雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

墓のなかすらりと抜けば月光の女人はまさむねのごとうつくし

2008-06-24 21:29:14 | Weblog


 短歌から、すこし視線をずらして俳句をたどる。


 三橋鷹女というひと。以前は関心がうすかったのだけれど。


 というよりも、短歌や俳句は一般に出版部数がかぎられていて、ふつうの本のようにかんたんに私家集が手に入らない。

 限定版は、とうぜん高価。

 図書館でもあらためてあちこち検索し、中央からとりよせということになってしまうから、手の届く範囲でしか味わえなかったというのも理由。


 たまたま最近、三橋さんの代表句が掲載された小冊子を手に入れ、めくってみると、迫力ある句に出会った。


   けんらんと死相を帯びる金魚玉

   何者か来ておどろけと巻貝ころがる

   秋風や水より淡き魚のひれ

   笹鳴に会ひたきひとのあるにはある

   もう一漕ぎ  義足の指に藻を噛ませ



 この張り詰めた詩情が、最晩年の句作というから驚く。


 ずばりと感動の中心を詠いとり、毅然としてこちらを見据える。

 写真の鷹女は明治の美女そのもの。やせがたちの細面、和服を隙なく着こなし、唇をきりりとひきむすんで怜悧なまなざし。

 時代が重なれば長谷川時雨さんなど「美人伝」に書き取りそうな方。

 橋本多佳子さんも彫りの深い美貌だし。




 何者か来ておどろけと……


 息を呑む。心のなかのなにかを掬い取る断定。


 彼女のファン、今も多いということ。そうでしょう……。

 主情は時間を超えて心をつかむ。


 短詩形の俳句。ちいさくて奥深い世界。

 日常から非日常まで含んでひろがることばの宇宙がある。



 心のかたちを迷いなくきりっと詠いとった女人、外見だけでなく、芯から美しいと思う。

 わたしの歌は多佳子さんと鷹女さんの印象。


 










 



 


 






 
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君や知る夕べさざなみ海もまたかなしみ持てば肉体となる

2008-06-24 18:37:19 | Weblog

 ゆうぐれに。



 












   
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少年をそだてし母にあらざれど夏熟るる実のなやましきかな

2008-06-24 07:59:41 | Weblog


 木苺に。



 






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