雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

雨を待ち風なほぬるき春の夜を問はず語りの桜散りゆく

2022-03-31 19:20:00 | Weblog

 最近読んだ本。

 


 この2冊とも、やはり母の書架から。ほとんど外出しないが、蔵書のおかげで充実している。

 最初に「貞明皇后」を読み、その中に引用されていた「女官」に手を伸ばした。両方とも母の蔵書だから、歴史とアリストクラート、セレブが好きな彼女も同じように興味を広げたのだろう。

 どちらも面白かったが、私は平安文学を専攻したので、ことに明治宮廷に出仕した山川三千子、桜木内侍の自伝にウットリしてしまった。そこに描かれた明治天皇、昭憲皇太后、一生奉公原則の高級女官たち、その女官にまた使える侍女団の様子など、まさに紫式部日記や源氏物語の精神世界そのものだった。流麗でやわらかな、それでいて平易な桜木内侍の文体も立派なものだ。賢い女性だったに違いない。

 「貞明皇后」の読後、あらためて日本の近代史に惹かれて、同じ作家の別な著作を今は読んでいる。
 セレブリティは、時代が変わるととかく評価や褒貶が変化するが、「貞明皇后」は丹念な敬意を捧げながら皇室のデリケートを描いている。読者としては、その誠意に好意を持つ。

 これも良い出会いだった。

 花壇の手入れをしながら恵みの雨を待つ穏やかな日、全てに愛と感謝。





 

 
 



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桜散る春空眺めシューベルトのアルペジオーネ平らかに聞く

2022-03-30 17:01:00 | Weblog

 暖かい一日、絵を描いた後には、ただぼんやりと過ごす。本を読み、目が疲れると音楽をかける。CD棚からシューベルトのアルペジオーネソナタを見つけて喜んだ。
 巨匠フルニエの演奏で、いかにも誠実、質実。私はこのアルペジオーネソナタが数多のチェロ曲の中でも一番好きかもしれない。もちろん名曲はそれぞれ魅力がある。

 


 シューベルトはどれも優しくて清潔で、この絵のような親しみやすい田舎の雰囲気がある。

 こんな素晴らしい絵が、私に描けたらいいのだけれども。

 全て愛と感謝。

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花冷えもほの暖かし桜仰ぐはるけき天もうすくれなゐに

2022-03-29 17:48:00 | Weblog

 神の贈りもの  油彩F6号

 


 キリストは世の罪を全て担うため、神が私たち人間に与えたメシヤ。

 神に感謝。
 主に栄光を。


 全て愛と感謝。

 

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見つめてはやや逸らしつつ春闌けぬ彩るものはいのちなりけり

2022-03-28 17:00:00 | Weblog

 今日はここまで。

 


 
 雨のたびに草木の芽生えが勢いづく。私はひたすら、春の暖かさにホッとする。
 今まで、こんなにも冬の寒さが心身に応えたことはなかったような気がする。ともかく大病なく乗り切って桜の季節。

 四旬節にパッションを描くのも共時的、シンクロニシティ。まだ背景が残っている。リアルに無惨でなく、平俗受けでなく、どうまとめようか。ある意味で、平面仕上げは細部の描き込みよりも難しい。

 今日も愛と感謝。





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ともしび

2022-03-27 17:15:00 | Weblog

 安房詩人会50周年記念誌が出来上がりました。

 




 愛と感謝。

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海を離れ風のみ響く春の雨に何もいそがぬこれからを見つ

2022-03-26 16:45:00 | Weblog

 今日はここまで。
 考えてみたら、受難の絵を描くのは初めてだった。今月3日にキリストの顔だけ、「ミゼレーレ」として描いたが、あれはまだ外傷がなく、なめらかな若く美しい、しかも無垢な男の顔ともいえる。

 これは確か1500年初頭の古典絵画が原資料で、全体としてはルネサンスに移行しつつあるが、キリストを覆う衣の鋭角的な襞やポーズに、中世のゴシック様式が随所に見られる。そして原典では流血の描写が細かく、私などはやや怖気付くほど丹念に描かれていた。
 修道院に賛美される磔刑像は非常にリアルに残酷な受難図が再現されているそうだから、たぶんこの原典もそれに近いものだろう。だが、私はキリスト像であっても、それほどにリアルな絵を描きたくない。

 


