新緑に。
心の中に思いえがく、たとえば草迷宮のような葉風さやぎ。
現実にはそんなみどりしたたる時間に身をひたすことは、あんまりできない。
ときおり、ゆきすぎる時間の風穴のような静寂。
誰もいない緑の木蔭に、時間をなぞるまぼろしがたつ。
いちにちの外のおつとめをおえて。
こころ、ぽっかり。
あちこちで山火事。
はやく静まるといいのに。
みどりの季節なのに。
追)これは……恋歌、というわけではなく。
みどりなす時間のきらめきへあこがれる気持ち、というのか。
一瞬すれちがって、視線もかわさずにとおりすぎる数知れぬ出会いと別れの追憶とでも。
記憶にさえのこらない、時間のかけら。
そんな感傷ですから……。
恋する、としたら、ナチュラルなこの季節そのものが、わたしは好ましい……。
心の中に思いえがく、たとえば草迷宮のような葉風さやぎ。
現実にはそんなみどりしたたる時間に身をひたすことは、あんまりできない。
ときおり、ゆきすぎる時間の風穴のような静寂。
誰もいない緑の木蔭に、時間をなぞるまぼろしがたつ。
いちにちの外のおつとめをおえて。
こころ、ぽっかり。
あちこちで山火事。
はやく静まるといいのに。
みどりの季節なのに。
追)これは……恋歌、というわけではなく。
みどりなす時間のきらめきへあこがれる気持ち、というのか。
一瞬すれちがって、視線もかわさずにとおりすぎる数知れぬ出会いと別れの追憶とでも。
記憶にさえのこらない、時間のかけら。
そんな感傷ですから……。
恋する、としたら、ナチュラルなこの季節そのものが、わたしは好ましい……。
一日のつとめをを終えて。
ほっ。
満開、散り初めの桜並木をいくつもいくつも自転車で上り下り。
行きはシンドイ帰りはヨイヨイ。だから、自転車で坂道をいっきに降る。
桜のはなびら、風と自転車の周囲でまいあがり、わたしの周りになびいた。
わ、と目をみはる。鳥のはやさ、鳥よりはやい。
こどものころ、こんな無茶をいつもしていた。
ノーブレーキ。
ときには両手離して走行。いまもうはやらない。
うららかな春の午前午後、支障なく終えられたことに感謝。
画像はムリーリョ 「幼い果物売り」
桜に。
ひる、あたたかだった。
あちこちの桜並木、いっせいに開花。
風にふかれて。白に近い薄紅がひるがえる。
花を……ことに、梅桜、杏、山吹……樹木の花々をみるたびに、思うこと。
三橋鷹女さん、第四句集『羊歯地獄』の自序に、
一句を書くことは 一片の鱗の剥奪である。
一片の鱗の剥奪は、生きていることの証だと思ふ。
一片づつ 一片づつ剥奪して全身赤裸となる日の為に
「生きて 書け」と心をはげます。
……凄絶、と思った。
鱗……?
なにか、とほうもない内面の葛藤、あるいは修羅を感じさせる吐露。
わたしは……うたうたびに、羽根がふわふわ生えてくるような気がしている。
いちまいづつ、羽根が増えていって、この世をみまかるころには、すっかり鳥になれるかな、なんて思っている。
厳しさがないかもしれない。
でも、だからうたいたい、と思う。
毎日いそがしくって、あたふた。
鳥に、なれる時間。
鳥へ向かう瞬間。
わたしのささやかな歌って、そんなものだ。
桜、きれいだった。小学校の並木。