昼顔を見て。
朝顔や夕顔にくらべると、「昼の月」みたいにぼんやりとしどけない花。
ケッセルの小説は、この花の印象をとてもうまく言い取っていると思う。
夏から初秋、じっとりと暑い浜辺の砂地ちかく、この花がほんのりと咲きながら、ひくく這いまつわっている風景は、ものさびしいような、なまめかしいような。
白に近いうすいろのはなびら、少女の夏帽子のような感じもする。
銀色のそら。
うす冷える夜明けの空気がゆるくそよぐ。
目覚ましなしでも眼が覚める夏時間。
聖書のなかで心に残る言葉。
わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいるのである。
マタイ福音書の末尾。
不思議な気がする。あなたがたと……ともにいる。
わたしにとって聖書は文学ではないから、たやすく語れない、詠えない。
でも、ときに今朝の歌のような幻想がのぼってくる。