 そのため、視覚に鋭い刺激をくれる襞の表現などは忠実に模しているが、他はいろいろやわらげている。

 今日はこれを描きながら、また一冊、母の読書をなぞった。

 




 まだ若い研究者の著書で、この上梓の時の年齢が僅か30歳と数えて恐れ入った。

 私はあと数年で還暦になるが、こうした読みやすい本で、手軽に新しい知識や教養を増やせる現代は、そういう点で良い時代と思う。
 まずは、母に感謝。

 全てに愛と感謝。


 





 
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夢のまへ君に触れにし暖かさを夢のあとには花と想へり

2022-03-25 16:43:00 | Weblog

 パッションを描き始めた。

 


 現代的日常には、キリスト受難はかなり重苦しいテーマなので、いろいろと緩和を考えている。それが通俗的にならないよう工夫して。

 






 狭い庭に次々と花が咲き始めた。

 そのささやかで純粋な営みにいやされている。

 全てに愛と感謝。





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風音の凄く鳴りたる夕されば傷なきものの鮮やかに見ゆ

2022-03-23 16:15:00 | Weblog

 春風に。

 レダと白鳥を描いた後、母の書架から重光葵著、「昭和の動乱」を見つけて読み始めた。

 山﨑豊子の「二つの祖国」後半で東京裁判の有様が活写されていたのに感銘し、それまで興味を持たなかった明治以来の日本と世界の近代史について探すようになった。

 




 往時、これが国民的ベストセラーになったという解説に、今昔の相違を感じた。
 達意の名文だが、緻密な構成、膨大な史料を編み込み、その都度の人間観察、政治状況は日本のみならず世界各国に渉る。

 有能な外交官だった重光は常に日本と日本人を客観視し、冷静に、またそれこそ大和魂の正義感倫理観で、支那事変から第二次世界大戦、敗戦へ至る重く複雑な時代を、日米英中独仏それぞれの比較文化論をも加えながら、簡潔に記述してゆく。

 したがって、この名著が達意とはいえ、選ばれる語彙も思想も、かなり高度な日本語であることは避けられない。
 私自身、逐語的に全て把握できたかあやしいが、読書として大変な収穫だったと思う。

 たまたま実家に帰り、リフォームなどあれこれと重なる滞在のつれづれがあればこそ、こうした名著名文との出会いだろう。

 山﨑豊子にせよ、重光葵にせよ、背景には母の読書がある。彼女が健在な頃は、所謂仲良し親娘だったわけではないから、母が病み、施設に入り、物理的にも遠ざかった今、あらためてこれまでは未知だった母の教養や、強い精神内容の一隅に接している。

 今日も愛と感謝。

 
 

 


 
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女首塚

2022-03-22 16:55:00 | Weblog
未来3月号





 うねうねと女首塚夢に遭ふ砂漠の供花は冬に運ばれ

 今月は、タイトル歌が選に漏れてしまった。

 全て愛と感謝
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まひるまの追憶白い紙のごとひるがへる乾いた空き地の上に

2022-03-21 17:45:00 | Weblog

 レダと白鳥 油彩F6号

 


 
 レオナルド派の古典作品を組み合わせて構成したが、顔はやはりあの「にんまり笑顔」にはならなかった。女性作家の私から見て、弟子たちの描いたレダの表情はやや邪悪で、エロティシズムのカリアチュアに近いとさえ感じられるからだ。

 ここに近代女流画家、マリー・ローランサンのレダと白鳥を参考に上げる。

 


 レダと抱き合う白鳥には、天帝ゼウスの男性的要素は皆無で、小さく可憐、形象のおぼろな甘くたゆたう色彩世界で、2人とも、ひっそりと夢みるように優美、柔らかな詩情に包まれている。レダもまた女性の肉体美から離れて少女のようだ。そしてこの柔らかな世界には、豊穣多産のシンボルである卵や嬰児は描かれない。

 ローランサンの望んだレダがどういうものか、古典絵画と比較するとはっきり見える。

 今はちょうど、四旬節。これが過ぎればキリストの再生復活を祝う春の復活祭、イースターシーズンとなる。豊穣を願い、鮮やかに彩った卵を飾る季節だ。

 レダと白鳥を、復活祭前のこの時期に描いて良かったと思う。

 いずれは私自身のスタイルで、このテーマ、モチーフを作品にしたいと願っている。

 神に感謝。

 愛と感謝。

 


 

 

 

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アルファポリス