★★★★☆(4点)

 

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